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ShadowSraid  作者: 鬼子
異端の強者編
86/98

5

 コトッ


 足を鳴らしながらゆっくりと屋上に降り立つ。

 これほどの数がいながらバレないのは、彼らがレイドだからだろう。

 

 レイドの体は黒く、闇に溶け込む。

 夜襲を仕掛けるのにはうってつけだ・・・

 生まれながらにして襲撃者・・・それなら彼らが強いことも理解ができた。


「さて、こっからどうするんだ?」


「いい質問だな、ダリア?」


 俺の問いにジェイルが笑った。

 続けるようにため息を漏らし、口を開いた。


「ここから窓をかち割って侵入する」


 ジェイルは確かにそう言った。


 ん?なら、ならなぜ屋上に登ったのだ?

 ただ襲撃するなら屋上に登る必要はないはずだ。


「待て、ゆっくり侵入するんじゃないのか?」


「誰もそんなこと言ってないだろ?あれ、言ったっけ?言ってないよね?」


 ジェイルが自身の頭を掻きながらそう話した。

 確かに言われてないような気がする。

 だが、リスキーではないのだろうか。


「バレないようにした方がいいんじゃないのか?皇帝がいる場所だろう?」


「だからだよ?誰にも攻められないと思っている今がチャンスだ。あらゆる音は緊張感を走らせ、思考を停止させる。それに、危険なのは最初からだろう?」


 ジェイルはそう話す。

 

 それはそうだ。

 皇帝殺しは重罪・・・最初からやばいことをしているに違いない


「死んじゃいけないのは・・・ダリアと、そこの女2人だ。 俺たちは死ぬ覚悟をしてる、それに、多分死ぬ。 違いは、先に死ぬか、後に死ぬか。それしかない。わかったら準備しろ」


 ジェイルにそう言われ、俺はため息を漏らす。

 覚悟が出来ていなかったのは俺の方だったらしい。


 短剣を腰から2本引き抜き、軽くその場でジャンプする。

 手足をブラブラと振り、準備体操。

 直後にゆっくりと目を瞑り・・・深呼吸をする。


 じわじわと緊張感が高まっていき、体に力が入ると、背中を叩かれた。


「なんだよ」


「緊張感を持つのは大切なことだが、身体の動きが鈍る。一つのミスで死ぬ、リラックスしろ」


「悪いな、あいにくそう切り替えられないもんで」


 ゆっくりと目を開く。


「よし、いつでもいいぞ」


「了解、・・・・・!・・・・・」


 ジェイルが何かを言って、彼らは俺やフィーニス、レメディの体を持ち上げた。

 そして、走り出したのだ。


「まて、何する気だ!」


「口閉じてろ!ガラスでズタズタになるぞ!」


 楽しそうに話すジェイルは速度を緩めず、屋上から飛んだ。

 他のレイドも同じだ。


 綺麗な月明かりが城をテラス。

 廊下に面するようにいくつも張られた窓ガラスが綺麗にキラキラと光っていた。


「ほらよっ!」


 瞬間、ジェイルを含めたレイドの腕から黒い糸のような物が出る。

 それは城壁にくっ付き、落下を防ぐ。


「さぁ、侵入作戦開始だ!」


 身体が振り子のように振られ、窓ガラスを突き破った。


「なんだ・・・しんにゅ・・・!」


 廊下を歩いていた警備兵の1人は、応援を呼ぶ前に首を切り落とされていた。


「よし、取り敢えずは侵入成功。魔界に繋がる道はおそらく地下だろう。 屋上には何もなかったからな」


 ジェイルはそう呟いた。

 突如、無数の足音が聞こえる。


「ありゃ案外早かったな?」


 ジェイルはおちゃらけるように言った。

 20人ほどの兵士が現れたのだ。

 これほどの統率を測れるのは何故か。


「まじか・・・本当に来やがった・・・」


「俺たちがここで食い止める!」


 兵士は互いを鼓舞するようにそう叫んだ。


「ダリア!行け! すぐに合流する!お前は地下を目指せ! 生憎俺も皇帝の部屋までは分からない!それに、兵士は俺たちが来るのを知ってた、何かやばい気が・・・」


 瞬間、足元の地面が爆発を起こし、浮遊感に襲われる。


「ダリア!」


「ダリア様!」


 フィーニスとレメディの声が聞こえ、落ちていく中でも、彼女達に手を伸ばした。

 空振り・・・無情にも、彼女達の手は掴めず、俺は闇に落ちた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ガララッ


「いってぇ・・・」


「マジか・・・まだ生きてたのか。死ねば楽だったのに・・・」


 俺が立ち上がるとそんな声が聞こえた。

 薄暗いが、見えないわけではない。

 2人・・・誰かが立っている。


「死んだがどうかはお前が一番わかってるだろ」


「黙ってろ。お前とは友達じゃねぇし。それに、能力はしっかり知っとくべきだ」


 そう話す彼らの姿が徐々に見えてくる。


 両者とも身長は170センチ。

 片方は黒髪で、片方は赤髪。


「爆発させたのはどっちだ?」


 俺は短剣を握りしめ、問いかける。


 そうすると、黒髪の男が赤髪を指差した。


「こいつだ。こいつ」


「おい!言うなって、面白くないだろ」


「今言うか後でいうかだろ。いずれバレるから、隠すなよ頭悪いな」


 黒髪の男はため息を漏らしながらそう話す。

 すると、赤髪が一歩前に出た。


「俺の名前はシュウト。 別に自己紹介とかいらねぇだろ? 逃げるなら今だぜ、俺の能力は『万物変換』触れたら終わりの、最強能力だ」


 赤髪の彼、シュウトはそう言いながら近くの瓦礫を触る。

 次の瞬間、触られた瓦礫は全てが砂になった。

 だが、彼は止まらずに砂に触れた。

 何も無いはずのただの砂。それに触れ、徐々に形を形成していく。


 いずれ、現れたのは湾曲した剣だった。


「・・・刀・・・」


「お、知ってるのか」


 シュウトはニヤリと笑う。


「もういいでしょう。ダリアさん。手を引いてくれ」


 黒髪の男がそう話す。


「なんで名前を知ってる?」


「それは俺の能力、『万物予知』から来てる。分子や電子、素粒子から、先の未来まで見ることが出来る」


「分子?電子?なんだそれ」


 そういうと、黒髪の男は頭を抱えた。


「そうか・・そこまで発達してないのか・・・。取り敢えず、アンタの敗北は予知で確認済みだ。諦めるなら今、どうする?」


 薄らと見える顔は真剣で、まっすぐな眼差しをしていた。

 選択肢をくれているのだろう。


 悪いやつではないのだろうか。


 俺は深呼吸し、目を閉じて思考を巡らせる。


 数秒後・・・ゆっくりと目を開き、彼らを見つめた。


「やり合おうか。俺にだって目的がある」


「だよな・・・目的な・・・俺達にも、帰りたい場所がある」


 俺は短剣を構えると、赤髪は手袋をはめる。

 黒髪は何やら見たことのない物体をこちらに向けた。


「・・・なんだそれ」


「銃・・・知らない?」


「知らんな」


「あっそ。死ぬ前にしれて良かったね」


 黒髪の男はそう呟いた。

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