ハンマー系美少女ミルム
「また殺ったの、ジグ。」
「うぉっ、ミルム、いたのか。」
いつの間にかジグの前には一人の少女が立っていた。
身長は150センチぐらいだろうか、透き通るような青色の瞳と肩まで伸びた見事な銀髪をなびかせている。
「ジグ、処理するこっちの身にもなって。」
「いや頼んでねーし、てかいつから見てたんだよ。後気配断ちして近づくな。」
「気配断ちは癖、気づかない方が悪い。見てたのはジグが酒場にいた時から。」
「・・・まじ?なら声かけろよ。」
「え?良かったの?じゃあ今度からそうするー。」
ぱっと無表情だったミルムにふっと笑顔が咲く。
その美少女っぷりに思わずジグは目をそらした。
「どしたの?」
もうミルムの表情は無表情に戻っている。
全く掴みどころのない奴だ。
「何でもねーよ。」
「?まぁいいや。じゃあサクッといこう。」
そう言ってミルムは前の空間に手をかざすと何もない空間から巨大なハンマーが出現する。
アイテムボックス。
空間に物をしまう事ができる非常に便利な魔法だった。
ミルムの年齢でこの魔法を操れるのは彼女の優秀さを証明している。
そしてミルムはそのハンマーを手に取り軽々と振り被り、氷像と化したルードに振り下ろす。
「ほい。」
バスン!!
大きな音を立てて、ルードは粉々に砕け散った。
「後は宜しく。」
「あいよ、トルネード。」
続けてジグが風魔法を唱えるとブァっと風が巻き上がり、
ルードの死体は舞い上がり瞬く間に闇夜に消えてゆく。
「ナイスコンビネーション。」
ミルムが呟いて、パチパチと拍手を送る。
「でこの子達はどうする?まだ殺してないでしょ?」
ミルムがルードの従者達を指を差してジグに尋ねた。
「良く分かったな。」
そう言ってジグはパチンと指を鳴らすと三人の従者達を覆っていた氷がすぐに溶け始め彼女達は解放される。
気を失ってはいるが命に別状はないはずだ。直に目を冷ますだろう。
「分かるよ、ジグの事なら。」
「・・・なんか怖えーよ。お前。」
そう言いながら彼女達の手元にジグは金貨を1枚づつ置く。
ルードを護れなかった彼女達は間違いなく処罰されるだろう。ルード殺害の犯人と疑われるかもしれない。
逃亡資金としは少し心許ないが無いよりはだいぶマシだろう。
「すまねえな、あんたらを巻き込むつもりは無かったんだが。」
相変わらずジグは妙なところで優しいなとミルムは心で呟く。
だがその優しさにミルムとミルムの母は救われたのだ。
そして今度は私がジグを救う番だ、そのためにミルムは魔法や戦闘能力を磨いてきたのだ。
「ねぇジグ、次の仕事私手伝って良いんだよね。」
「リーナの許可が出ればな。」
「うん。てか無理矢理にでも許可取る。」
「ったくミルムも物好きだな、どうせろくな仕事じゃねーぞ。」
「別に何でもいい。ジグの役に立てれば。」
ジグの仕事はミルムも詳しくは知らないが間違いなく裏の仕事であり、表沙汰にすら出来ない内容もあるようだった。
正直に言うとミルムはジグの仕事を手伝った事は一度もないし、許可が下りるかなどミルムには全く分からなかった。
しかし最初ミルムはジグに相手にすらされていなかったのだがようやく自身の実力を少しは認めてくれたようで、ジグの上司である冒険者ギルド長のリーナに改めて紹介して貰える事になっていた。
「仕事頑張るぞー。」
ミルムは巨大ハンマーをブンブンと振り回しながら呟く。
「・・・。」
「どした?ジグ?」
「いやお前見た目と武器が合ってないんだよなぁ・・・。」
「私ハンマー系美少女だから。」
「そんなジャンルねーよ。」
ジグの突っ込みは闇夜に虚しく響いた。




