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職務放棄した彼らを見つめ、俺はレメディに着いていくように歩き出す。
「ダリア!」
すると聞き覚えのある声が響く。
正面に顔を向けると、特大剣を背負った男、ハルトがこちらを見ていた。
「ハルト?」
「良かった。まだ襲われてなかったか」
こちらに近づきながらハルトはそう話した。
「襲われてない?なんの話だ」
「まさか帝都に来てたなんてな」
「あれからあまり時間は経ってないはずだ。情報の交換には早い」
俺の言葉にハルトは首を振る。
「あぁ。でも、たまたま見つけられて良かった。状況が変わった」
その言葉に俺は首を傾げる
「まて、1から説明しろ。なにを話してるのかわからない」
「レイド。ダリアが言ってた影を見つけた」
俺はその言葉に少し驚愕し、目を見開くが、すぐに冷静になる。
「そうか・・・」
「あまり驚かないんだな」
「いや、驚いたよ。でも、よく考えれば当たり前だ。今までの話を繋げると、影は生者と同じ量いるはずだ、完全に隠れられるはずが無い、魔王が消えた今封印は解かれて隠されていた物が公に溢れかえっている。 見つかるのは時間の問題だろう」
そう話すと、ハルトは頷いた。
「なら話は早いな。 魔界にいけ」
「まて、魔界?場所もわからないのにどう突っ込めば良い?」
すると、ハルトは下を向いた。
「・・・ホロウヴェール。アイヴェール。俺は馬鹿だからよくわからないが、この二つは何かを隠してる。国の名前からわかるだろう。 なら、真下だ」
「真下?」
俺は地面を見つめる
「少し調べた。襲撃された時は帝都は無傷、これは帝都が強いからじゃ無い。多分、帝都が拠点なんだ。レイドも、魔界も帝都にある」
「なんでそう言える?どうしてそんな発想が出てくる?」
「灯台下暗し・・・とは違うが、俺が住んでる国。日本にはラノベやアニメって言う創作された娯楽がある。 誰かが物語を形成して、それに沿って動く。 よくある話だ。敵はすぐ近くに・・・かくれんぼなら、ヨーイドンの合図で遠くを探しに行くだろ。 何かから逃げるなら遠い方が良いからな」
ハルトは真面目な表情でそう話す。
「でも、入り口は?」
「それは知らない・・・が、心当たりはある」
ハルトの言葉に俺は首を傾げる
「心当たり?」
「皇帝のいる場所・・・城内だ。屋上か・・・地下か・・・それはわからない、仲間を説得してなるべく早く合流する。 頼むぞ、ダリア」
帝都の真ん中に聳え立つ城を睨む。
「意外と近くにあったのか・・・そうだ、レメディ」
「はい」
俺の呼びかけを一瞬で察知したのか、レメディは空間から再度漆黒の本を取り出し、ハルトに手渡した。
「これは?」
「転移の魔術が刻まれた本だ。役に立つかはわからないが、一応持っておけ」
ハルトは頷く。
「サンキュー」
そう言って、ハルトは歩き出した。
後ろ姿は大きく、覚悟が決まっているようだ。
「死ぬなよ」
「お互いにな?」
俺の言葉にそう返したハルトの背中はすぐに見えなくなった。




