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立ち上がり、体についた砂を払い落とす。
「大丈夫?」
「あぁ、大丈夫」
フィーニスの質問に答え、一息つく。
すると、背後から男が近づいてきた。
「マジでやったのか・・・?」
「あぁ、主に2人がな」
そういうと、開いた口が塞がらないと言った様子で男は首を小さく振った。
「すげぇよあんたら」
「いや、水と雷の相性を教えてくれて助かった。 クロークスの意見だけだと・・・まぁ、あれだ」
俺が気まずそうに言うと、男は強く頷く。
「いやいや、ひどくね⁉︎結構活躍したよ?俺⁉︎」
「あぁ、そうだな」
「うっわ。何それ、労いの言葉とかないの⁉︎ 労いプリーズ。 ネギプリーズ」
何を言っているのかよくわからないが、褒めて欲しいと言う意思は伝わってくる。
「ははは、お前らは仲がいいな。 俺も見たことはないから半信半疑だったんだ、いいものが見れた。竜人の記述を覚えておいて良かったぜ」
男は左右の手を腰に当ててガハハと笑う。
「そうだ。その竜人ってのはなんだ?」
「知らないのか?竜でもあり、人でもある。 竜の姿をした人だ」
男は確かにそう言った。
竜の姿をした人?どんな奴らだ・・・
「気になるならウィングロストに行ってみるといい」
「ウィングロスト?」
「あぁ、空に浮かぶ島・・・あ、いや。今は地に堕ちた島かな。 奴らは長生きだ、知りたいことがあったら聞いてみるといい、何かいい情報が入るかもしれない」
そう言われ、少し考えると横からクロークスが割り込んでくる。
「いやいや、先にドールミストに行こうぜ! 頼むよ!」
ドールミスト。
霧に包まれた街だったか?冥府に繋がる扉がある・・・
その話を聞いた男が口を開く。
「ドールミストだ? あそこは入れないだろ。螺旋の霧が充満してる。 出ることは出来ても入ることは出来ない」
「入りたい場合の方法は?」
「さぁな・・・誰も知らん。それこそ竜人に聞くのが早いんじゃないか?」
そう言われ、クロークスを見る。
「だってさ」
「へいへい。じゃあ、最初に向かうのはウィングロストかぁ」
クロークスは肩を落としながらそう話す。
「そうか、クロークスも出ていくつもりなんだな」
「まぁな。世話になったけど、本来の目的を思い出した。 いつまでもここでってのもあれだしな」
クロークスがそう話すと男は強くなんども頷いた。
「そうか・・・。あぁそうだ。他の国に共通して言えるが、影の襲撃があったせいで殺気立ってる。気をつけろよ。 外からの連中をニコニコしながら受け入れるのはオアシスグレイスくらいだ」
その言葉に俺は強く頷く。
「忠告ありがとう。そろそろ行くわ」
「もうか?戦闘直後だ、休んで行ってもいいんじゃないのか?」
男にそう言われるが、俺は小さく首を振る。
「いや、元々依頼でここに来てる。本来は依頼が終わったらすぐに帰るつもりだったんだ。 だから、ここでバイバイだ」
俺がそういうと、男は少し寂しそうな顔をした。
「そうか。わかった。街のガキたちには俺から言っておく。もちろん。クロークスの事も」
「頼む。じゃ、行くわ。 フィーニス!乗れる?」
俺が問うと、心底嫌そうな顔をして頷く。
「はいはい、まぁ砂漠地帯は私が詳しいし、いいよいいよ、やりますよ!」
そう言って獣のままのフィーニスが姿勢を下げる。
「乗りなさいよ。早めに駆け抜けるわよ!」
そう言われ、俺とクロークスはフィーニスの背中に乗る。
「そうだ、これ」
そう声をかけられ、振り返ると瓶が3つ投げられる。
それを受け取り、中身を見る。
緑色のビンをしていて、中身はよくわからなかった。
「あー・・・これは?」
「ポーションだ。休みなしじゃきついだろ。繋ぎになるかわからんが、全員飲んどけ」
そう言われて、俺とクロークスは飲み干す。
キュポンと最後の便の蓋を外し、フィーニスの口に当てる。
「飲める?」
「ありがとう、あ、もう少し上がいい」
指示された通りにフィーニスにも飲ませ、やっと準備が完了する。
「じゃあ、行くわ」
「またな!!」
俺とクロークスがそういうと、フィーニスは勢いよく走り出した。
「元気でやれよ!!」
クロークスが彼らに叫んでいる。
「お前らもな!!」
そう返事をした彼ら。
クロークスはそれから・・・一言も話さなかった。
旅立ちを見守るように、ジメジメとした空気が身を包む。
目指すは、帝都。




