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ShadowSraid  作者: 鬼子
死者の楽園編
60/98

10

 アルゴの体に入ったティタは構え、クロークスも並ぶ。


「姉貴・・・」


「元気してたんだ?良かった」


 やっとの再会か。

 彼らは見合っていた。


「さて、じゃあ。ダリアも立ち上がって戦え!」


 アルゴの声が空間に響いた。

 その声にフィーニスが不安そうな顔をこちらに向ける。


「な、何言ってるの⁉︎ダリアは戦える状態じゃない!ふざけないで!」


 その声はレイドの足音が絶えない中でも鮮明に、強く響いていた。


「はぁ? こんな時だからダリアを出すんでしょ!?」


 アルゴはそう呟いた後に、首を傾げたように、ん?。と声を漏らす。


「あなたたち、ダリアの恩恵を知らないの?」


「・・・教えてない」


 アルゴの言葉に、俺は小さく呟いた。

 瞬間、アルゴがため息を漏らす。


「なら教えてあげよう。 1人じゃ何もできない無能な恩恵・・・」


 アルゴが馬鹿にするようにニヤニヤしてるような声色で話し始める。


「恩恵の名前は・・・『君主』・・・」


 アルゴの声がそう響いた瞬間、轟音と共に戦闘が開始される。


 俺はゆっくりと立ち上がり、溢れた血を見る。

 恩恵がバラされた。

 

 でも、まだ名前だけだ、効果まではバレていない。

 

 短剣を握り、姿勢を低くする。

 早く走って切り刻む。

 やることはそれだけ。


 口を開け、酸素を吸う。

 全身に酸素を運び、筋肉の働きが活発化する。


 恩恵の感覚も溢れ出している。

 今なら、まともに戦える気がした。


「GO!」


 俺は自身が発したその言葉を合図に、地面を蹴って駆け出す。

 目に映る景色が流れ、流れていた血が舞う。


 レイドの一体に急接近し、身体を貫く。

 そのまま壁に固定するかのように短剣を突き刺した。


 瞬間、背後から何かを溜めるような音がひびき、顔を向ける。

 向けた先には、剣の先端をこちらに向け、光を溜めていた。


「なんだあれ! もしかして、ウィングロストで見た⁉︎」


 俺は短剣を引き抜こうとするが、岩にガッチリと刺さっているのか抜けない。


「クッソ・・・」


 柄を掴み、岩に足を当て全力で引くがやはりびくともしない。


 瞬間、視界が光に包まれると同時に、横腹に衝撃が走る。

 何かに引っ張られたのだ。


 俺は、地面に倒れ込み、顔を上げる。


「大丈夫⁉︎ダリア!」


 俺をあそこから連れ出したのはフィーニスだった。

 俺が元いた場所は何やらビームのようなもので長く直線状に抉られていた。


「・・・アイツ・・・何⁉︎」


 フィーニスが翼の生えた聖騎士のようなシルエットをしたレイドを見上げる。


 翼、スカートのような幅の広い甲冑。

 そして盾と剣。


「見た目の割に不意打ちか、聖騎士⁉︎」


 俺はレイドにそう叫ぶ。

 そういうと、レイドは一度剣をしまった。


「これは。無礼だったな」


 その声は何かに似ていた。


「我が名はレティシア! その命、貰い受けよう」


 レティシア・・・ということは、フィーニスの反転か。強いのか?


「力が衰えた私でも、まだ戦えることを証明しなくてならぬ」


 瞬間、剣を構え、さらに何やら溜め始める。

 先程の攻撃と同様のものだろう。


「・・・・・シュート・・・」


 そんな声が小さく響き、足に何かが纏わりつく。


「なんだこれ⁉︎」


「取れない・・・!ダリア!」


 黒いツタのようなものが俺たちの動きを封じる。

 直後、ゆっくりと落ち着いた様子で現れたのは、青い体の竜人だ。

 見覚えがある。


「・・・ギラ?」


 生きていたのか?

 違う。俺たちを縛っているこれはギラの魔術だ。


 だとすると。


「その予測でせいかーい。 ギラは死んで、私と合わさった。 あ、でもぉ?私が本当のギラになったから、ギラは生きてると言ってもいいかしらねぇ?」


 魔術で頭の中を読んだのか、ギラと名乗るそいつはニヤリと笑った。


「なんだ、片割れを殺すと色が着くのかお前ら?」


 俺はそう話しながら、ツタが緩まないかと足を細かく動かす。


「そうねぇ。それが正しいかな。サディア様は少し時間がかかっちゃったけどね? 基本は魂を奪って数日で色が着く・・・というより、こちらの人間に近い容姿になるわぁ。 でも、変わるのは容姿、見た目だけ。体型は変わったりしないの。 不憫よねぇ」


 そう言ってギラは頬に手を当てる。


「だから、レティシアは真っ黒いままなのか。 フィーニスを殺せないポンコツだからか⁉︎」


 瞬間、殺す。と声がひびき、視界に光が溢れ出す。

 レティシアの切先から放たれる光線なのだろう。

 先程の火力なら死亡は必然。生き残る方が無理なものだ。


「危ないぞー」


 直後、どこからともなくそんな声が聞こえた。

 聞き覚えがあるような、ないような。

 そんな声だ。


 レティシアも戸惑ったのか、光が弱まり視界がよく見えるようになる。


 瞬間、レティシアの体に何かが強く当たる。


「痛いっ!」


「いって!」


 飛んできてレティシアに当たったのはクロークスだった。


「クロークス!」


 俺たちが呼びかけると、落ちてきたクロークスは華麗に着地を決め、雷を指先から飛ばしてくる。


 それはツタに直撃し、焼き払った。


「っな!」


 ギラは心底驚いた様子を見せる。


 レティシアは空に浮いたままキョロキョロと周りを見て、何かを見つける。


「本当に!気をつけてくださいといつも言っていますよね⁉︎」


「悪い悪い、そんなこともあるだろう?そんなに怒るなって」


「あ、聞きなさい!ローザ!」


 レティシアがローザという色付きのレイドに話しかける。


 ローザ? ローザって、森の中で死んだ・・・あの時のレイドか?


 瞬間、クロークスが準備体操をするようにその場で跳ね、全身に雷を纏う。


「これで三対三! ぶちかますぜぇぇぇぇぇ!」


 そう言って、騒がしいくらいの叫び声をクロークスは発し、我々を鼓舞した。

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