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ShadowSraid  作者: 鬼子
死者の楽園編
55/98

5

 彼女は寂しそうに遺体を見つめる。


「・・・魂は・・・取り返せば動きますか?」


「違う。全部必要だ。魂だけじゃ・・・まて、魂を取り返すって、博士はどうして死んだ?」


 俺は彼女にそう言った。


「真っ黒い影・・・見つかって、殺されました。いいえ、正確には失血死でしょうか」


「レイド・・・」


 彼女は目を細めて俺を見る。


「博士は・・・もう動きませんか?」


「あぁ。動かない。何をどうしても、動かない」


 その言葉に、彼女は再度遺体を見つめ瞬きをする。


「・・・そうですか」


 彼女はあっさりと受け入れ、通常通りの顔に戻る。


「あなたたちはこれからどうしますか?」


「だってよ、クロークス」


 彼女の問いに、俺はクロークスを呼ぶ。

 ここに来たいと言い出したのは彼だ。

 だから、俺は彼に問う。


「冥府に行く。姉貴は死んでた・・・目的は変わってない」


 クロークスは鼻を啜りながら、ゆっくりと立ち上がる。


「了解。冥府に行く方法を探ろう」


「あぁ・・・」


 俺が言うと、力無く返事をしてフラフラと歩き出す。


「大丈夫か?クロークス」


 その問いに彼は足を止める。

 こちらに一切顔は見せない。


「大丈夫だ。外の空気吸ってくるわ」


 彼はそう言って出て行った。


「今・・・あなたは何に対して大丈夫と声をかけたのですか?」


 彼女がそう話し出した。


「人は身体を鍛えられても中身は鍛えられない」


「・・・中身・・・心ですか?」


 機械の彼女はそう問い返した。

 やはり、わからないか。


「そうだ」


「ですが・・・心が強い。悲しみに強い人はいます」


 彼女はペンダントを拾いながら、それを握り話した。


「強くなったわけじゃない。慣れたんだ。それは強さとは違う」


 そう話すと彼女は首を傾げる。


「心は強くなりませんか?」


「あぁ。強くならない。悲しみに対しては特に」


 その言葉に、彼女はクロークスが出て行った方を見つめる。

 そのままゆっくりと口を開いた。


「心は強くならない・・・理屈・・・ですか?」


「・・・現実だよ」


 そう言って、俺たちも外に出る。


 外には、地面に座り空を眺める白髪の少年がいた。


「クロークス」


 俺の呼びかけに彼は何も答えなかった。

 それどころか、すこしも反応がない。


 今はきっと、顔を見られたくないのだろう。

 肩が少し震え、空を見ていた顔は俯いてしまう。


 俺はゆっくりと近づき、後ろから肩に手を添える。


「冥府に入る方法を見つけて・・・。お姉さんにちゃんと別れを言おう」


 そういうと、クロークスは小さく、何度も頷いた。


「もしかしたら、レイドの情報もあるかもしれない」


「あぁ・・・」


 弱々しく返事をするクロークスの肩を叩き、俺は立ち上がる。


「そうだ。影は何か言ってたか?」


 俺は機械の彼女を見つめ、そう問う。すると彼女はゆっくりと頷き、口を開いた。


「はい・・・物凄く軽装でした。盗賊のような。短剣を主な武器としていました。足が早かった。恐ろしいくらいに。・・・あと、ティタ。と名乗っていました」


 それを聞き、俺はクロークスを見る。


「クロークス。聞き覚えは?」


「・・・姉貴の名前だ」


 確かにそう言った。

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