13
「ほれ」
カジートにそう言って手渡されたのは義手と武器だった。
義手のことは言ってないはずだが・・・
「義手?」
「そりゃそうだ。身体が傾いてるし、ローブの膨らみが不自然だ。 ないんだろう?腕」
まさか見破られていたとは、一流と言う奴だろうか。
「代金はいらねぇ。前魔王からも代金は取っちゃいねぇからな」
「感謝する」
そう言いながら新たな短剣を鞘にしまい、フィーニスの大剣は彼女に持たせる。
「それにしても、かなり早い仕上がりだな」
「魔法を多少使ってるからな。 それより、腕を出せ。筋肉と神経を繋げる」
そう言ってカジートは義手を俺から取り、椅子に座るように促した。
「治癒魔法を使える奴はいるか?」
「それなら私が」
レメディが一歩前に出てそう言った。
「ちょうどいい。筋肉と神経を繋ぐのは魔法を扱う。普通じゃできないからな。 その際に痛みや出血がある。我慢しろよ?出来ないことを魔法で無理やりするんだ、それ相応の大丈夫はある」
「・・・了解」
返事をすると、カジートはローブを捲り上げて義手を傷口に当てる。
「行くぞ!」
ガンっと何やら治療とは思えない音と共に激痛が走る。
「ぐっ・・・」
冷や汗が溢れ出し、視界が回る。
吐き気まで溢れてきた。
それから数分。
叫びたくなるような痛みに耐え、義手が取り付けられた。
「ほう?我ながらいい義手じゃねぇか。魔王にピッタリだ」
そう言ったカジートの瞳には、漆黒の義手が映る。
「さて、もう行け・・・頼むぞ・・・」
カジートはそう言って俺に背中を向けた。
「ありが・・・ん?」
礼を言おうとした途端に不穏なオーラ、気配を感じ取る。
禍々しくはない、だが・・・殺気に満ちているような。
「おいおいおい! きったねぇ場所だなおい! あぁ?階段?こんなもんあったか?」
男の声が店と、火事場に広く響いた。
「おい、魔王候補、隠れろ」
「でも・・・」
「いいから隠れるんだ」
俺はため息を漏らし、フィーニスとかに合図を送る。
「わかった」
俺はそう呟いて、壁を蹴り天井にある梁に登って息を潜める。
数秒後、トントンとゆっくりとした足音が聞こえてくる。
重量感のある足音。
日本人か?
身体は大きい。
自信に満ち溢れた歩み・・・
「おい、ジジィ! 地下なんてあったのかよここ?なんで隠してた?」
「隠してた訳じゃない。鍛冶場には興味ないだろう?それに聞かれなかったからの」
そう話すと、男は笑う。
「確かにそうだ!悪りぃ悪りぃ! ところで・・・魔王候補ってのは来たのかよ?」
「そんなすぐに動くやつが居るか。魔王ってのは災いの象徴じゃ。それに進んでなる奴がそうそう出てくるとは思わない」
カジートはそう話す。
「頼む鍛冶場から出て行ってくれ、ここは神聖な場所じゃ。貴様らの世界でいう、神の前で喧嘩をするようなもんなんだ」
「そりゃ罰当たりだ! なら出ないとな?」
そう言って男は踵を返す。
「クソ・・・背格好がギリギリ見えない・・・」
俺は小さく呟く。
「あぁそうだ。ジジィ・・・最近火事場使ったのか?」
「いいや。使ってないな・・・」
「そうかぁ?それにしちゃ暑いな。まるでさっきまで鉄を打っていたような、そんな感じだ」
ピリッと不穏な空気が走る。
「へぇ、そりゃおかしいな。鍛冶場は長いこと使っていないから」
「ジジィ?何か隠してんだろ。 すぐにわかるもんだぜ、俺は馬鹿じゃない」
男がそう呟いた瞬間、殺気がさらに強く溢れ出し、金属音が響いた。
「フィーニス!レメディ!」
俺の合図と共に彼女達が飛び出す。
それに合わせるように、俺も梁から飛び降りる。
「やっぱり、剣を抜いてる!」
大柄。身長は180超え。
金髪。大剣・・・しかもかなりでかい。超大型。特大剣か?
後ろは取った。
スピードはこちらが上、短剣は届く距離。
「今!」
3方向からの同時攻撃!
相手は剣一本で通らないはずがない。
これで!
だが、刃が通ることはなかった。
「ふっ・・・やっぱりこの能力が最強か?」
「てことは・・・転生者か!?」
「『万物遮断』ありとあらゆる方向からの攻撃、物体を接触させない。こんな能力持って、負けるはずないよなぁ⁉︎」
ニヤリと笑い、男は俺を睨んだ。




