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ShadowSraid  作者: 鬼子
死者の楽園編
56/98

6

 クロークスはゆっくりと立ち上がり、彼女を見つめる。


「冥府に入る方法は?」


「わかりません」


 クロークスは彼女にそう問うと、彼女は首を横に振った。


「なんで彼女に聞く?」


 俺はクロークスに言った。


「姉貴は馬鹿じゃない。 冒険者をしていた時もそこそこ優秀だったと聞いた。傷を負った状態でここにきて、何もせずに死んだ? ありえない。何かしたらの目的があってきたんだ・・・」


 そう言ってクロークスは考え始める。

 ドールミストに来る理由は一つしかない。


「お姉さんもクロークスが死んだと思っていた?または死んでるかと思って確かめようとした?・・・お姉さんの目的も冥府に行く事か・・・」


 そう呟くとクロークスは頷いた。

 確かに、ありえない話じゃない。


「となると・・・何かを調べているはずだ。自身の死が目前に迫っていても、俺が中に入れる情報を見つけ出すはずだ」


 クロークスはそう話しながら再度遺体のあるの建物にズカズカと入る。


 棚に並んでいる本や、街クエの上にある本に目を通す。


「冥府に入る方法・・・死者しか入れないなら・・・」


 クロークスはそう言いながら埃の被った本を漁る。


 その姿を見つめ、俺たちも考える。


 世界の理の壁は越えられない。

 生きている人間は死んではいない。

 死者しか入れないなら入る術はない・・・


 仮死状態なら・・・

 いや、リスクがデカすぎる。

 仮死のつもりがそのまま逝くんじゃ意味がない。


「クロークス。 死者の世界に行く方法はないんじゃないか?」


「・・・なに?」


 俺の言葉にクロークスが目を細める。


「死者しか入れない。通り道がないんだろう?仮死状態なら可能性はあるかもしれないと思ったが、俺たちには狙って引き起こすだけの能力がない」


「必ずあるはずだ。姉貴は螺旋の霧を越えた。俺たちも越えた。次は冥府に入る番だ」


 彼はそう言ってまた机を見る。


「人は毎日死んでる。 死者に会いたいやつなんて数えられないほど大勢いるはずだ。でも、冥府に入る方法は見つからない。 ないからじゃないのか?」


 俺はそういうが、クロークスは机の上の本を読んで、積む。

 何段にも重なった本が、彼の真剣さを物語る。


「クロークス・・・」


「うるせぇなぁ!!」


 名前を呼ぶと、彼は怒鳴り、積んであった本の塔を薙ぎ倒す。


「このために旅を続けた!このためにここまで来た!今更諦めらんねぇよ!」


 クロークスの悲痛な叫びが反響し、響き渡る。


「そうよなぁ。マジ諦めらんないっしょ・・・!人間て、やっぱりそうじゃなきゃダメっしょ!」


 瞬間、背後から声が聞こえて振り返る。

 気配を一切感じなかった。

 軽く砕けた口調。聞き覚えがあるが思い出せない。


 視界に何かを捉える。

 赤い髪に大きな胸。小柄な体の女。


「ありゃありゃありゃ。あちゃー記憶をちょっといじったから覚えてないかぁ」


 女はそう言って俺に近づく。

 額を人差し指でトンと叩くと、失われていた記憶が戻り、激しい頭痛が引き起こされる。


 俺は頭に手を当て、しゃがみ込む。


「・・・っ」


 それを見ていたクロークスが俺の身体に手を置き、口を開く。


「ダリア!どうした。何された⁉︎」


 痛みからか、汗が垂れ、床に落ちる。

 フィーニスは俺と赤髪の女を交互に見つめていた。


 頭を抑えながら女を睨む。


「そんなに睨まないでよぉー く・そ・ガ・キ達ぃ〜」


 キャピっとしながらそう言った女を知っている。

 俺は一度会っている。


 冥府でしっかりと話している。

 たいして美味しくもない黒い液体を飲まされたのを覚えている。


「・・・冥府の神・・・アルゴ」


「あはぁ。あーしのこと思い出したぁ?」


 人差し指を顎に当て、アルゴは笑って見せた。


「なんでここにいるんだ・・・」


 痛む頭を抑えながらアルゴに問いかける。


「なんでって・・・冥府に来たからでしょ?」


 その言葉を聞いた瞬間、周辺の景色が真っ白く変化する。


「いつのまに⁉︎」


 フィーニスは驚いた様子で周囲を見て、クロークスはアルゴを見つめる。


「螺旋の霧を越える方法があるなら言ってくれれば良かったろ」


「だって聞かれなかったしぃ?結局竜人の連中が転移させたんでしょ?」


 俺の問いにアルゴはそう答え、踵を返して歩き出す。


「で?ガキたちは何しにここにきたんだい?まぁ。生者が死者の国に来る時点で大体察しはつくんだけどねぇ〜」


 そう言いながらアルゴは振り返り、こちらを。

 具体的にはクロークスを見つめる。


 見つめられたクロークスは息を漏らし、口を開く。


「ティタ。と言う名前の女性は来たか? その人と少し話がしたい」


 クロークスがそういうと、アルゴはニヤリと笑った

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