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魔法の世界に憧れて  作者: 富乃光
日常編
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星の降る夜

 この地に生きる全ての人間の憤懣と絶望を、後世に残す。我々は世界に見放された。隣人は昨日死んだ。明日は下の階の、一人残された幼い娘が死ぬだろうか。俺は彼女を助けてやりたかったが、もう、ベッドから起き上がることすら儘ならない。未知の感染症は日本全土を覆い尽くし、つい先週、ヨーロッパ初の罹患者がロンドンで確認された。ああ、いよいよお終いだ。俺は来月からメルボルンに留学する予定だったんだよ! あと一年早ければ、俺は今頃、絶望の国から抜け出して、故郷の惨状を憂いながら、遠い異国の地で学生生活を続けていた筈なんだ。


 エリ・エリ・レマ・サバクタニ(神よ、神よ、何故我を見捨て給うたのか!)


 イエスの叫びは地を震わせた。俺の叫びはどうだ。虚しくアパートの寝室に反響するのみで、誰も聞いちゃいないだろう。何だ! 苦情の一つでも入れたらどうだ! 誰か返事をしてくれよ! ああ……つらい……。


 ラインの着信音が聞こえて来る。しかし手が届かない。せめて最後に、誰かの声が聞きたいのに。






 なあ、見てるか? 俺は生きたぞ。こいつを読んだ人間は、▢▢▢(三字欠損)

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