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どうすればいい・・・
どう対抗するのが正解なんだ?
「あれ・・・生物がしていい硬さか?」
俺が静かに呟く。
「まぁ、グラウンドワールも硬かったし」
クロークスがため息を漏らしながらそう言った。
「いや、あれは甲殻だろ。オーガは肉だ。肉が硬くなってる。どんな原理だよ」
俺はそう言った。
そう。オーガは肉なのだ。
甲殻が硬いのならまだ納得は出来る。だが、そうではない。
肉が、毛が鉄のように硬いのだ。
クロークスの雷でどうにか上手く行かないかと悩んだが、あまり効果は内容だし、手詰まりなのも事実だ。
「取り敢えず・・・本気で行くか」
トントンと地面をリズミカルに蹴りながらクロークスが呟いた。
再度雷を体に纏い、バチバチと音を鳴らす
「先手必勝!」
クロークスの身体が揺れた瞬間、すでにオーガに一撃浴びせていた。
だが、狼とゴブリンの群れも対処しなくてはいけない。
俺も駆け出し、短剣を抜く。
森の中を走りながら、死角を利用してゴブリン共を仕留めていく。
確実に仕留め、血に濡れた短剣を服で拭う。
暗い森の中、バチバチと光る雷を見つめる。
決定打に欠ける・・・物理が無効・・・とはいかないだろうが、明らかにダメージが少ないのはわかる。
「・・・・!・・・・・・」
すると馬車の方からゴブリンの声が響いた。
「マジか⁉︎ 見逃してた!」
俺は走り出し、馬車に戻る。
ゴブリンが三体ほど馬車から降りてきて、見つけた食料を仲間に見せつける。
俺は速度を早め、勢いは殺さずに短剣で胸を貫いた。
「・・・・!」
驚いた声を出したゴブリンは荷物を地面に落とし、すぐに戦闘態勢に移行する。
馬車の積荷が荒らされ、ぐちゃぐちゃにされている。
「取り敢えず、討伐しないと・・・」
俺は短剣を振い、一体一体確実に仕留めていった。
「クソ・・・」
短剣が血で滑り、手を離れる。
カツンと音を立てた短剣は地面に倒れた。
「よいっしょ・・・」
戦闘で疲れた身体を労わりながら姿勢を低くして短剣を拾い上げようとした瞬間・・・
ピチャリと水音が耳に入る。
音の正体は馬車からだった。
「なんだ?」
積荷に水があったのだろうか。
それか、血?肉とかあったか? 野菜の汁か?
色々考えつつも、地面に這いつくばって液体を触る。
ヌルリと滑り、ベッタリと手袋に染みを作った。
「・・・なんだこれ?」
指についた液体の匂いを嗅ぐ、するとなんとも言えない匂いがした。
だが、どこかで嗅いだ記憶がある。
知っている匂いなのだ。
目を瞑り、どこで嗅いだ匂いなのか記憶を辿っていく。
どこだろう。
靄がかかり、見えづらかった記憶が徐々にハッキリとしてくる。
それは酒場だ。
酒場でよく嗅ぐ匂いだ。
それと・・・ギルドでも嗅いだことがある。
そして一つの結論が導き出された。
「・・・油か?」
そう呟いて、馬車の荷台に飛び乗る。
ぐちゃぐちゃになった荷物に手を突っ込み、掻き分けて油の出所を探す。
「どれだ・・・」
少量の油が滴り落ちていた。
なら小さな入れ物かもしれない。
布の袋ではない。ガラスだ。
ガラスを扱っているか陶器の可能性が高い、ヒビが入って染み出してるんだ。
「どれだ、どれ・・・」
ガザガサと激しくかき分けた瞬間、背後からゴトっと何かが落ちる音がした。
振り返るとそこにはヒビの入った小さな壺のようなものがある。
壺とはいうが、手のひらサイズで木の蓋がしっかりと閉ざされていた。
ヒビが入った場所からは少しずつ滑り気のある液体が染み出す。
「見つけた」
俺はそれを握りながら荷台から飛び降り、クロークスがいる場所に向かう。
闇で何も見えないが、雷が発する雷光だけはキラリとひかり、居場所を伝えた。
「クロークス! 一瞬離れろ!」
合図を送る。
それを聞いた瞬間にクロークスは離れ、俺は油壺を投げた。
だが、あれだけゴブリンに荒らされても完全に割れていない。
かなりの強度があることは明白だ。
短剣を取り出し、クルクルと回る壺を目掛け投擲する。
ヒビが入っていた場所に直撃すればよし・・・
「当たれぇぇ!」
短剣は壺にあたり、オーガの頭上で割れる。
中に入っていた油が、オーガの体を揺らし、自身の匂いを嗅いでいる。
「油は知識にないか⁉︎オーガ! クロークス!」
「あいよ!」
瞬間、近づいたクロークスが体に電気をオーガの体が燃え上がる。
バタバタと暴れ、時期に地面に倒れた。
「倒したか?」
「多分な。ナイスクロークス」
そう言いながらクロークスと拳をぶつける。
「お疲れちゃん」
「あい」
そして夜は続く。




