表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ShadowSraid  作者: 鬼子
異端の強者編
92/98

11

 <view:フィーニス>


 横たわる主の姿。

 血にまみれた姿で椅子として扱われていた彼を見つめて私は叫んだ。


 それは無意識で、気が付いたときには叫んでいた。

 それと同時に怒りという感情が湧き上がってくる。


 怒りで頭に血が上っているのか、視界がグニャリと歪み呼吸が荒くなる。


「ほう・・・ここまでは万能予知でも認識できない範囲だったな・・・」


 黒髪の男はそう呟き視線を動かす、その表情には焦りが見え、まるで退路を探しているようにも見えた。


 瞬間だ。

 私の視界は怒りで歪んでいるわけではないと気付いた。

 では原因は何なのか。 それは横にいる機械人形がよく知る。


「ダ、ダリア様・・・」


 まるでエラーを起こしたかのように瞳がチカチカと点滅と変色を繰り返す。


 そして空間が歪み、特大の剣が姿を現す。


「・・・レメディ?」


 私は彼女の名前を小さく呼んだ。


 彼女は生物ではない。

 だから感情はないはずだ。

 なのになぜこんなに怒りに満ち、道しるべを失ったような表情をしているのだろう。


「フィーニス様・・・」


 そう呟きながらレメディは私を見つめる。


 その瞳は完全に感情がある人間のように見えた。

 ただ、その一言をつぶやいてレメディは男たちに視線を戻す。


 現れていた特大剣が地面に突き刺さるように大きな音を立てながら地面に突き立つ。


「ゴミどもが・・・」


 その言葉はおそらく、作られてから初めてレメディが口から出した汚い言葉になる。


 直後、特大剣が地面を滑るように動きだし轟音を立てながら瓦礫を巻き上げる。

 それは彼らの方にはいかずに、まるで彼らにステージを用意するように彼らの周りを旋回していた。


「はっ! どこ狙ってんだよ!」


 赤髪の男がそう話す。

 

 だが、そんなことを言っている暇すらないと、黒髪の男は気づいているようだった。


「馬鹿野郎!逃げるぞ!」


「はぁ?逃げる? 何言ってんだ? 俺の万物変換は触れたら一瞬で粉々にできる能力だぜ?」


 そう話す赤髪の男の腕をつかむ。

 そして黒髪の男は叫ぶように鬼の形相で口を開いた。


「万物変換なんかじゃ役に立たないから言ってるんだ!たった二本しかない腕で100、1000の弾幕をどう避ける気だ!?」


 そう話した瞬間に赤髪の顔がゆがむ。

 今気づいた。 いや、今更というべきか。


 その時には周囲の瓦礫は宙に浮いていた。

 

 レメディの能力・・・

 先ほどは説明をされなかった。


「レメディ・・・」


「私の能力は剣で傷つけた対象の重力を操作すること・・・これは博士からもらった最後の贈り物です」


 そう話しながらも瞳から怒りの感情は消えないまま彼らをにらむ。


「逃げるぞ!」


 そんな声が響いた瞬間、浮いていた瓦礫が動き出す。


 放たれた石の弾丸は二人をしっかりと捉えて穿つ。

 石がぶつかり、崩れ、土煙が舞う。


 視界は煙幕が張られたように白く染まり何も見えなくなる。


 数秒たって、そこは静寂に包まれる。

 土煙はいまだ晴れずに視界を覆っていた。


 だが、レメディの視線は逸らされることはない。


「まだ死んでない・・・」


 そう言いながら彼女は煙幕の中をにらむ。

 突如風が吹き煙幕が晴れた。


「なるほど・・・石製のドーム・・・いい起点だ」


 黒髪の男がそう話しながら赤髪の男の肩に手を置く。


 そうか・・・

 万物変換で地面から全方位を包む盾を出したのか・・・


 かなり厄介な能力かもしれない。


「そうか・・・そうなんだな」


 黒髪の男が自身の頭を押さえながらつぶやく。

 何が・・・


「未来が見える。ここまで鮮明に・・・命をかけてギリギリを生き延びたから、突き詰め、無駄を省いた未来が見えているのか」


 そう言いながら黒髪の男はこちらを睨み、ニヤリと大きく笑い凶悪な顔で歯茎を見せる。


「お前らを2手でぶっ殺す方法が見えた]


 黒髪の男がそう言うと、赤髪の男が足元に落ちていたこぶしほどのサイズの石を拾い上げる。


「あぁ」


 赤髪の男はにやりと笑い、手に持っていた石を変化させる。


「この能力のいいところは、形状だけ知ってれば完全に同等クラスのものを作り出せることだ」


 そう話した途端、赤髪の男の持っていた石がグニャリと曲がり、筒状の何かに変化する。


 何あれ・・・

 見たことのない品・・・魔道具?筒状の魔道具なんてあっただろうか?

 知らない・・・知識にない。


 それに、その何かの先端についている輪っか・・・

 あれは一体何なのだろう。


「なぁ・・・機械、獣人・・・スタンってしてるか? 別ゲーではコンカッションだったか?」


 赤髪の男はそう言いながらこちらを見る


 スタン・・・コンカッション。 何の話だろう。知らない名前だ。聞いたことすらない。

 私は首をかしげる。


 瞬間、赤髪の男は輪に指をかけ、一気に引いた。

 キンッと甲高い金属音が響き、筒状の何かを地面に転がす。


「あ、そうだ・・・」


 赤髪の男は口を開きそう話す。


 筒状の何か。正体不明の何かがコロコロと転がり私たちの前でぴたりと静止する。


「閃光弾って言ったらわかるか?」


 赤髪の男がそう話した瞬間、脳がフル回転される。

 せん・・・こう・・・だん・・・

 専攻?先行?選考?


 せんこう・・・せんこう・・・


 どれだけ考えても答えは出ない。

 

 思考が停止する寸前、脳内に保存された単語に一つだけ不吉なものがあった。

 この間一秒もない。


 閃光・・・


「閃光・・・!?」


「フィーニス様、目を守って!」


 瞬間ピカリと視界がまぶしくなる。

 発光の衝撃か、起爆時の衝撃か視界がユラユラと歪み、キーンと耳鳴りがなる。


 なんだこれは・・・

 知らない・・・こんな魔道具知らない・・・


 瞬間、激痛とともに地面に膝をつく。

 なんだ、次は・・・


 視力が徐々に回復し、痛む足に視線を落とす。

 足には数個の穴が開き、鮮血があふれ出ていた。


 獣化を解除していなければ何か変わっただろうか・・・


 もう遅い。

 立てない、力が入らない。


 レメディも横たわっている。

 絶命・・・いや、故障という表現が正しいだろうか・・・


 わからない、 状況が一瞬で覆されたのだ。


 カチャッと音が鳴り、視線を向けると黒髪の男が何かをこちらに向けていた。

 黒いフォルムの穴の開いた道具・・・


「これは銃って呼ばれる道具だ。まぁもう知っても意味ないけどな」


 直後、パァンと銃声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ