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星脈の戦士次元の波動

次元の狭間は色のない海だった。瀬戸カイトの意識は、青い結晶の脈動に揺れていた。体はなく、記憶も薄れる。「サラ…ユウキ…」呟いた声は、虚空に溶けた。

突然、時間が歪む。銀河が逆流し、星が砕けるビジョンが脳裏を焼く。中心に、黒い球体が浮かぶ。無数の金色の目が蠢き、空間を食らう。「エクリプス・ノヴァ…」カイトの胸で、ニューロ・コアが熱を発した。

地球、林谷市。カオス・ヴェルムの戦いから一週間。AETHERの臨時司令部は、緊張に包まれていた。林サラは、モニターの前に立ち、握った結晶を見つめた。「カイト…どこにいるの?」

「サラ、信号だ!」田中ユウキが叫ぶ。整備員の彼は、ヴェルムの残骸から回収したデータを解析していた。モニターに、歪んだ次元の映像が映る。金色の目が一瞬光り、消えた。「新エンティティ…ヴェルムよりヤバいぞ!」

サラの背後で、AETHERの副司令・水野レイが咳払いした。「林オペレーター、灰原司令の追跡はどうだ?」彼女の目は冷たい。灰原タケシの裏切りで、AETHERは分裂寸前だった。

「灰原は…次元信号の奥に潜んでます。クロノスって組織と繋がってる。」サラの声は硬い。ユウキが続ける。「そいつら、ヴェルムのエネルギーを狙ってた。次は、この新エンティティだろ?」

その時、警報が鳴り響く。空が金色に染まり、林谷市の上空に亀裂が走る。黒い球体が降下し、金の目が街を睨む。エクリプス・ノヴァ。時間と空間を喰らう怪物。ビルが逆再生のように崩れ、車が塵に還る。市民の悲鳴が響く。

サラは拳を握った。「カイトがいなくても…守る!」ユウキがドローンを起動。「俺の新兵器、試すぜ!」改造ドローンがノヴァに突進し、時間歪曲を一時停止させる。だが、ノヴァの目が光り、ドローンが消滅。

絶望の中、次元の裂け目が青く輝く。50メートルの戦士が現れる。流体装甲、紫の脈が走る体。ヴェクター・パルス。カイトの声が響く。「サラ、ユウキ…遅れた!」

結晶が輝き、口上が迸る。「その名を刻め、ヴェクター・パルス!」

戦士の波動が空気を震わせ、ノヴァの目を一瞬閉じさせた。サラが叫ぶ。「カイト! 生きてた!」ユウキが笑う。「さすが俺の相棒!」

戦いは苛烈だった。ノヴァの金色の目は、時間を操り、カイトの波動を過去に飛ばす。カイトは記憶の断片を頼りに反撃。ニューロ・コアが熱を帯び、意識がノヴァの核に触れる。「お前…ヴェルムの同胞か?」

ノヴァのビジョンが流れ込む。次元戦争。ヴェルムとノヴァは、古代文明の守護者だった。クロノスがその力を奪い、宇宙を支配しようとしている。カイトは歯を食いしばった。「灰原…てめえか!」

サラが叫ぶ。「カイト、ノヴァの核を共振させられる! ユウキのデータで、信号を送る!」ユウKIが新型ドローンを飛ばし、青い光がノヴァを包む。だが、水野レイの声が割り込む。「林、田中、止めるんだ。ノヴァの力はAETHERのものだ!」

サラは凍りついた。「水野…あなたもクロノス!?」レイは笑う。「灰原は囮だよ。AETHERは私の掌の上だ。」

カイトはノヴァに語りかけた。「お前と組むぜ。」青と金の波が共鳴し、ノヴァの核が輝く。カイトは拳を叩き込む。爆発が空を覆い、ノヴァは光の粒子に変わった。裂け目が閉じ、街が静寂に包まれる。

だが、レイは逃亡。カイトの記憶は、さらに薄れた。サラが駆け寄る。「カイト…まだ戦うの?」カイトは結晶を握るサラの手を見つめた。「サラ…お前がいるなら、俺は戦える。」

ユウキが肩を叩く。「次はクロノスぶっ潰すぜ!」サラは結晶を掲げた。「カイト、絶対に戻ってこい。」戦士は青い光に消え、次元を追った。

END

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