気が付いた本音 -03
リナの花屋から路地を抜2つほど挟んで、緩やかな坂を下った先に、ルートの食堂はあった。間口は狭いが、昼時ともなれば地元民でいっぱいになる店だ。扉を開けると香ばしいスープの匂いが漂ってきた。
「いらっしゃ…って、バレッタじゃねえか。」
カウンターの奥から顔を出したルートが、目を丸くした。
「久しぶり!元気だった?」
「変わりないぜ。お前こそ…公爵様んとこに嫁いだってのに、なんでこんなとこにいるんだ。」
「ちょっと抜け出してきたの。」
「相変わらずよねぇ。」
「抜け出してって…。ちょっと待ってろ。」
呆れたような顔をしたルートの横でリナがくすくすと笑う。ルートはすぐに厨房に引っ込んむと、しばらくして湯気の立つスープと焼きたてのパンがどんと目の前に置かれる。
「食え。話はそれからだ。」
「わぁ、ルートのごはんひさしぶり!!ありがとう。」
リナと並んでカウンターに腰を下ろしながら、スープを一口すする。じんわりと身体の芯が温まった。
「それで?」
ルートが腕を組みながら促す。
「…実はラウド様のことで。」
「なんだ、のろけか?それともいよいよ恋でもしたか?」
ルートの言葉に口に運んでいたスープをおもわず吹き出す。
「ごほ…!え!?どういうこと!?」
「だぁって、婚約するって飛び込んできたくせに、全然うれしそうじゃなかったもんなあ。」
「そうそう、公爵様になんで私が~って言ってばっかりで。ラウド様の事そんなに良く知らないのにって。」
二人が口々に言うのを聞いて目を丸くする。確かに、ラウドとの婚姻はうれしさよりも驚きのほうがよっぽど大きかった。




