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幕間その1 貨幣制度


帝国内に流通する貨幣の種類と重量、経済について


帝国大学 貨幣学者セルジオ・チェルシーニ教授 



このフランク帝国内で流通する基軸貨幣は、グルテン金貨、タレール銀貨、ペーニッヒ銅貨の3種類に分かれているが、これは古代エトルリア時代のソリドゥス、デナリウス、アス貨幣を元に造られており、同じ起源のラグーナ貨幣と重量と材質は一致している。ここに各貨幣の重量と材質について示す。


ラグーナ共和国発行貨幣


ドゥカート金貨 ラグーナ共和国が発行する金貨で重量は3ペニウス(6g)古代エトルリアで発行されていたアウレウス金貨を元にして造られた。東方エジプトや北アフリカから輸入された金から鋳造され、守護聖人マルコと発行された年の元首が描かれる。主に交易用で利用され、平民の手に渡る事は余り無い。帳簿上の数字として利用されることの方が多い。帝国でも鋳造こそしていないが、ドゥカーテン若しくはドゥカーレという名前で流通している。この金貨7~8枚有れば、平民が一年間生活する事が出来る。


リラ金貨 重量1と半ペニウス(3g) 金が豊富に流通する地中海世界では、ドゥカート金貨だと価値が高すぎて流通が困難為、半分の重量のソリドゥス金貨を基に製作された。地中海世界で最も流通している金貨の一つ。


グロッソ銀貨(複数形はグロッシ)重量2と半ペニウス(5g)デナリウス銀貨を元に造られた銀貨で、通称“大銀貨”と呼ばれる銀貨であり、国章の金の獅子が描かれている。半分の重量のセルティウス銀貨を元にピッコロ銀貨(小銀貨)も発行される予定だったが、当時発生したギアーノ戦争の影響で地金の不足が発生し、鋳造計画は中止された。戦争が終結した現在も発行されていない。しかし帳簿上の数字としては存在する。


ソルド銅貨 重量3ペニウス(6g)の銅貨で、アス銅貨を元に造られた。ガレー船が描かれている。


交換レートは1ドゥカート=2リラ金貨=20リラ銀貨=400ソルド



次に帝国の貨幣について説明する。


グルテン金貨 帝国が唯一発行している金貨で、重量1と半ペニウス。つまり、リラ金貨と同額である。表には皇帝陛下のご尊顔が描かれている。裏面は皇帝冠、又は国章(皇帝冠とそれを支える槍、杖、剣)が描かれている。広い版図を持つ帝国ではあるが、金貨を発行する事が出来るのは帝都の造幣局と3王家に一部の選帝侯や大司教のみであり、絶大な経済力を誇る北部の商業同盟でさえ発行は許されていない。また、皇帝戴冠式の折に記念硬貨として、アウレウス金貨が特別に発行されているが、近年では戴冠式の参加者のみに配られる為、流通貨幣とは別物である。


タレール銀貨 帝国で一番多く流通している銀貨で、重量は2と半ペニウス。帝国の直轄領である各州の銀山から集められた銀の地金を、帝都ウィーンで鋳造されて発行される。マルコマンネン州チェック地方チェコのヨアヒムスタール銀山(現在のプラハの北西ヤヒーモフ)が語源で、その名の通り聖ヨアヒム銀貨とも呼ばれる。


グロッシェン銀貨 帝国北部の自由商業同盟が発行する銀貨でタレール銀貨と同重量で価値も一致している。


ペーニッヒ銅貨 ソルド銅貨と同重量、ただし描かれているのは、帝国の国章を簡略したPとXを組み合わせたもの。自由商業同盟が発行する北ペーニッヒ銅貨も存在する。こちらに描かれているのは同盟の象徴のコグ船


交換レートは1グルテン=12タレール=240ペーニッヒ



帝国と地中海世界では、金、銀の交換レートが違っているが、これは帝国直轄領では金の産出量は少なく、対して銀が多く産出されるからだ。産出されている銀の過半数は帝都で銀貨に鋳造され、地銀のまま他国へ売却する事は禁止されている。


帝国の有望な鉱山の一覧


ハライン大司教領のテルシュタイン銀鉱山、ガシュタイン金山(チロル州 オーストリアとスイスの国境近く)


ランツフェルト州の(オーストリア ザルツブルク+ケルンテン州)シュヴァーツ銀山、塩抗


アンスブリック州(リンツ ウィーンからドナウ川を遡った地)とシャムドルフ州(ウィーンの南シュタイアーマルク州)の鉄鉱山


マルコマンネン州のヨアヒムスタール銀山、アンナベルク銀山、フライベルク銀山(チェコ北部やドイツのザクセン州の辺り)で産出された銀は、帝都ではなくプラーク(プラハ)で銀貨に鋳造される。


ヴォルフェンビュッテル公爵領(ドイツのニーダーザクセン州ブラウンシュヴァイク近郊)ベーレン銀山の銀はヴィーヘンブルク(ハンブルク)に送られてグロッシェン銀貨に鋳造される。


マジャルランド(ハンガリー)のノイゾールとシェームニッツ、クレームニッツの銀山と銅鉱山。特に銅山の方は、帝国内地に流通する銅貨のほぼすべてのシェアを占めている。


ウビオールム(ドイツ、ケルン)近郊の鉄鉱山



現在の帝国の経済を支えているのは、これらの鉱山であるが、各鉱山の分布を地図で表すと帝国直轄領(オーストリア+チェコ)に集中している。この鉱山から得られる経済力がある限り、フランク帝国の日が沈む事は無いだろう。



一方の地中海世界では、銀鉱山は少ないが、東方交易により金を得る機会が多い。また、ダルマティア地方にも金を産出する鉱山が有る。この事からラグーナ共和国では、その国土の広さとは比べ物にならない絶大な経済力と他国に対する影響力を持ち、繁栄を極めている。



上記の結果から説明する事は、北に行けば行くほど金の価値は高くなる。特に北の蛮族(ノルマン王国)達は、長年に渡り呪われた悪魔ドワーフが鉱石を採掘し続けていた為、金や銀の有望な鉱山はほとんど存在しないと言われている。一方、鉄、銅、硫黄等は多く産出する。


またルシタニア王国では、新大陸産の貴金属や商品が流入して好景気に沸いているようだが、現在かの地では、髪は抜け、鼻が落ちて気が狂うおぞましい呪いが大流行している。これは、聖書に存在しない食べ物や宝石に触れた為、神の怒りを買ったと教皇勅書が発令され、この呪いに罹患した者は即座に異端者として火炙りに処されている。





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