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ShadowSraid  作者: 鬼子
最終編 新世界の神編
97/98

4

 <view:ダリア>


「最近の若者はうるさいのぉ?」


 そう聞こえた声に俺は振り向く。


 灼熱の業火に包まれた町の中に響いた低い声。

 声の主の姿は確認できなかった。


「上じゃよ。上」


 その声に俺は空を見上げる。

 斜め上部、視界にとらえたのは人より大きい何かだった。


「・・・誰だ」


 俺はそう問う。

 黒いマントに覆われた体。

 角度的に顔が見えない・・・

 生物かどうかも怪しい・・・


「ワシは・・・」


 何かはそう話しながら俺に顔を見せた。


 白骨の体。身のように赤黒く光る眼・・・

 見覚えがある。


「リッチか・・・?」


 俺がそう呟くと白骨の彼は赤く染まった空を見て高らかに笑う。


「リッチか! 若造の目にはそう映るか・・・ 違う・・・違うなぁ? だが、高貴な魔物を選んだことだけは誉めてやろう」


 そう言ってフワフワとしたままゆっくりと降りてくる。


「ワシはリッチなどと関係が深い・・・そういう意味では着眼点はよかったな・・・」


「関係が深い?」


「親じゃよ」


 そう話しながらカタカタと頭蓋骨を鳴らす。


「親・・・スケルトン系の生みの親ってわけか・・・」


「そうじゃ」


 聞いたことはある。

 平和な世界、そこに現れた多種多様な魔物。

 彼らはどこから生まれ、どう生きてきたのか。

 一説には魔王が生み出したといわれているが、一番可能性があるとされているのは親がいること。

 彼らも繁殖、または別の手段を用いて数を増やすといった説だ。


 それは何体か存在し、もちろんスケルトン系の魔物の親だって存在する。

 それが・・・


「骸の王・・・」


「ほう?貴様ら人間の間ではそう呼ばれているわけか・・・悪くないではないか」


 そう話しながら骸の王は歪な形をした剣をマントから取り出す。


「魔界・・・ここは我々のテリトリーだ。侵入者の若造、ここで死んでもらうぞ」


 その言葉の直後、周囲が紫色に怪しく光り、カラカラと音を立てて何かが生み出された。


 骸の軍隊・・・これが、骸の王の能力か・・・


 生成されたスケルトンたちは俺を見つめて殺意をむき出しにする。

 武器を持ち、戦闘が開始されるのはすぐだった。


 群れの中から一本の矢が飛んでくる。

 それが戦闘の合図となった。


 姿勢を低くして矢を回避する。

 その状態のまま走り出し、残った腕でナイフを引き抜く。


「はぁぁぁ!!」


 渾身の一撃を叩きこむ瞬間、体に赤い何かが当たり炎上する。

 衝撃ではじかれるように壁に叩きつけられ、肺から酸素が押し出される。


「あっつ・・・」


 視界から炎が消え、正体を視界にとらえる。


 数十・・・いや、数百はいるだろう軍隊の最高峰、神々しく光る何かに目を細める。


「ちっ! スケルトンソーサラーか・・・」


 見ただけでも数十。

 確か、スケルトンソーサラーは銀等級だっただろうか。

 個々では脅威ではないが、数がいると一気に等級が跳ねあがるタイプのモンスターだ。


「くっそ・・・この傷で勝てるわけない・・・」


 俺がそう呟くと骸の王がこちらを見てにやりと笑う。


「若造・・・その傷では勝ち目がないだろう?」


 バレてやがる。

 だが、事実だ。

 片腕はない・・・傷もあり上手く動けない。 ならどう戦う?


 瞬間、遠吠えが響き渡り、スケルトンたちの動きが止まる。


「この声・・・」


 生きていたのか。治療が早くて助かるぜ・・・


「フィーニス!」


 空から大型の獣が降り立つ。

 

「お待たせ」


「よかった、生きてたんだな。赤等級になってんのかよ」


 俺のその言葉にフィーニスは笑いながら骸の王をにらむ。


「あいつ・・・やばいね」


「わかるか?」


「ええ・・・完全に赤等級・・・もしかしたら黒かも」


 フィーニスはそう話しながら牙を見せる。


「どのくらい操れる?」


 俺の言葉に彼女は首を振る。


「正直わからない。 数が多すぎてどれがどれか・・・」


 そんな時、どこからか声が聞こえる。


「俺らもいるから安心しろ」


 直後、地面が黒い液体で満たされ、その中から何かが這い出てくる。


「ジェイル・・・」


「お待たせってやつか?」


 彼は笑いながらそう呟いた。


「ダリア、骸の王はお前がやれ。 それ以外はこっちでどうにかする」


 そう言って走り出した無数にいるレイドの背中を見つめる。


「あいつらは気が早いわね」


「遅いよりいいさ」


 そう話して俺も走り出した。


「ちょっと失礼!」


 スケルトンたちの頭を足場に骸の王に接近する。


「ここでお前はおわりだ・・・!」


 骸の王にナイフを突き立て、力を込める。

 ガチガチと金属の音が響く。


「こいつの骨・・・金属か!?」


 骸の王の顔を見上げ、そう叫ぶ。

 にやりと笑う彼の背後に岩が見えた。


「・・・なんだ?」


 俺の言葉に骸の王も背後に視線を向ける。

 周りを見てみると、建物が修復されていく。


「治っていく・・・」


「それと同時に破壊される」


 俺の言葉に返すように骸の王が話した。


「何か知っているのか?」


「ワシらの協力者と言っても過言ではない・・・転移者・・・概念反転」


 その言葉には聞き覚えがあった。

 白髪の転移者・・・あの少年・・・魔界を被せたのは何か企んでいたからか・・・!


 瞬間、彼のマントが翻り紫色の球が視界に入る。


 そこにナイフを突き立てると、骸の王は息絶えた。


「・・・よわ!」


 そうか・・・こいつの能力は使役で本体は別に強くないのか?


「それより・・・」


 俺は疲れている仲間に視線を移す。

 血を流し、傷だらけのフィーニス。 

 ジェイルも息が上がり、天を仰いでいた。

 あぁ、そうか。骸の王が弱かったんじゃない、彼らの傷と引き換えに恩恵が発動した結果か・・・


 俺は頭を振り、雑念を振り払う。


「フィーニス・・・」


 俺は彼女の名前を呼びながら近づく。


「どうしたの?そんな焦った顔して」


「今の状況・・・かなりやばいかもしれない・・・」


「え?」


 俺の言葉にフィーニスは気の抜けた声を漏らす。

 その声は業火の音に吸い込まれた。

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