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〜蒸気機関都市 シャインソフィア〜
駅から出て大通りを歩く。
「いらっしゃい、観光かな?」
すると、若い男に話しかけられた。
「ここにはなんでもある、武器や防具の9割はここシャインソフィアから出てるんだ。 国に伝わる酒もある。 何かあれば僕に聞いてくれ!」
若い男は元気にそう話した。
「なら、この国で一番腕のいい鍛冶屋を知らないか?」
その問いに、男の顔は少し歪み、困ったようなそぶりを見せる。
「あぁ・・・」
「なんだ、何か言えない理由があるのか?」
そう言うと、男は小さく首を振った。
「いや、鍛冶屋はいるんだ。世界一と言っても過言じゃない。 でも、その人は鎚を握らない。特別な日じゃないと自分の腕を振るわないんだ」
その話を聞き、俺は首を傾げる。
特別な日とは、誕生日とか、何かの記念日なのだろうか。
「取り敢えず、そこを教えてくれ」
「行っても意味ない。無駄足になるだろうけど・・・わかった。ついてきてくれ!」
そう言って案内されたのは、普通の店よりも遥かに小さい家のような建物だった。
「ここか?」
「そう。間違いないよ。見た目は、まぁ・・・でも、腕だけなら信じていい、じゃ、また!」
そう言って男は姿を消す。
「鍛冶場って、もっと大きいんじゃないの?」
フィーニスがそう言った。
「ま、そのイメージがあるな。だが、こんなこじんまりしてるのもあるんだろ」
俺はそう返して店の戸を開ける。
中にはカウンターがあり、壁には武器や防具が飾られていた。
四隅にはポーションなどもあり、冒険者に必要な物を取り揃えている感じだ。
すると、ツカツカと奥から出てきたのは、細身のおっさんだった。
髭は長く胸くらいまである。
目は細く、赤い瞳。白髪でポニーテールを作っている。
細身のくせにしっかりと筋肉は浮き出ていて、ガッチリとした体格なのがわかる。
「悪いな、今は店はやってないんだ」
そう言いながら俺の姿をじっと見つめると、髭の先を指でクルクルとし始める。
「ほぅ?かなりの闇だ。 てことは、そう言うことか」
「何が言いたい」
俺の闇を見抜いた彼に問いかけると、小さく首を振る。
「いいや、で、何しにきた?」
「義手を作って欲しい。今後扱う」
そういうと、俺の顔をじっと見つめる。
「使うって、影の軍団か? 奴らを倒そうとしてるのか」
その台詞に俺は目を見開く。
「なんで知ってるんだ」
「てことは、お前が魔王候補か」
その言葉に俺は残っている手を短剣にかける。
「待て待て、おいぼれを殺す気か貴様ら」
「なんで影のことも、魔王候補の事も知ってるんだ?」
そういうと、男はため息を漏らし、俺たちに付いてくるように手で促した。
「取り敢えず来い」
そう言って彼の姿は店裏に消える。
「行く?」
「あぁ。少しでも情報が欲しいからな」
俺たちも店裏に入ると、男は待っていた。
「ワシの名前はカジート。これからクソッタレな秘密を教えてやる」
そう言って壁に彫ってあるくぼみに鎚を嵌め込む。
瞬間、ガタンと音が鳴り、店の床が開き階段が姿を現した。
「来い」
そう言ってカジートは先に姿を消した。




