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<view:レメディ>
私は癒すために・・・
助けるために作り出されました。
誰かを一人にしないために、大切な人を守るために・・・
博士の弟・・・クロークス様は死んでしまいました。
雨が降る中、地面に膝をつき絶望を見せていたダリア様。
あなたのそばにいれば私は気持ちを学べるでしょうか?
フィーニス様、あなたのそばにいれば愛を、誰かを好きになることを学べるでしょうか?
たくさん知りたいことがあります。
喪失感も、絶望も、愛情も、死にたくないと思うことさえ私にはできません。
全部がおわったら、私に教えてくださいますか?
全部終わったら、亡くなった方に対しての悲しみを知れますか?
全部終わったら・・・
だから、負けられませんね。
白い煙が目の前に広がる・・・
「煙? この中でフィーニス様は満足に動けるんでしょうか?」
私はそんなことをつぶやいていた。
誰かを心配することもダリア様と一緒にいて学んだ感情です。
刹那、聴覚器官に水音が入る
おそらく、フィーニス様が傷を負い、血が流れたのでしょう。
「助けないと・・・」
こんな機械でも・・・役に立ちますか?
いえ・・・役に立って見せます。
私はゆっくりと歩き出す。
役に立たなくても、きっとあの方は『仲間』と呼んでくださる。
それだけで私のエネルギーになります。
レメディ・・・なんていい名前でしょう・・・
あぁ、ダリア様・・・私はあなたに会いたいです。
フィーニス様と一緒に・・・
「フィーニス様、下がってください。 ここから先は私が・・・」
私の体は煙など関係ありません。
博士が作ってくれた瞳は温度を検知します。
さぁ・・・始めましょう。
瞬間、体に何かが当たったのか金属音が鳴り響くとともに火花が散る。
「なんだ?」
「なんでしょう?機械人形を見るのは初めてですか?」
煙の中に響く声に耳を傾ける。
「レメディ・・・あんた!」
「フィーニス様、早くかたずけてダリア様に会いに行きましょう?」
きっとフィーニス様はこちらが見えていません。
でも声は届きますよね
「くそが!」
そう話して突っ込んでくるカズマに特大の大剣が振り下ろされる。
「あぶっ!」
危険を察知した彼は能力で姿を消す。
だが私が召喚した剣の切っ先には血が少量ついていた。
煙が徐々に晴れる。
視界が開け、上裸の男が視界に映された。
腹部はほんの少しだけ裂けていて、血が流れ出ている。
「切れてます」
「見ればわかる、だから何だ!?」
私の言葉に彼は怒鳴るように言いました。
「いえ・・・ただ、私の勝ちが確定しました」
「は?」
「え?」
私の言葉に二人が変な声を漏らす。
「・・・レメディ。説明しなさい」
「はい、私の剣はただの剣ではありません」
「知ってる、空間から取り出す剣なんて存在しないもの」
フィーニス様はそう言いました。
ですがそれでは普通ではないですか。
「いえ・・・出し方が特殊なのではなく、剣そのものが特殊なのです」
そう話すと、フィーニス様は首をかしげています。
「まぁ・・見ていてください」
そして私は自身の手をカズマに重ねるように突き出す
「カズマさん・・・いいえカズマ・・・あなたに恨みはありませんが、死ぬほど痛く、死にますよ」
私は重ねた手を上にあげる。
直後、カズマの体が浮いた。
「レメディ・・・これ・・・」
「はい重力操作です。博士の・・・ティタ様のよりかは性能は低いですが・・・人一人ミンチにするくらいなら簡単です」
そう言って私は上げた手を振り下ろす。
浮いていたカズマの体が床にたたきつけられる。
「がぁっ!」
そんな声を漏らすカズマには目もくれず、再度上げ、振り下ろす。
「や、やめっ」
振り下ろすたびに皮膚がつぶれ、骨の砕ける音が聴覚器官に響く。
そして血でドロドロになった彼を再度持ち上げる
「もう・・・やめ・・・」
「だめです」
そういって力強く彼をたたきつけると床が破壊される。
おそらく絶命した彼の体は下の階に落ちていった。
「・・・ふぅ。行きましょう、フィーニス様」
そういって私は先に歩き出す。
私の戦闘が終わるころには剣戟はやみ、生き残っていたものも目を合わせない。
彼らも傷ついているし、転移者を殺されたんじゃ勝ち目がないとわかっているのでしょう。
私たちは階段を降り始めて数分、光の届かない下の階まで下りてきた。
「あれ?・・・なんで生きてんだ?」
暗闇の中に赤く光る人の形をしたものが二人。
「カズマはどうした?」
「死んだんじゃないですか?」
私がそういうと、何かに座っている男がため息を漏らした。
「あぁ・・・煙幕を使うタイミングをミスったのか」
悲しがるそぶりはない。
もしかしたら、カズマが死ぬのを知っていたのかもしれない。
「ダリア様はどこですか・・・」
私は問う。ひんやりと埃っぽいこんな場所はあの方には似合わない。
「ダリア? あぁいるぜ」
男はそう言いながら立ち上がる。
「・・・レメディ・・・。あそこ・・・座られてたやつ・・・」
フィーニス様がそう話す。
そうか、彼女は獣だから夜目が利く。
私も、瞳のライトをつけた。
フィーニス様が言った何かを見つめる。
血だまりの中に横たわる何か・・・
黒髪の少年。
見覚えのある義手。
見覚えのある・・・
「ダリア様!」
「ダリア!!」
暗闇の中にいた男たちは私たちの声を聴いてにやりと笑った。




