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氷の魔法使いと炎の姫  作者: 白石カン


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ジグVSリコレット

通用している!私の力は通用している!


・・・いや駄目だ落ち着け!冷静になれ!


リコレットは感情の昂りをどうにか抑えようと必死だった。

そう油断はしてはいけない。気を引き締めろ。


五層までは地上でも出現するモンスターばかりでリコレットも何度か周囲には内緒で狩ったことのある種類だった。先程も言った通りここからが本番だ。


「よし行こう。」

改めてリコレットが気合いを入れ直して前に進もうとしたその時だった。

「・・・?」


何か違和感を感じたリコレットは立ち止まった。

・・・なんだ?急に寒さを感じる。

ルーゼンは一年を通して温暖な気候でこのダンジョンも多少蒸し暑いぐらいの気温だったが、今は明らかに寒さを感じる。


「これは・・・!?」

「リコレット様!お下がり下さい!」


いち早く異変を感じ取ったシーフがリコレットに叫んだ瞬間だった。


ゴォォォッ!!


いきなり凄まじい吹雪が吹き荒れ一気にリコレット達を包み込む。

「なっ!」


突然の奇襲にリコレットは面食らう。

これは水魔法?いや氷か?


この試練の回廊の文献や報告書は全て読破したが吹雪を魔法を操るモンスターはどこにも記載されていなかった。

冒険者達からも聞いた事がない。

そもそもルーゼン王国においても発見されていないモンスターではないのか?

「まさか、新種か!?」

リコレットはなんとかこの吹雪を操るモンスターの位置を確かめようとするが視界は吹雪で遮られていて全く分からない。


まだ第六層だというのにいきなりこんなモンスターに遭遇するとは。

突如訪れた逆境の中リコレットはニヤリと笑った。

「面白い。望むところだ・・・!!」


何があるか分からない、未知の世界。

これこそリコレットが待ち焦がれたダンジョンそのものだった。



とりあえず足止めには成功した。

ジグは吹雪を巻き起こしながらサーチでリコレット達の様子を探る。

どうやら身動きすらまともに取れていないようだ。


この吹雪は氷魔法ブリザードをジグがアレンジした魔法である。

本来はブリザードは氷の刃を飛ばす攻撃魔法だがこの吹雪に殺傷能力はない。

ただ相手を混乱に陥れるには十分効果を発揮するだろう。


未知の脅威に遭遇したら直ぐに撤退すべし。

これはダンジョンにおけるセオリーである。

ダンジョンはまた挑戦すればいい、無事生還する事が何より大事なのだ。


それはリコレットも重々承知している、しかし彼女はここで引くつもりは毛頭なかった。

相手が氷使いのモンスターならば自分とは相性がいい。

簡単に負ける訳にはいかなかった。


「はぁっ!」

リコレットは前に出ながら魔剣イグニスに魔力を込めるとその刀身から炎がほとばしる。

その炎は周囲の吹雪を打ち消して視界が多少開いた。


「皆無事か!」

「リコレット様!はい問題ありません!」

「この程度何の問題もないですぜ!」

ベッツ、レブランと共にパーティーの面々が駆け寄って来る。


どうやら皆無事のようだ、これならいける!


「よし!!イーリエ!マジックバリアだ!」

「はいっ!」


リコレットの指示で魔法使いのイーリエが杖を掲げ詠唱を始める。数十秒詠唱した後に魔法が発動する。

「マジックバリア!」


リコレット達をバリアが包み込み吹雪を遮った。

「さすがだ、イーリエ!」

リコレットは素直に賞賛を送る。

イーリエのマジックバリアは強力だ。

これでバリア内では自由に動ける。これで大分猶予が生まれた。なんとか今のうちに打開策を編み出さなくては。

とリコレットが逡巡した時だった。


「リコレット様・・・!」

「どうした!?イーリエ?」

「この吹雪、この魔力は・・・!」

イーリエの様子がおかしい、その目には明らかに恐怖、怯えが宿っているのが見てとれた。

イーリエは若いが将来を嘱望されている優秀な魔法使いだ。

その彼女が恐怖に慄いている、それほど今対峙している相手は強大だと?

リコレットがイーリエに駆け寄ろうとした瞬間イーリエが展開したバリアは「バリン!」と音を立ててあっさりと破られてしまった。


「何っ!?」

そしてリコレット達は再び猛吹雪にさらされる。

「リコレット様、この敵は・・・。」

イーリエは膝をついてうなだれてしまった。


その様子をサーチで見ていたジグは自分の作戦が順調に進んでいると認識した。

あの魔法使いの心は完全に折った。

打開策が彼女らにあるとも思えない。


リコレット達の撤退をジグが確信した時だった。


「諦めるな!イーリエ!」


・・・ん?


リコレットは啖呵を切り全身に炎の闘気をみなぎらせる。

「はぁっ!!」

「リコレット様!?」

「イーリエもう一度マジックバリアを使えるか!?」

リコレットのその言葉にイーリエは驚きの表情を浮かべる。

「しかし私のマジックバリアでは・・・。」

「五秒、いや三秒保たせてくれればいい!出来るか!?」

イーリエは目を見開く、このお方は王女という立場にありながら決して頭ごなしに命令はしない。そして次は決まってこう言うのだ。

「頼む!やってくれるならば、後は私が切り開く!」

・・・そんな事を言われたら立ち上がらない訳にはいかない。イーリエは杖を強く握りしめ立ち上がる。

「十秒行けます!」

イーリエは力強く言い放ち詠唱を開始した。

「よく言った!ベッツ!レブラン!イーリエを護れ!」

「はっ!」

「おう!」

ベッツとレブランがイーリエの前で構える。

正直なところベッツはイーリエのバリアが破られた時点で撤退を進言しようとしたがリコレットの姿を見てベッツも奮い立つ。


強力なリーダーシップと勇気、そして実力。

どれもがまだ齢十六の王女とは思えない。


やはりこのお方こそ王座に相応しい。

そして私は一生このお方の側で仕えるのだ。


「行きます!マジックバリア!」


詠唱を終えたイーリエがマジックバリアを発動させる。

そしてリコレットは目を閉じて炎の闘気を収めて剣を構え精神を集中させる。


その様子を察知してジグはまた心で悪態をつく。

この戦闘狂が!さっさと撤退しろ!


リコレットの様子が気になりジグはマジックバリアへの対応が遅れる。

その遅れはイーリエに取って非常に大きく、バリアが破られた時既に発動してから十秒以上経過していた。

「リコレット様!後は頼みます!」


「イーリエ!よくやった!燃え盛れ炎よ!魔剣イグニスよ全てを焼き尽くせ!ファイヤーブレード!!」




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