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俺は漆黒の本を見つめ、少し考える。
レメディは自信満々に言った。
信用できるが他の客や警備員、これだけの目があり、その中を通るのは難しいはずだ。
「方法は?」
「1秒間だけここにいる人間の意識を他にそらしていただければすぐにできます」
レメディはそう話した。
「フィーニス、どう思う?」
「秒数は楽だけど、方法によるわね」
そう言ってフィーニスは顎に手を当てる。
「んー」
俺は唸りながらフィーニスと同じように考えた。
まぁ、犯罪に頭を使っているのはいい気がしないが・・・
「仕方ない」
「お、何か浮かんだ?ダリア」
そう話すフィーニスにウィンクをしする。
「合わせろ」
そう言って、腰から小さなナイフを数本取り出す。
スカウト属性の俺は小物を沢山潜ませている。
これならいけるだろ。
「レメディ、フィーニス、ちょっと俺を隠すように立って」
そう言うと、彼女たちは首を傾げながらも指示に従う。
隠れたタイミングで天井のライトや窓ガラス目掛けナイフを投げる。
割れる音と共に、一瞬視線が上に向く。
だが、これじゃ不十分だ。 だから・・・
「全員伏せろぉぉぉ!」
叫ぶことで視点を下に降ろさせる。
視点の動きは、上から下より、下から上に行く方が時間がかかる。
レメディが多少ミスをしたとしても、これで大丈夫なはずだ。
すると、肩を叩かれる。
「終わりました」
レメディだった。
彼女の身からは完全に例の本の姿が消えている。
「すごいな」
「出ましょう」
褒め言葉を弾き返すように受け入れ、レメディは先に出口に向かう。
俺とフィーニスは顔を見合わせ、ため息を漏らし後を追う。
外に出て、レメディの方を掴む。
「で、どうやった?」
「空間に隠しました。うまくいきましたね」
瞬間、レメディの背後に腕が出現し、その手にはあの本が摘まれていた。
「なるほどな」
その直後だ。
「あ!お前達! ローブ!」
背後からそう声がして振り返ると、見知った顔がある。
「あれ、レメディが気絶させて投げた警備じゃない?」
そこにはシャインソフィアのゲートを監視していた警備の2人が立っていた。
「久しぶりにあったな?」
俺がそう問いかけると、警備は頷いた。
「久しぶり・・・っておい!おれたちは友達じゃねぇぞ!」
「お前らそんなキャラだっけ?」
俺が言った瞬間、また鈍い音が響き彼らは倒れ込む。
「あぁ・・・また職務放棄だ」
「そろそろ首切られるんじゃない?」
俺とフィーニスはそいつらを見つめそう呟く。
「減給で住めば良いね」
「レイドとかが暴れたりしてる環境で減給は響くぞ」
俺はため息を漏らす。
「ダリア様、フィーニス様。行きましょう」
そう言ってレメディは先に歩き出した。




