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気が付いた本音 -02


醜態を晒した恥ずかしさに声がどうしても小さくなる。ラウドはそんな様子に気が付いているようで、いつもよりもさらに優しい声色で続ける。


「会場でのことは気にしなくていい、すべて私の方で対処する。…君に手を出した令嬢のことも。」


「…あのお方とはお知り合いで…?」


「何度か顔を合わせただけだったが、彼女のご両親からの結婚への打診が酷くてね。君には迷惑をかけた。」


申し訳なさそうに言うラウドに首を横に振りつつ答える。


「それは…ラウド様はよろしかったんですか?」


「どういう意味だ?」


「だから、その後令嬢とご結婚されたかったんではないかと。」


そういうと、ラウドは困ったような表情を浮かべて言う。


「…今の話の流れからどうしてそうなるのかはわからないが、彼女が私と結婚従った理由は少なくとも愛情だけではなかったと思っているよ。」


きっと、公爵家という家柄に加え、容姿も能力も誰よりも秀でた彼だからこそ、秋波を送られてもその背後にある様々なものを理解してしまうのだろう。


それでもあの美しい令嬢が、こんな手を出してまでラウドの隣に立つ自分に恥をかかせたかったのだという強い思いは、きっと恋以上の思いがないと起こさないだろう。その事実になぜか再び胸が痛んだ、その理由がわからなかった


(あれ、私どうしてここまでここまで落ち込んで…)


ふと、自分が思った以上に落ち込んでいたことに気が付く。確かにラウドのことは慕っていたが、それはあくまで友情の延長線のような、恋とは少し形の違うものだと思っていた。


ラウドの横に並び立つ自分を気にするのも、爵位に相応しい妻でいなくてはという思いからだったはずだ。


だが──


だまりこんだバレッタを心配そうに見つめながら、言葉を待つその姿を見て、自身の心を明確に理解した瞬間、身体が茹だったように熱くなる。


「嘘…うそうそ。」


熱が集まり続ける頬に手を当てていると、ラウドがいぶかしげな表情でこちらを見やる。


(もしかして、私、ラウド様のことが…)


自覚すればするほど、これまで彼にさらしてきた醜態の数々が頭に浮かんでは消えていく。


「大丈夫か。熱でも出たか。」


「…ぁ、いえ!お気になさらず…!!」


顔を上げると思った以上に近い位置にラウドの顔があり慌てて距離をとる。面白くなさそうな表情をしたラウドに失礼な態度をとってしまったと気づき、慌てて頭を下げる。


「すこし、まだ混乱してるようです。…今日はお部屋に戻ってゆっくりさせていただきますわ。」


「…あぁそうしたほうがいい。」


バレッタの様子を見て立ち上がったラウドは同意しながらドアへと足を運ぶ。どうやら仕事の合間を縫って様子を見に来てくれたようだ。


しかしイリスからコートを受け取りそのまま外へ出ようとしていた足は、出口付近でぴたりと止まる。


「……動くのもまだしんどいだろう。…しばらくはここで休むといい。」


そういってさっさと外に出ていく。残されたバレッタはぽかんと口を開け、ラウドの言葉を理解しゆでだこのように真っ赤になったときには、すでにラウドの姿はなく、静かにイリスと侍女たちがうれしそうな表情で、バレッタを静かに見つめているだけだった。



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