気が付いた本音 -03
大事を取って数日間の療養をし、──その間、ラウドの部屋に押し込められたまま、ラウドへの恋心を意識したばかりに無駄な心労をためつつ、ようやく日常に戻った。
「本当にもう問題ないか?」
「ええ、もうすっかり!」
ラウドの蜂蜜色の瞳がバレッタをのぞき込む。瞳とおなじように輝くブロンドの髪は、これから仕事に向かうためか少し長めの襟足を撫で付けてかっちりとしている。
「わ!ちょっ…!」
「……くれぐれも無理はしないように。」
ラウドの美しさに見惚れているうちに、さらに距離を詰めたラウドがふにりとバレッタの頬を柔らかく摘む。
「行ってくる。」
「……行ってらっしゃいませ。」
くすりと笑ったラウドは、呆けるバレッタの頬をするりと撫でそのまま出かけて行った。
パタリと扉がしまった瞬間、思わずその場にしゃがみこむ。
(何…!!何が起きてるの…?!)
はしたないと分かっていても、熱の集まる顔を抑えて1人身悶える。一連の事件のあと、ラウドは記憶を取り戻してはいないといいつつも、バレッタへの態度を軟化させていた。
(そうよ、元々すごく優しい方だったわ…。)
記憶を取り戻そうと躍起になっていたことで、ラウドの眉間のシワを眺める機会が増えてはいたが、本来の彼は優しい人間だった。
「気持ちが持たないわ…。」
しかし、その優しさは今のバレッタにとってはただただ毒だ。あの瞳で見つめられると、妙にギクシャクとしてしまう。
(このままじゃいけない。……あの人たちに聞いてもらわなきゃ。)
すくりと立ち上がったバレッタは、近くに控えていた侍女に声をかける。
「ねぇ、ちょっと夕方頃まで実家に戻ってもいいかしら。」
「イリスさんに申し伝えておけば問題ないと思いますよ。馬車の用意は?」
「ありがとう、是非お願い。」
そう言って、準備を始める。久しぶりにお父様とお母様にご挨拶をしなくては。でも、バレッタの本当の目的は別にあった。




