瓦礫のリュイネル
人が使うのが魔術、魔族が使うのを魔法としました。1-2話も順次、直していきます。
「で?なんなんだこの有様は?魔族騒動があるからと来てみれば.......................まさか応戦してるのは情報課の連中か?」
ぽっかりと空いた街の中心部から少し離れた建物の上、二人の人影がセリーナ達の戦闘を見ていた。
捜査局の制服に軍服コートを羽織った女が口を開く。
「ダメだな、あれじゃあ。勝ち目はない」
「ですね。現に奴ら結界の中に籠っちゃってます」
同じく制服を着、律儀に官帽まで被った女の部下と思しき男が応えた。
「介入しますか?」
「人様の戦いに口を出すのは野暮な気もするけど」
「そんなこと言ってる場合じゃなさそうですけど...ほら、防護結界の周りに瓦礫がどんどん溜まってく。そのうち埋もれますよ」
「しょうがないなぁ。とりあえず長距離射撃術式で攻撃してみて」
「了解です」と言うと男は魔法陣を発動した。特位魔術でこそないが上位のそこそこ難易度の高い魔術だ。
「待った」
発射直前に急遽待ったをかけた女の視線の先には唐突に現れた5本の赤黒い槍があった。男もそれに気付き驚く。
「あれは.........‼︎」
「へぇ、ありゃ特位魔術だ。情報課どもの中にも扱える奴がいるとは..............とりあえず様子見だ」
「ゆっくり観戦といこうじゃないか」と言うと女はどっさりとその場に座った。その口元は緩んでいる。
「こんなとこであぐらかいて…みっともないですよ」
「私は庶民の出なんだ。許してくれ」
女がそう言うと男は諦めたように溜め息を吐き、遠くの戦いを見た。
「なるほど、槍を空中高くから無限に撃ち続けると同時に自身も動き続ける事で迫り来る血痕に意識が向かないようにした。やりますねあの女。魔族に隙ができた」
「ああ」と女が上の空で返事をした。
「後はあそこに総火力を撃ち込むだけです。意外と早く決着が着きそうですね」
「瓦礫のリュイネル。あの魔族の名前だ」
唐突に女が口を開いた。
「ネームド程はいかないが二つ名が付く位は強い。奴の魔法は物質操作。ただし、対象は瓦礫に限られる。一見するとそれだけだがそうではない。奴の怪力と魔法によって作られたあそこは今、完全に奴のフィールドだ」
「よっしゃやったれ!!」とこちらまで聞こえる課長の号令と共に攻撃魔術が放たれる。
チェックメイトだ、とか心の中で痛い発言をしていたその時だった。
嫌な予感がした。
あたりを見回すとふと一本の剣が目に入った。おそらく最初に馬車が吹っ飛ばされた時に中から落ちたものだろう。........え?遺品ってこと?
そんなことよりもなぜだ。奴が操るのは物体を操る魔法だと思っていた。それならばなぜ剣をこちらに飛ばさない?今まで奴が操ったのは.........
瓦礫だけだ。
奴の魔法は瓦礫操作?
まずい。
足元を見るとやはり瓦礫の上に私は立っている。というかここら辺どこを見渡しても本物の地面が見えない。全て瓦礫で埋もれている。
もしも奴がこれら全ての瓦礫を操れるとしたら.........本当にまずいことになる。
でもだとしたらなぜ今まで一部の瓦礫しか操っていなかった?
手を抜いていた?あるいは一度に操れるのには限度があるのか?
いや杞憂だろう。全ての瓦礫を同時に操れるなんて、そんなわけ..........
そんなわけあった。
課長らが放った攻撃魔術が魔族に到達するその瞬間、魔族の周りの瓦礫が一気に動いた。3mは超えるんじゃないかという壁が六角形型に構築される。
瓦礫で出来たその防壁に全ての魔術が無効化される。あの中にいるだろう魔族には届きそうにない。
足元の瓦礫がぐらぐらと揺れ始めた。やがて周りの瓦礫が数個、宙に上がり、尖った角がこちらを向く。見ると課長達も同じ状況だ。
ゆっくりと瓦礫の壁が崩れると中から魔族が姿を表した。
あぁやばい。こりゃマジでやばい。
瓦礫のリュイネルさんの元になったのはRuiner、スウェーデン語で廃墟という意味です。かなりテキトーに考え...(((((((殴
一日おきに16時投稿のつもりでしたが、順調に書けているので、次話は明日には投稿できそうです!
少しでも面白いなぁなどと思っていただけたら評価を頂けると励みになります!!!




