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人だかりを見つけ、近くによる。
あの店主からもらったローブを深く被り、顔も何もみえないようにする。
「すまない、シャインソフィアに行きたい、方向はわかるか? ゲートの方向でいい」
「あぁ?あー帝都は広いから迷っちまうよな。この道を真っ直ぐ行け、そしたら見えてくる」
男はそう言って、先の大通りを指差した。
「助かる」
俺はそう言って歩き出すと、背後から叫ばれた。
「気をつけろよ! どこの場所も魔王崇拝者を探すんだって躍起になってる。何があるかはわからないが、入国の際はかなり厳しい審査が求められるかもしれない、何かいい案を考えときな!」
その言葉に俺は小さく頭を下げ、歩みを進めた。
「ゲートってこれ?オアシスグレイスとか、他とかのゲートとは違うみたいだけど」
そう。見た目からしてかなり違う。
綺麗な装飾が施され、傷一つない丈夫な作りにも見える。
「お前ら、止まれ。ここから先はシャインソフィアの領域だ。通る理由を言え」
警備の人間がそう言って近づいてくる。
するとレメディが俺の前に出た。
「私の弟が事故で片腕を失いまして、シャインサフィアには腕利きの職人がいると。 少し待ってください。紹介状もあります」
そう言ってレメディはローブの中から一枚の紙を取り出す。
そんなものあっただろうか。
「どれ、確認させていただこう」
「もう少し寄ってください。 ほら、ここしっかり読んで!」
レメディが紙をバシバシと叩くように警備の人間を急かす。
「これは・・・白・・・」
瞬間、ゴツッと鈍い音がして警備の人間が倒れた。
何事かと思って視線を向けると、レメディの背後から人より遥かに大きい腕が伸びていた。
「レメディ、剣以外にも出せたのか」
「はい。普段は必要ありませんが」
そう言いながら警備の男らを持ち上げ、路地に放り投げる。
「ゴミじゃないんだぞ・・・」
「職務放棄の罰です」
そう言ってレメディは歩き出した。
「職務放棄の原因はお前だけどな」
そう話しながら俺もレメディの後をおう。
フィーニスはため息を漏らしながら付いてきた。
「な、なによこれ」
少し長い通路を歩いた所でフィーニスがあるものを見て呟いた。
それは鉄の箱。それに長い。
「これは、列車と呼ばれる物です。人や荷物を運搬するように開発されたと言われています。 シャインソフィアの発明に関する技術は何百年も先を行っていると言われ、この列車もそこの職人が作ったものかと」
と、丁寧にレメディは説明する。
「シャインソフィア行きの列車が動きます」
そんな声が響き、俺たちは慌てて列車に乗り込む
ガタンガタンと音を立てて列車が動き出し、景色が回る。
「早い・・・」
「すごいな」
変わる景色に少しワクワクもしながら、席につき外を眺める。
4人座れるみたいだが、俺たちは3人、場所が一つ余るから少し休息が取れる。
と思っていた。
「すいません・・・横いいですか?」
そう声をかけできたのは黒髪で黒目をした女性だった。泣いていたのか目元が少し赤い。
「ええ、どうぞ」
そういうと彼女は少し頭を下げて横に座る。
俺たちは列車の中でもフードで顔を隠しているから、何人にも正体がバレることはない。
「何かあったんですか?」
レメディがそう話す。
「まぁ知り合いが・・・少し」
彼女はそれ以降は話そうとしなかった。
シャインソフィアに着き、列車を降りる。
「あの、ありがとうございました。席を譲っていただいて」
「いえ」
彼女は頭を下げて歩き出す。
その背中を見ていると、彼女は振り返った。
「魔王崇拝者にはお気をつけて、彼らは残虐で狡猾ですから」
その言葉を残して消えていく。
「・・・フィーニス」
「えぇ、確実に敵・・・日本人ね。能力は分からないまま、ここなら安全だと思ったけど・・・」
フィーニスが歯を食いしばりながらそう言った。
「もしかしたら、オアシスグレイスとかにも・・・まさか全部の国に散らばってるんじゃない?」
フィーニスは顎に手を当てながらそう話す。
「あり得るな。10人いて、あと8人。1人は今見つけたから後7人。少しずつ削っていって、最後は一点に集めるのが楽だな。 わざと正体を明かして召集をかけさせてから罠に嵌める案も考えとくか」
「賛成」
そうして、俺たちはシャインソフィアに足を踏み入れた。




