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ShadowSraid  作者: 鬼子
愚者共の選択編
39/98

5

 俺は馬車に乗っている積荷を調べる。


「特に大事な物とかなんだ。食料以外には何もないのか?」


「ないわ、食料だけ。だから、最悪激しく襲われても損失は少ないかな。 まぁ襲われないことが1番だけどね」


 ローザはそう言った。

 馬車の荷台から降り、クロークスとフィーニスに合図を送る。


「さぁ、進もう」


 すると、馬車はゆっくりと動き出した。


 草を踏み締めながら森の中を歩く。

 森とは魔物の棲み家だ、だが、昼間の内は夜に比べると活発化しない。


 今のうちに進みたいな。


「フィーニス。どうだ?」


「今のところは大丈夫そう」


 フィーニスは荷台の屋根の上に座らせている。

 理由は、彼女は俺より耳がよく、鼻がきく。

 獣人だからだろう。索敵には向いている。


 馬車を挟むように俺とクロークスは歩き、周りを警戒する。


 静寂の中にガラガラと車輪の音が混じる。

 乾いた土、草を踏み締めながら、視界の悪い森の中を進む。


 少し進むと、フィーニスの雰囲気が変わる。


「ん?」


「フィーニス、どうした?」


 フィーニスの耳がピクピクと震え、目は上空を捉える。


「かなり多い、群れ・・・」


「群れ?空の群れなら・・・ハーピーか?」


 瞬間、バサバサと翼の音が耳に入る。

 女性らしい叫び声と、女体に翼が生えた茶色い姿が視界に入る。


「ハーピーだ!」


 全員戦闘態勢に移行する。

 だが、遠距離武器を持ち合わせていない上、狭い場所では獣化ができない。

 そのせいでフィーニスの恩恵。『服従』は利用できない。


 空中にいるハーピーをどう引き摺り下ろすか・・・


「ダリア! どうする、戦うのか⁉︎」


 クロークスが俺に指示を仰ぐ。

 狭い空間、雷は扱えるのだろうか。


「クロークス!雷でどうにかできたりしないのか⁉︎」


 俺がそういうと、クロークスは顎に手を当て考える。

 やはり上空に対しての攻撃手段はないのか?


 瞬間、クロークスの身体に雷が纏われる。

 バチバチと音が鳴り、空気中に光が舞った。


 ゾクリと悪寒が身を包み、何かを感じ取る。

 見たことのない風景、現象だが、本能が離れろと脳に電波を送る。


「フィーニス!馬車に乗れ!」


 俺はフィーニスにそう指示しながら馬車に乗り込む。


「ローザ! 馬車を全力で走らせろ!」


 合図と共に馬車が動き出し、クロークスから離れる。

 ハーピーは肉食。特に人肉を好む。

 1人きりになったクロークスを捉え、こちらには一体も追って来なかった。


 狭い森を数十メートル。

 クロークスの姿が視界から外れた瞬間、バリバリと大きな音がなり、大気を揺らした。


 鳥が飛び立ち、静寂が流れる。

 数秒後、クロークスが姿を現した。


「おまたー」


「何かするなら事前に言え!」


 軽く、何事もなかったように現れたクロークスに俺は言った。


「いやぁ、失敬失敬。 思いつきだし、成功するかわからないから別にーって感じ」


「それでもだ!ローザ!馬車の速度を緩めていい!」


 馬車の速度を落とし、ゆったりと歩き始める。


「で?結局何したんだ?」


「ん?あぁ。オアシスグレイスでダリアが失神してたのを見て、ピンっとね。 奴らの身体にも雷が映らないかなぁって。 接触する瞬間に放出して、一網打尽よ」


 と、得意げに言ったクロークス。

 俺の本能が叫ばなかったら、巻き添えを喰らっていたかもしれない。


 馬車から降り、また警戒に戻る。

 赤く染まる夕空を見上げながら溜息を漏らした。

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