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「侵入経路は?」
「・・・夜に、俺らが上から引っ張りあげる。屋上からなら侵入は容易だ。誰も上からくるなんて想像もしないからな」
確かにそうだ。
いくら魔法を使うやつらでも、羽が生えてない限り空を飛ぶことはできない。
落下を緩やかにする魔法は知っているが、飛んだり、滑空をするなど、鳥のように飛べる魔法は見たことも、聞いたことすらない。
なら、空はあまり警戒しないだろう。
そうなると、ジェイルとカルロスの意見は正しく、信頼できる。
問題は・・・
「お前らを信頼して良いほどの材料は? さっきの話が本当かどうかもわからない・・・」
そう話すと彼らは顔を見合わせ、少し考えた。
「ならどうすれば良い?戦うか?」
脈絡のないその返事に、ピリッと場が凍る。
だが、彼らは自身を弱いと言っていた。
「たった2人で俺たちに勝つつもりか?」
「はっ!聞いたかカルロス! たった2人だってよ・・・これが魔王候補とは聞いて呆れるぜ」
魔王候補。
知っている人間はそう多くはない。
「なぜ俺が魔王候補だと知ってる?」
「俺たちは元々サディアと共にいたんだぜ?多少の情報はどうしても流れちまう。ま、レイドの中にも人間に味方するやつはかなりいるのさ、何百年も前からな」
ジェイルはそう話し、地面に座り込む
「なぁ。お前ら、この広場を見て何も思わないのか?」
ジェイルはそう呟いた。
周りを見渡すと、特に変化はない。
普段から綺麗な場所だ。
観光の時期になると人が増え、賑わう。
まぁ、観光の時期じゃなくても帝都内は賑わっているが・・・
そこでぴたりと思考がとまる。
「人がいない」
「だよな?まぁ信じるか信じないかはお前次第だダリア。 だが、戦いたいならどうぞ。まぁ。この人数に勝てるとは思わないが」
そう話し、ジェイルはパチンと指を鳴らす。
瞬間、建物の隙間から人間が出てきた。
パッと見ただけでも50近くはいるだろう。
腕輪をつけている者や、ただの市民もいる。
「多いな・・・」
「どうする? やるか?やらないか、信じるか、信じないか」
そう決断を迫られる。
だが、市民は弱く、銅等級の冒険者にすら勝てない。
腕輪をしている冒険者は金以下だ。
フィーニス1人でどうとでもなる。
「あーそうだ。レイドってのは人間の心だ。 人間1人1人に入っている」
瞬間、現れた人間たちからレイドが溢れ出す。
「甘く見たな・・・人間が50なら、レイドも合わせて計100体。 500なら1000体。 5000なら10,000体。ダリア・・・この数に勝てるか?」
ジェイルは笑うようにそう言った。




