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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
31/98

21

 時間を稼ぐだけ。

 簡単だ、簡単なはずなんだ。


 だが・・・これは・・・


「数が多すぎる! まずい・・」


 視界に映るのはサンドワールの群れ。

 グラウンドワールの姿は一ミリも見えないほどに視界は覆い尽くされていた。


「クロークス! どうにかならないのか!」


「無理無理ぃ!何かすれば全員巻き添えになる! 回避しながら一撃一撃、一体一体しっかり倒して行くしか方法はないっしょ!」


 本来の口調に戻ったクロークスは、心底この戦いを楽しんでいる様子だった。


「ガチヤバだ!」


「ふざけてる場合か! くるぞ!」


 俺の合図と共に左右に避け、短剣で身体を穿つ。


「クソっ、浅い!」


「それはノンノン! よいしょぉ!」


 クロークスがサンドワールを蹴り上げ、一瞬で移動。

 再度顔面と思わしき部位を蹴り、頭を剪断する。


「蹴りだけで頭ちぎれんのかよ!」


「それが雷纏よ!」


 ワイワイとしながら攻撃を捌き、反撃をしていると、ある時点で場の空気が変わる。


「ダリア! フィーニスちゃんが来るみたいだ!」


 そう言われ、フィーニスを見ると完全な獣化をしており、茶色い毛をした獣がこちらを睨む。


「準備出来たのか⁉︎」


「待たせたわね」


 俺の問いに低い声のフィーニスが答える。


「全員、耳塞いでなさい! 騒がしいわよ!」


 そう叫んだ瞬間、遠吠えのように天に向かってフィーニスは鳴いた。


 直後、サンドワールの動きがぴたりと止まる。


「な、何が起きた?」


「これで終わりじゃないわ」


 そう言って、フィーニスが高く飛び上がりグラウンドワールを睨みつける。

 すると、サンドワールが一斉に動き出した。


「何した?」


「サンドワールにグラウンドワールを襲わせる」


「なんだと?」


 フィーニスの言った事がわからずに俺は問いかけた。

 すると、獣のままのフィーニスが近くに来て小声で話す。


「私の恩恵は『服従』。 私より階級、等級が低い魔物を自由自在に操る能力。 数に制限はない」


「すごいな」


 グラウンドワールに集り貪るサンドワールを見て、勝ちを確信する。


「案外あっさり行くな」


「これで俺たちの勝ちダァァァァァァ!」


「宴だ!宴ぇ!」


 後方で騒ぐ冒険者には目もくれずフィーニスは遠くのグラウンドワールを見つめる。


 瞬間、ザッザッと砂を蹴る音がしてクロークスの姿が視界に入る。


「マズイなぁ〜?」


「何かあったのか、クロークス」


 クロークスに問いかけると、彼はフィーニスを見つめた。


「サンドワールの等級は?」


 フィーニスが独り言のように呟く。


「・・・銀か金」


 それに苦い顔でクロークスが答えた。


「なら、グラウンドワールの等級は?」


「赤か・・・最悪黒に食い込む」


 フィーニスはクロークスを睨む。

 ため息を漏らし、ゆっくりと口を開いた。


「サンドワール数十体の群れがグラウンドワールに勝てる確率は?」


 フィーニスのその問いに、クロークスの目は鋭くなる。 そして、口を開いた。


「0。0.01%も無い。 傷を与える事は出来るだろうが・・・勝つなら不可能だ」


 その言葉にフィーニスは再度ため息を漏らす。


 遠くのワール達を見つめる。


「俺たちが勝つ確率は?」


 クロークスに問う。


「真正面からの戦闘なら・・・ゼロだな。でも俺たちには頭がある」


「ほう?」


「つまり、しっかり作戦を立て、戦うならワンチャンあるかもしれないって事だ」


 クロークスが自身の頭を指で叩きながらそう言った。


「時間は?」


「わからない。長くて5分。 最悪数十秒」


 絶望的な数字が提示される。

 やるしかないか・・・


「やってみよう」


 俺たちは再度、群れを見つめた。

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