18 白き聖地にて
二、三日で毬江は元気になったが、念のためとあと二日、逗留させともらうことになった。
なんと行っても、次の目的地は最終目的地の白の神殿だ。女神がおわす言われるその場所は、選ばれし者しか足を踏み入れるとこが出来ない、神聖な場所だ。
「いい?ラシードはしっかりとミヤの腕をとって、離れないようにしてください。
そしてもう片手を凪にしっかり触っていてください」
凪は、姫御子専用の伝説の麒麟のような生き物だ。名前によって性格が左右されるらしいが、姫の付けた名前の通り、穏やかな性格のようだ。
なかには特殊な名前を付けられたばかりに、戦闘で誰よりも早く現場に躍り出る神獣もいるとか。
「いい?準備はできました?」
姫の確認に、ラシードが頷く。
神獣は、この気に足を踏み入れる鍵となる存在で、神獣に触れていないと弾かれる。間接的でもいい、だからミヤはラシードの手を強く握った。ラシードも同じように握り替えしてくる。
ミヤの告白以来、スキンシップが増えた気がする。頭をなでる、頬をなでる、手をつなぐ、その他いろいろ、隙を見て抱き締めてきたり、不意にキスをしてきたり。その都度、恋愛初心者のミヤは戸惑いっぱなしだ。
それはともかく。
姫が、皆が用意できたのを確認すると、
「行きます」
そう告げて半透明な幕をくぐった。
もちろんラシードもミヤもくぐる。
なんともいえない不思議な感じ、海月や寒天を通り越したらこんな感じかな、やったことないけど。
そんな事を考えていたら、一面真っ白な場所にでた。
あぁ、『たまご』に飛ばされたとき、一時居た白い世界がここなんだ。
一面白、しろ、シロ。
こんな所に神殿があるのかと思うくらい、白い世界に、でも凪は迷わず姫御子を乗せて歩いていく。
ミヤもラシードと手を繋いでいないと迷いそうなくらい、白い世界だ。
しばらくすると、神殿らしき建物が見えてきた。
あそこに女神がおわす神殿なんだろう。
なんという神々しさ、近寄るのが恐れ多いくらい、神気を放っている。
真っ白な世界に真っ白い神殿。
近付くと勝手に門が開き、姫神子たちを招いているようだ。
部屋の中心には、祭壇のようなベッドのような物があり、姫がなにかをつぶやくと、その別途はふわふわさをなくし、固いベッドになった。
さぞや寝なにくそうなベッドに毬江はよこになる。
これではまるで、毬江が生贄のような…まさか。
目を見張っていると、ラシードが告げた。
「ミヤ、お前は見なくていい」
そう告げられても、目が離せない。まさかラシードが姫を──姫神子を!
to be continued…
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