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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
32/98

22

 炎天下の中、顎に手を当てて唸る。

 瞬間、クロークスが目を開いた。


「何か浮かんだか?」


「なんも浮かばん! ダメだぁ、死ぬしかねぇ!」


「諦めが早いわ」


 クロークスがゲラゲラと笑いながら考える。

 ふざける余裕があるのは、負けを確信したわけじゃない。


 案外希望があるかもしれないな。

 だが、作戦を練らなくては全滅は免れない。


「どうするよ」


「さぁ?」


 俺の問いにフィーニスが両手をあげながら首を振る。

 お手上げとはこのことか。


「取り敢えず、今一番戦力になるのは・・・」


 そこまで言ってクロークスを見つめる。

 

「唯一の赤等級。クロークス、お前だな」


「いやいやいや、他にも赤等級の冒険者は沢山いるゼェい! 俺だけはちと荷が重いわぁ!」


 クロークスは笑いながらそう言って周りをみた。


「今この場にいる赤等級はお前だけだ。他の連中は別の依頼か、もうあいつらの腹の中にいる」


 俺はそう告げた。


 クロークスは肩を落としため息を漏らす。


「てなわけで、1番戦力になるクロークスを使わない手はない。 問題はどうするかだな」


 そう言いながら奴らを見つめる。

 サンドワールの数がかなり減って、そろそろ限界を迎えそうだ。

 ならどうするべきか。


「雷って、何か使い道ないっけ」


「あ〜・・・水に溶ける?」


 ん? 溶けるとはなんだろう。

 氷が溶けて無くなるような。そんな感じだろうか。


 俺の問いに答えたクロークスの出した解は、あまりにも曖昧だった。


「ちょっと詳しく」


「詳しくって言ったって、水に雷を通すと広がるんだよ。バリバリバリって。 すごいだろ」


 よくわからん。


 すると背後から男が歩いてくる。


「あぁ、雷の性質か。水は雷を広げることができるんだ。 竜人の記述にあるから間違いない」


 ならそれが事実だとして、どうする?


「水ってのは具体的になんだ?」


「海水だな」


 海水・・・こんなだだっ広い砂漠に海水なんて存在しない。

 詰みか・・・


 そもそも、海なんて見たことがない。

 存在するかどうかわからない何かに頼るのは・・・かなり難しい


「この中に一度でも海を見たことがある奴がいるなら、手がないわけじゃぁない」


 男はニヤリと笑いながらそう言った。


「どういうことだ?」


 俺が問いかけると、男は懐から一冊の本を取り出し、地面に放り投げる。


「高いからな、あまり使いたくはないんだが、使わないと死ぬなら話は別だ」


 そう言って放り投げた本を開く。

 よくわからない文字が多量に刻み込まれた一冊の分厚い本。


「これ、魔術書(グリモア)か⁉︎」


「あぁ、そうさ。 それも、転移の魔術書だ。 脳内でイメージした風景をそのまま引き摺り込み、転移させる」


 男はパンと手を合わせる。


「さぁ、どう扱う?もう時間がない」


 すると、一頭の獣が前に立つ。


「ダリア、私がやるわ。 海なら奴隷商と旅をしている時に一度だけ実物を見たことがあるの。 海水を舐めた経験もある。 それさえあれば、十分引っ張り出せるわよね?」


 フィーニスが男を睨み、低い声でそう言った。


「多分な。確証はない」


「まぁ、いいわ」


 フィーニスなりの覚悟だろうか。

 ため息を漏らしながら魔術書を咥える。


「ダリア、クロークス。 背中に乗りなさい。ここから先は私たちの仕事になるわ」


 そうフィーニスは俺たちに指示する。

 男が俺の背中を叩き、ニヤリと笑う。


「水が雷を通すと広がって周辺に被害が出る。 人体も例外じゃない。 もちろん、お前達が1番危険だ。 選択肢は3つ。 一つ目は全員生き残る。 二つ目は誰かが生き残る。 三つ目は全員死ぬ。 最悪なのは四つ目・・・」


「三つ目って言わなかったか?」


「そうか?まぁいい。四つめは・・・」


 風にかき消されるように絶望の言葉が耳を指す。

 心拍数が一気に上がり、依頼の責任が、重みが一気にます。


「行ってこい」


 男のその言葉に俺たちは頷き、走り出す。


「目標目の前! 後30秒もしないうちにサンドワールが全滅するぞ!」


「準備できてるわ!」


「いっちょやったるでぃ!」


 威勢はよく砂漠を駆ける。

 最悪の四つ目は・・・


「俺らが全滅して、グラウンドワールが無傷なこと」


 そうはさせないさ。

 だから、策を練ったんだろ!

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