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男がゆっくりと立ち上がりながら口を開く。
「そうかぁ・・・わからないか」
「すまん」
「いや、仕方ない。で、魔王と皇帝の代替わりをして、レイドを封印して、そこで終わりか?」
男にそう言われて俺は少し考える。
魔王になって、次の皇帝を作り出し、レイドを封印する。
最初はサディアに対する復讐のみを目的としてきたが、気がついたらそんなにあっさりと終わる自体じゃなくなっていた。
全部が終わって、その後はわからない。
そもそも、俺以外にも魔王候補者がいるんじゃないのか?
「あぁ、いや。そんなに考えなくて良いんだ。ただやね興味本位だし。 でもそうか。お前が魔王になっても俺たちは帰れるかもしれないのか」
「いや、それはわからない。魔術によるものか、なにかしらの装置。転移や転生と言ったか?転移なら魔法だが、転生なら神が関係しているかもしれない」
そう話すと男が首を傾げる
「どう違うんだ?」
「転移は移動、テレポーテーションが近い。だが、転生は生まれ変わり、死んで、魂が新しい器に入ったんだ。お前ら日本人の話が本当と仮定して、日本で死んだか?」
そう話すと、男は首を振った。
「なら転移の可能性が高い。魔術でどうにかなるかもしれん、どのみち、能力を与えたと言う皇帝を調べる過程で何かしらの収穫はあるはずだ」
「その言い方だと、調べてくれるみたいな言い方だな」
男のその言葉に俺はゆっくりと頷く。
「あぁ。さっきも言ったが、話し合いで解決するならそれに越したことはない。まぁあくまでもここで戦闘が終わって、俺とお前の休戦が結ばれてからだがな」
「そういう話なら、俺とお前は休戦だな。俺の名前は東 晴人よろしく」
「ハルト・・・な。ダリアだ」
そう言って握手をかわす。
「レイドだっけか?俺の方でも少し調べてみるわ」
「頼む。真っ黒だからわかりやすいと思う、でも奴らは奇襲が得意だ、もし敵になったりでもしたらかなり厄介な相手になる。気をつけろ」
「奇襲・・・突発的な戦闘でレイドね・・・確かに、ゲームとかでもレイドボスとか、レイド戦って話すもんな」
その言葉に俺は首を傾げる。
「ありゃ、この世界にはゲームは無い感じか。暇だな」
「よくわからんが、そういうならそうなんだろう」
「まぁ良いわ、俺はそろそろ行くぜ」
ハルトが笑いながらそう呟いた。
「より良い未来をつくろうな、お互いに」
そう言ってハルトは歩き出すが、少ししてから振り向いた。
「お前は影殺しのプロか⁉︎」
「プロじゃ無いが、何体かはな。でも、専門、スレイヤーじゃない」
「ならスレイヤーになれ! その方がカッコいいだろ!」
白い歯を見せながら大胆に笑うハルトを見つめ、少し頬がゆるむ。
男はやはりそういうものが好きなのだろうか。
「自分から名乗るものじゃないだろう!」
「なら俺が広めといてやるよ!」
そう叫んでハルトは少し考えるそぶりを見せた。
数秒たってこちらを見つめる
「そうだな・・・お前達はこれからこうだ!『シャドウスレイド』!影を殺すエキスパートだ!」
「なんだそれ」
俺は小さく呟いた。
彼には聞こえなかっただろう。
だが、まぁ。悪くは無いと、そう思った。
彼の姿が視界から消え、沈黙が流れる。
「ダリア、これからどうする?」
「どう・・・そうだ。魔王と言ったら何処にいる?」
俺の問いにフィーニスとレメディが顔を合わせる。
「どこって、そりゃぁ」
「魔界」
「魔界ですか?」
同時に答えた彼女達を見つめる。
「なら魔界はどこにある?」
その問いには首を振る。
「だよな、俺も知らない。魔王になるには魔界の場所を知らなくちゃいけない。転移とかの魔法について調べながら、魔界の位置を特定する」
そう話すと、フィーニスとレメディは頷いた。
「なら、取り敢えず情報ね・・・帝都に大きな図書館があったはず、何百年も前からある本も置いてる。答えはなくても、仮説くらいなら見つかるかも」
フィーニスがそう呟いた。
「ならそこだな」
今は仮説だけでも十分な材料になる。
なら目指すは帝都だな。
といっても、列車ですぐだが。
そして俺たちは歩き出した




