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ShadowSraid  作者: 鬼子
異国からの来訪者編
76/98

13

「ほれ」


 カジートにそう言って手渡されたのは義手と武器だった。

 義手のことは言ってないはずだが・・・


「義手?」


「そりゃそうだ。身体が傾いてるし、ローブの膨らみが不自然だ。 ないんだろう?腕」


 まさか見破られていたとは、一流と言う奴だろうか。


「代金はいらねぇ。前魔王からも代金は取っちゃいねぇからな」


「感謝する」


 そう言いながら新たな短剣を鞘にしまい、フィーニスの大剣は彼女に持たせる。


「それにしても、かなり早い仕上がりだな」


「魔法を多少使ってるからな。 それより、腕を出せ。筋肉と神経を繋げる」


 そう言ってカジートは義手を俺から取り、椅子に座るように促した。


「治癒魔法を使える奴はいるか?」


「それなら私が」


 レメディが一歩前に出てそう言った。


「ちょうどいい。筋肉と神経を繋ぐのは魔法を扱う。普通じゃできないからな。 その際に痛みや出血がある。我慢しろよ?出来ないことを魔法で無理やりするんだ、それ相応の大丈夫はある」


「・・・了解」


 返事をすると、カジートはローブを捲り上げて義手を傷口に当てる。


「行くぞ!」


 ガンっと何やら治療とは思えない音と共に激痛が走る。


「ぐっ・・・」


 冷や汗が溢れ出し、視界が回る。

 吐き気まで溢れてきた。


 それから数分。

 叫びたくなるような痛みに耐え、義手が取り付けられた。


「ほう?我ながらいい義手じゃねぇか。魔王にピッタリだ」


 そう言ったカジートの瞳には、漆黒の義手が映る。


「さて、もう行け・・・頼むぞ・・・」


 カジートはそう言って俺に背中を向けた。


「ありが・・・ん?」


 礼を言おうとした途端に不穏なオーラ、気配を感じ取る。

 禍々しくはない、だが・・・殺気に満ちているような。


「おいおいおい! きったねぇ場所だなおい! あぁ?階段?こんなもんあったか?」


 男の声が店と、火事場に広く響いた。


「おい、魔王候補、隠れろ」


「でも・・・」


「いいから隠れるんだ」


 俺はため息を漏らし、フィーニスとかに合図を送る。


「わかった」


 俺はそう呟いて、壁を蹴り天井にある梁に登って息を潜める。


 数秒後、トントンとゆっくりとした足音が聞こえてくる。

 重量感のある足音。

 日本人か?


 身体は大きい。

 自信に満ち溢れた歩み・・・


「おい、ジジィ! 地下なんてあったのかよここ?なんで隠してた?」


「隠してた訳じゃない。鍛冶場には興味ないだろう?それに聞かれなかったからの」


 そう話すと、男は笑う。


「確かにそうだ!悪りぃ悪りぃ! ところで・・・魔王候補ってのは来たのかよ?」


「そんなすぐに動くやつが居るか。魔王ってのは災いの象徴じゃ。それに進んでなる奴がそうそう出てくるとは思わない」


 カジートはそう話す。


「頼む鍛冶場から出て行ってくれ、ここは神聖な場所じゃ。貴様らの世界でいう、神の前で喧嘩をするようなもんなんだ」


「そりゃ罰当たりだ! なら出ないとな?」


 そう言って男は踵を返す。

 

「クソ・・・背格好がギリギリ見えない・・・」


 俺は小さく呟く。


「あぁそうだ。ジジィ・・・最近火事場使ったのか?」


「いいや。使ってないな・・・」


「そうかぁ?それにしちゃ暑いな。まるでさっきまで鉄を打っていたような、そんな感じだ」


 ピリッと不穏な空気が走る。


「へぇ、そりゃおかしいな。鍛冶場は長いこと使っていないから」


「ジジィ?何か隠してんだろ。 すぐにわかるもんだぜ、俺は馬鹿じゃない」


 男がそう呟いた瞬間、殺気がさらに強く溢れ出し、金属音が響いた。


「フィーニス!レメディ!」


 俺の合図と共に彼女達が飛び出す。

 それに合わせるように、俺も梁から飛び降りる。


「やっぱり、剣を抜いてる!」


 大柄。身長は180超え。

 金髪。大剣・・・しかもかなりでかい。超大型。特大剣か?


 後ろは取った。

 スピードはこちらが上、短剣は届く距離。


「今!」


 3方向からの同時攻撃!

 相手は剣一本で通らないはずがない。

 これで!


 だが、刃が通ることはなかった。


「ふっ・・・やっぱりこの能力が最強か?」


「てことは・・・転生者か!?」


「『万物遮断』ありとあらゆる方向からの攻撃、物体を接触させない。こんな能力持って、負けるはずないよなぁ⁉︎」


 ニヤリと笑い、男は俺を睨んだ。

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