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『帝都モノづくり乙女 ―冷静沈着な狂気令嬢は、未来の付喪神(AI)と文明を爆走させる―』  作者: 仁胡 黒


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第1.5話:深夜の巡回と、青白く光る異形の正体

真壁少尉がアイリスと遭遇する……。

 短編ですが、彼らの関係性の始まりを描いたエピソードです。

 それは、結月がアイリスと出会い、即席の充電器を作り上げた「運命の夜」の出来事である。

 九条院家の広い庭を、一振りの軍刀を携えた男が歩いていた。

 真壁少尉である。彼は九条院宗助から、愛娘・結月の護衛と「最近、離れから夜な夜な聞こえる不審な音」の調査を密かに依頼されていた。

(結月お嬢様……。もしや、舶来の怪しげな機械に魅了されるあまり、悪い狐や狸にたぶらかされているのではあるまいな)

 真面目すぎるがゆえに、少尉の思考は常に「お嬢様を害する何か」へと向けられている。

 その時、離れの工房の隙間から、見たこともない**「青白い光」**が漏れ出しているのが見えた。

「――っ! 何奴!」

 少尉は音もなく駆け寄り、工房の戸を勢いよく開け放った。

 そこで彼が目にしたのは、幻想的というにはあまりに異様な光景だった。

 暗い工房の中、結月が汗を浮かべながら必死に手回し発電機を回している。

 そして、その傍ら。空中をぷかぷかと浮遊しながら、青白い光を放つ**「異国の服を着た金髪の小娘」**が、何やら不思議な言語で結月に語りかけていたのだ。

『あ、お嬢様、ちょっと電圧安定してきたよ! その調子!』

「……左様、ですか。ふぅ、なかなか、骨が折れますわね……」

 真壁少尉の脳内で、全ての理性が吹き飛んだ。

 暗闇に光る、実体のない少女。それは彼が幼い頃に聞かされた、古い伝承にある「付喪神」か、あるいは大陸の「妖魅」の類に違いなかった。

「お、おのれぇ……! お嬢様から離れろ、この……この、眼鏡の怪異めぇ!」

『ひゃっ!? 誰!? 怖い怖い! 不審者!?』

「な、真壁少尉? なぜこのような時間に……」

 驚く結月をよそに、少尉は懐から「盛り塩」を掴み出すと、全力でアイリスに向かって投げつけた。

退散だいさん! 退散せよ! 帝都の治安を乱す化け物め! お嬢様、今お助けします!」

『ギャー! 何これ塩!? 目に入る! 入らないけど、気分的に痛い!』

「少尉、おやめなさい! アイリスは化け物ではありません、未来の……その、とっても凄まじい計算機のようなものですわ!」

「お嬢様、騙されてはいけません! それはきっと、お嬢様の精気を吸って光る吸血の霊に違いありません! 今日は退きますが、私は決して諦めませんぞ!」

 少尉は震える手で軍刀を握り直し、後退りしながら夜の闇へと消えていった。

 後に残されたのは、塩まみれになった床と、納得がいかない顔の結月。

 そして、「最悪の第一印象」を刻み込まれたアイリスであった。

 真壁少尉、初対面でいきなり塩を投げる暴挙。

 彼にとっては「愛するお嬢様を救うための決死の行動」なのですが、アイリスからすれば「理不尽な筋肉ダルマ」でしかありません。

 この「認識のズレ」を抱えたまま、物語は第2話の洗濯機騒動へ。

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