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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
33/98

23

 砂漠を駆ける。


「もう少し近づけ!」


「全力で走ってるよ!」


 揺れる視界、舞う砂。 太陽にジリジリと照らされ、流れる汗が体力と共に落ちていく気がする。


「てか、魔術書(グリモア)ってどう扱うの⁉︎私知らないんだけど!」


 フィーニスがそう叫んだ。

 それはそうだ、魔術書なんて使ったことがない。

 俺も知らない。


「イメージして唱えるんだよ! 海がイメージできるなら言葉にしなくてもいい!」


「でも、魔術師たちは何かを詠唱してたじゃない!」


 そう、フィーニスの言っていることは間違いではない。

 クロークスの言葉にフィーニスが言い返す。


「詠唱ってのは自分自身がイメージしやすいように言語化してるだけだ! 故郷が変われば伝承も変わるように、同じ魔法でも人によって詠唱に使う言葉が変わったりする! もっと言えば、詠唱なんか必要ないんだよ!」


 クロークスは大きな声でそう叫んだ。


「だが、魔術書は魔力がない人間でも扱えるように出来てる! 海をイメージして本を開け! それだけでいい!」


「開くだけ⁉︎」


 クロークスの言葉にフィーニスが叫ぶように言う。


「あぁ、開くだけだ! ダリアがさっき開いたが、海を知っていたらあそこで発動してたぞ! マジあぶね・・・あ、砂が口に入った!」


 クロークスは俺の後ろで口に入った砂を吐き出そうと何かをしている。


 それより、魔術書とはそんな仕組みだったのか、なら先程開いたのはかなり軽率だったかもしれない。


 次からはきをつけよう。


 グラウンドワールの体が徐々に近づき、迫力が増す。


「ダリア!フィーニスちゃん! どうやら、サンドワールを食い荒らし終わったみたいだぜ!」


「言わなくてもわかってるわよ!」


 クロークスが楽しそうに話すなか、フィーニスが叫ぶ。


 グラウンドワールは何かを探すように周りをキョロキョロと見た後、俺たちに照準を合わせる。


「見つかった!」


 クパクパと口を開け閉めした後、槍のようにこちらに突進してくる。


「来てるきてる!」


 口が開き、食べられそうになる瞬間、フィーニスは高く飛び上がり、グラウンドワールの体に飛び乗り走り出した。


「ナイス回避だフィーニスちゃん! これからどうすんよ⁉︎」


 クロークスがフィーニスを褒めながら次を練る。


「取り敢えず・・・!」


 俺はポーチの中から小さなナイフを取り出しグラウンドワールの体に投げつける。

 カチンと音が響き簡単に弾かれてしまった。


「装甲が硬い!」


「となると・・・体内か⁉︎入った瞬間行き着く先は冥府じゃないよなぁ⁉︎ 冥府への扉はドールミストじゃなくてグラウンドワールかい⁉︎」


「ふざけてる場合か⁉︎」


 どうにかしようと考えるが、やはり体内に直接というしかない・・・


「てか俺っている⁉︎」


 魔術書を扱うのはフィーニスで、雷はクロークスだ。

 なんとなくついてきたが・・・よく考えたら俺は必要ないのではないだろうか。


「馬鹿言えダリア! 俺たちは仲間だ! 死ぬ時も一緒だ!」


「死ぬこと前提じゃねぇかよ!」


 次第にグラウンドワールの尾まで近づき、走り抜ける。


「フィーニスちゃん! 次は真正面から突っ走るぜぇ!!」


 馬鹿かこいつ。そんなことしたら全滅するのは確実だ。

 俺たちが死んだらグラウンドワールを倒す術がなくなる。


「取り敢えず頭を上げさせろ! ここで転移を発動させたら被害がどのくらい出るかわからない!」


 海と言うものがどんなものかわからないが、適当なことを言ってみる。


「確かになぁ!」


 クロークスは叫んだ。

 コイツが馬鹿で良かった。


 先程の情景を繰り返すように、グラウンドワールが正面から口を開き突撃してくる。


「今!」


 俺の合図と共にフィーニスが高く飛び上がる。

 高さが足りないと感じたのか、広げた口を踏み台のように扱い、さらに高く跳躍する。


「ナイス! フィーニスちゃん!」


 瞬間、クロークスだけが更に高く飛ぶ。


 俺たちはあと落ちるだけ、かなりまずいか?


「ノンノンノン終わらせないぜぇ!」


 クロークスが懐から太い紐を出して俺たちをひっぱりあげる。


 すごいコントロールだ。


 圧巻の腕前だな。


 高く上空に飛び上がる。

 それを喰らおうと下には口を開いたグラウンドワールが待機している。


「フィーニス!」


 そう呼ぶと、フィーニスは目を瞑り魔術書を開いた。

 瞬間、大量の水が一気に放出され、フィーニスがさらに高く打ち上げられる。


「よくやった、クロークス!」


 大量の海水が柱のように連なりながらグラウンドワールの口に入る、体内も体外も回数に濡れ、まだ繋がっている。


 今なら・・・


「あいよ!任せんしゃい!」


 ビリっとクロークスの体が光り、海水の柱全てに雷が伝達する。


 その瞬間、多少体が濡れていたのが激痛と共に一瞬で目の前が暗くなった。

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