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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
29/98

19

 腕輪を見つめ、自分に足りないものは何かを考える。

 経験だろうか。

 火力。思考力。情報力。 何が足りないのだろう。


 いくら考えたところで思考が纏まらずにぐるぐると回る。


 瞬間、ギルドの扉が勢いよく開かれる。


「た・・・助けてくれ⁉︎ グラウンドワールが動き始めやがった!」


 そう言って床に倒れ込む男。

 よく見れば左腕がない。

 喰われたか。


「・・・っ! すぐに動きます!動ける冒険者は外に移動してください! クロークスさん!ダリアさん!フィーニスさんも、お疲れかもしれませんが、お願いします!」


 そう言って受付嬢はギルドを飛び出す。

 それを見た冒険者は子供のようにはしゃぎ、後を追うように動き出す。


「ダリア、動けるか?」


 クロークスが心配するような表情で俺を見つめる。

 傷こそ全員塞がっているが、スケルトンパラディンとの戦闘で消耗しているのは間違いない。


 俺もその1人だ。

 自身は大きな傷を負っていたのに、他人の心配をするクロークスを見つめる。


「大丈夫だ。行こう」


 俺はクロークスにそう呟いた。

 ゆっくりとギルドを出て、都の外に出る。

 

 すると視界に映った。


「あれがそうか? かなりやばそうだが・・・」


 サンドワールの群れが数個。


 一個だけでも20体前後で構成された群れが7つほど。 それを率いるのはグラウンドワールだ。


 一際大きい個体が砂漠の海を泳ぐ。

 群れを全て合わせてもグラウンドワールの方がデカそうだ。


「数も多いな、速度もある。 どう戦う?」


 そう呟いた。


「俺1人なら雷纏があるかから戦えるが・・・」


 クロークスが顎に手を当てて考える。

 

 瞬間、重い音と共に数台の馬車が現れる。

 馬車・・・だろうか。


 帝都や皇都は馬を使った馬車があったが、どうやらこの生き物は馬に見えない・・・


「あんな魔物いたか? なんだあれ」


 目を細めながら俺は言う。


「・・・なんだあれ。わからない」


 クロークスも首を振りながら奇妙な生き物を見つめる。


 かなり大きなトカゲのようだ。

 

「リザードマン?」


「いや、リザードマンはもう少し小さい」


 砂漠と同化するような赤茶の鱗がびっしりと生え、馬より大きい体をもつ。


 舌をシュルシュルと出しながらこちらを睨む。


「俺睨まれてる?」


 そういうと、クロークスが苦笑した。


「合わないのかもな」


 俺は肩を落とす。


「みなさん! これに乗ってください! ギルドからの提供です、自由に扱っていいですが、なるべく、なるべく!壊さないように!」


 受付嬢が汗を垂らしながらそういう。


「黒髪の少年! お前らも馬車に乗れ!」


 スキンヘッドの大柄の男に呼ばれる。

 俺たちはすぐに馬車に飛び乗り、座り込む。


「勝てる見込みはあるのか?」


 俺は男に問う。

 男はため息を漏らし、首を振った。


「いいや、わからん。 サンドワールだけなら勝てなくはない。 だが、それも数が少ない場合だ。今回は異常。数もだが、グラウンドワールも現れたら厳しい・・・。 まぁ魔術師が今回は多い、それでやっとトントン・・・半々ってとこだな」


 男は険しい顔でそう言った。


「さぁ、馬車が動くぞ!」


 直後、馬車が勢いよく走り出し群れに近づく。

 溶けてしまいそうな暑さの中、グラウンドワールをしっかりと目視する。


「・・・まて、デカすぎないか?」


 そう言いながら近づく。

 危険だから近くで見れないが、少し近づいただけでわかる。


 デカすぎる。


 一度、オアシスグレイスに入る前に見たが、あの時は焦っていて見る余裕がなかった。

 だが、今一度、再度見てみると・・・デカすぎる。

 これを倒す。 出来るのだろうか。


 瞬間、魔術師が立ち上がる。


 数人いる魔術師が同じ魔法を詠唱する。


「何してるんだ?」


「サウンドフォース。音を凝縮し、発射する。 対象にぶつけて注意を惹く事を目的にした魔法だ。 並行で移動しながらじゃ戦闘は出来ない。 だから俺たちを追ってもらう状況を作る。 そこから戦闘開始。 さぁ、武器を抜け」


 俺の問いに男がそう言った。


 俺は短剣を引き抜き、準備をする。


「さぁ、くるぞ!」


 男がそう叫んだ。


「・・・・・シュートッ!!」


 魔法を放つ声がひびき、サウンドフォースが直撃する。

 弾けた音が反射し、耳鳴りが響き、何も聞こえなくなる。

 そんな中でも馬車はサンドワールから逃げるように立ち回り、注意を惹いた。


「・・・年! ・・・少年・・・! ・・・来るぞ! 戦闘態勢!!」


 男が叫ぶ。

 こうして、炎天下の中での激戦が開始された。

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