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ShadowSraid  作者: 鬼子
愚者共の選択編
48/98

14

 太陽が真上にまで登り、じりじりと身体を焼く。


 汗がほほをつたり、地面に落ちる。


「あっちぃぁァァァァァ!」


 脳みそまで沸騰しとろけてるのか、クロークスはテンションの高い叫び声を上げる。


「うるさい!静かにしてよ!」


 暑さにイライラとしたフィーニスが強く叫んだ。

 瞬間、周囲に異様な空気が漂う。


 それを完治したかのように、2人は戦闘態勢に移行する。


「何・・・」


「わからない・・・」


 周囲を見渡しながら探るが、わからない。


 まだ森の中だ。

 姿は見えないが、確実に何かがいる。

 

 それも一体二体の話じゃない。

 

「狩人よ。帰れ。 誰の許しを得て境界を超えている?」


 突如として森の中に低い女性の声が響く。

 その言葉を聞き視線を下に向けると、ナイフのようなもので線が刻まれており、その前の上には魔石のようなものがある。


「人除けの魔道具か?」


 俺はクロークスに小声で聞く。

 だが、小さく首を振った。わからないのか・・・


 人除けとは完全に人を、生物を寄せ付けないわけじゃない。

 感覚的に本能に不安感を出す魔道具だ。


 すごい簡単に言うのであれば、深夜に街灯が一つもない細道に足を踏み入れるような。そんな不安を強制的に放出させる精神攻撃系の魔道具だ。


 つまり、なんか行きたくないな・・・と言う無意識の不安を炙り出す。


 だから、絶対に進む。止まれないと言う確固たる意思がある生物には効果はない。


「再度問う。誰の許しを得て境界を跨いでいる?」


 その言葉に俺はゆっくりと短剣に手を伸ばす。


「戦うつもりはない。ウィングロストの竜人と話がしたい。危害を加えるつもりはない」


 そう言ってみるが、警戒は解かれない。


「目的を話せ」


「竜人と話したい。螺旋の霧と最近現れた影について聞きたい」


 すると数秒後、木々が揺れ奇妙な集団が現れた。


 体には竜のような鱗がびっしりとあり、背中には小さな翼が、シルエットだけ見れば完全に人間だ。


 違う場所と言えば、翼があり、鱗がある点だけだ。身につけている衣服やアクセサリーも人間が扱うようなものばかりだ。


 青い鱗を体にびっしりと生やした女が姿を表す。太い尻尾がゆらゆらと揺れ、竜なのだと再認識する。


「我々も襲われた身だ。協力しよう」


 そう言って彼女はこちらに来る。

 次々と現れ、最終的には30人ほどだ。


「あまり構えないでくれ。我々も気が立っていた。謝るよ」


 竜人の女は優しく笑ってそう言った。


 短剣に伸ばしていた手を戻し、クロークスとフィーニスに視線を送る。


「着いてきてくれ、ウィングロストはすぐそこだ」


 そう言われ女性についていくと、言葉通り森からすぐに抜け開けた場所に出た。


「ギラ! それは誰だ⁉︎」


 村の中から緑の鱗を生やした男がこちらに大きくてを振る。

 青い鱗を生やした彼女は、どうやらギラと言う名前らしい。


 ギラは男に大きく手を振り、口を開く。


「久々の客人だ!失礼のないように頼むぞ!」


 そう言っていた。

 俺たちは街の中で一番でかい屋敷に招待され、客室でギラと会話をする。


「座ってくれ」


 そう言われ、長いソファに腰をかける。


「紹介が遅れたな。私はギラ。街のみんなを取りまとめている者だ」


 そう言って足を組み出す。


「俺はダリア。それと、フィーニスとクロークスだ」


 その紹介にフィーニスたちは軽く会釈をする。


 〜地に落ちた島 ウィングロスト〜


「どこの町もかなり気が立っていると聞いた・・・特にウィングロストは余所者を受け付けないとも。かなり話が違うな?」


「あぁ、それは古い連中だ。私たちは竜人で知識は豊富だが、知識しかない。戦えないから他者を避けるが・・・影が現れてからはそうも言えない」


 ギラは溜息を漏らしながらそう話した。


「・・・戦えない?」


「私たちは冒険者にはなれないんだ。だから寵愛を受けることは出来ない」


 理由はわからないが、戦えない。または戦闘力が低いことは十分に理解した。


「さて、聞きたいことは何かな?」


「螺旋の霧の越え方を知りたい」


 俺がそう言うと、ギラは少し考える。


「冥府のクソ、アルゴからの招待状は持っているか?」


「クソ?」


 そういうと、ギラはゆっくりと立ち上がり、少し離れた机にあるティーポットを手に取り、何かをカップに注ぎ始めた。


「冥府と言うか・・・神は大抵クソだ」


「何かあったのか?」


 機嫌悪そうに話すギラ。

 その理由が気になり、俺は問い返す。


「何かあった・・・か。 あったと言えばあったし・・・君たちも現在進行形で騙されてるとしたら?」


 紅茶を啜りながらギラはそう言った。

 そこで話し始めたのはクロークスだ。


「待ってくれよ。恩恵を授け、人間の生活を助けてるのは神だろ」


「寵愛はどれも協力だ。起死回生のチャンス。仲間を助けられるかもしれない。 何かを成し、現状を変える。強大な寵愛は、大気を揺らし、分子を操る・・・世界のルールそのものを捻じ曲げてしまうような寵愛・・・君たちで言うところの恩恵が、代償無しに使えるとでも?」


 ギラはティーカップをおいてそう言った。

 その声は一段と低く、狭い部屋に響いた。 

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