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ベッドに勢いよく座る。
柔らかな反発が体を浮かした。
「本当に全員一緒で良かったのか?」
「仕方ないでしょ。財布の中身はほぼスッカラカン。それに別に気にしないし」
フィーニスがそう話した。
「そうか・・・ならいいか」
「なに、不満なわけ?」
呟いた俺に、フィーニスは鋭く俺を睨む。
「いんや。確かに、金ないもんな」
そう言いながらベッドの柔らかさを再度確かめるように寝転がる。
「明日はどう動くんだ?」
クロークスがそう呟いた。
「そうだな。朝にしたくをすまして、昼には帝都を出よう。ルーカスが言うにはかなり距離があるみたいだしな。 早めに出た方がいいだろ」
俺のその言葉にクロークスが頷く。
「じゃあ、寝るか」
クロークスのその声で俺たちは眠りについた。
朝、瞼を突き抜け朝日が瞳を刺す。
目を瞑っているはずなのに明るい。
俺はベッドから降りて、顔を洗いに洗面所に向かう。
扉を開けると、先にフィーニスが顔を洗っていた。
「起きてたのか、早起きだな」
「まぁね。あんな地域にいたら、朝から活動しないとその日のご飯なんて得られない。最悪虫を喰むことになるわ」
フィーニスが自身の顔をタオルで拭いながらそう話す。
「そう言うアンタも早起きじゃない?」
「冒険者は早起きなんだよ」
俺のその発言を聞いて、つまらなそうに返事をしたフィーニスは洗面所から出て、ベッドがある方を見つめる。
「冒険者は早起き・・・ねぇ・・・」
「・・・いつだって例外はある」
俺の言葉を鼻で笑い、何度か頷いたフィーニスは姿を消した。
数秒後・・・
「ほらクロークス!アンタいつまで寝てんの⁉︎馬鹿なんじゃないの⁉︎」
と、フィーニスの怒号が響いた。
あらかたの身支度を済ませ、宿を出る。
早朝。それもかなり早いためか、外出している人は少なかった。
だが・・・
「こんな時間でも店は開いてるのか」
「冒険者のためよ」
なるほど。
今から行く人間や、帰ってきた人間のためか、それなら納得だな。
「どんな食料がいいの?」
「日持ちする・・・いや、食料は多少で、残りはポーションにしよう。オアシスグレイスでまぁまぁ稼げたし、奮発してもいいだろ、足りなくなった食料は現地調達でいいだろう」
フィーニスの質問に答えた俺は、ゆっくりと歩き出す。
「朝ごはんはどうする?」
「そこらへんで買って食うか、あとはウロウロして入ればいいさ」
そう言いながらあらかたの買い物を済ませる。
時間が経ち、人が徐々に増えてくる。
小腹が空いて店で食べ物を勝っている最中の出来事だ。
「おじさん、この串焼き三つちょうだい」
「あいよ!」
そんな会話をしながら視線を送ると、兵士たちが何やら馬車に荷物を投げ入れている。
それもかなり多量だ。
「なんだあれ・・・?」
その光景を疑問に思った俺は、無意識のうちに呟いていた。
それに店主が答える。
「あぁ、あれはオアシスグレイスに物資を運ぶんだ。昨日、グラウンドワールが討伐されたらしいからな。 それもたった3人でだ。 一体どんな冒険者なんだが、全員赤等級・・・もしかしたら黒もいたかもしれないな」
そう店主は目を輝かせながら言った。
串焼きを受け取り、頬張る。
「噂では、冒険者を率いていたのは黒髪で赤い瞳の冒険者らしいんだが、そんな珍しい奴早々・・・」
店主は俺を見ながら言葉を詰まらせる。
「・・・もしかして・・・あ」
「いや、違う。 別の人間だろう。俺は銅級だし、倒せるわけがない」
店主の言葉を遮り、可能性になりそうな要点を確実に潰していく。
バレたらめんどくさい。
「おい、ダリア」
その時、クロークスの声が響く。
俺は視線をクロークスに向ける。そこには、串焼きを食べている白髪の青年が立っていた。
「どうした」
「そろそろ時間だ。早めに向かおう。 夜になれば魔物も増える」
クロークスの言葉に頷き、歩き出す。
「方角は?」
「えっと・・・」
俺は問うと、クロークスは懐から地図を取り出し広げて見せた。
「そんなもの持ってたのか?」
「さっき買ったんだよ! 流石に何もなしはキビィーっしょ」
それもそうか。
「あっちだねぇ」
クロークスが指差した方角に歩き出し、またゲートまで来る。
「このトンネルを越えれば、ウィングロストの領地か?」
「多分ね。わかんねぇけど」
そう言って歩き出す。
太陽が直上に迫る昼。
天から地に落とされた島、ウィングロストに続く道に足をのせた。




