「るろうに剣心」のタイトル力
作品はタイトルも重要ですよね。
「あれ……もしかしてこのタイトルってすごいんじゃね?」
7月25日、つまり今日ふと思わせたのは「るろうに剣心」でした。
私が中学生のときに週刊少年ジャンプで連載されていた作品であり、今は続編がジャンプスクエアでやっているようです。
まあ、ストーリーやキャラの魅力はあちこちで語られているでしょうから、省略します。
さて、何をすごいかと思ったかと書くと、タイトルは丸っこい字体で描かれているのですが、これが「る」と「ろ」の曲線を形を強調しているのです。
穏やかでありながら今にも飛び跳ねそうな躍動感に満ちているこの二文字。「る」で力を溜め「ろ」で障害を越えるようにも解釈できます。さらに「うに」の部分では流れをそのままに「剣」で固く変わります。
そして、「心」の丸さで流れを戻すのです。
-ーここまでが、「目」に訴える力です。
さて、皆様は漫画が面白かったと話すときは、口を使って喋りますよね。
ここでローマ字にすると「RUROUNIKENSHIN」となります。略称は「RUROKEN」。
実際に発声すると、まず「R」は舌先を上顎に滑らせて出す、かなり絶妙なテクニックを要求されます。そして「U」と「O」はどちらも唇をすぼめる、ひょっとこみたいな形です。そして三番目に控える「U」は子音のない、純正の母音。「NI」の「N」は舌先を上顎に一旦つけますが「T」ほど強い子音ではありません。どちらかと言うと、発声方は「R」に近いです。「I」は先の「U」や「O」と違い、口角を左右に広げるようにします。
さらに続く「KE」、「K」は「R」や「N」と逆に舌の根を上顎の奥につけて、「E」は唇を三角に開くのです。
さて鼻から息を抜くような「N」を経由して「SH」に来たわけですが、舌先を歯に近づけて出すため、摩擦がすごいです。単体でそこまでなのに「N」の後で耳にしたら刺激は増幅されます。「I」、つまり子音が加わったらさらに効果は高いです。
そしてシメは「N」。鋭い音を断ち切ることになります。
この八文字の中で人は発音に注意力を必要します。「るろうに」部分を「るろーに」と言っても、「に」で言葉の流れは変わります。略称の「RUROKEN」でも、単純に舌の動きなら先端、先端、根本、先端、唇ならすぼめる(小)、すぼめる(大)、逆三角、持続で、前半の流れが後半で変わります。
つまり発音に注意することで、言っている人間も脳に焼きつけるわけです。
最後に耳。これは口での立場をひっくり返したわけで、聴いて印象が強く残ります。
なお、作者は原作は京都編の半ばまでしか読んでおりません。もしかしたら別の理由があってこのタイトルにした可能性もあります。
でも、このタイトルが内容にしっくりきたからこそ、人気漫画の一つとなった説を唱えたくなりました。
最後に、ここまで読んでくださった皆様、誠にありがとうございました。
でも自作のタイトルづけはかなりテキトーですが(作品内のセリフが主)