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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
28/98

18

 ゆっくりと目を覚ますと、まだ周りは暗かった


「ダリア、良かった。目を覚ましたか! フィーニスちゃん!目を覚ました!」


 すると、壁にもたれかかるように座るフィーニスが立ち上がり、走ってきた。


「まじ馬鹿じゃないの⁉︎ 死んでたかもしれないのに!」


 俺はどうやらかなり心配をかけたらしい。

 体を見ると傷が完全に塞がっている。


「・・・依頼・・・」


 そうつぶやく。


「依頼は後回しでいい!」


 クロークスが叫ぶようにそう言って、溜息を漏らす。


「そうよ、しっかり休んでからまた挑めばいいじゃない。 わざわざ死ぬような傷を負ってまでやることじゃないわ」


 フィーニスはそう言った。


「まぁいい、取り敢えず担いで迷宮から出るぞ!」


 クロークスに背負われ、迷宮を出る。

 朝日が登り、丸一日迷宮の中にいたのだと、そこで気づいた。


「ギルドに報告だけはしよう」


 そういうと、クロークスはため息を漏らしながらもギルドを目指す。

 戸を叩き、中に入ると試験を受ける際に手続きをしてくれた受付嬢と目があった。


「あ、お帰りなさい! 丸一日迷宮に居たんですか?」


「・・・まぁな」


 俺はそうつぶやく。

 受付嬢は血に塗れた服などを見て、心配そうな顔をする。


「ファントムはやはり強力でしたか・・・魔石の方はどうですか?」


 それを言われ、俺たちは首を振る。


「途中で邪魔が入っちゃって・・・休んだらまた行ってくるよ」


 クロークスが頬を掻きながらそう言った。


「邪魔?」


 受付嬢が眉を歪める。


「スケルトンパラディンが出たんだ」


 クロークスが言った瞬間、周辺がザワザワとし始める。

 受付嬢も顔を青くして口を覆っていた。


「す、すぐに討伐隊を・・・」


「あぁ、いや。大丈夫」


 慌て資料を作ろうとする受付嬢をクロークスが止める。


「え?」


「倒したから」


 その言葉をクロークスから受け取り、受付嬢の表情はよくわからなくなっていた。


 焦りと驚きと困惑、色々な感情が混ざった表情だ。


「た、倒した・・・えっと・・・クロークスさんがですか?」


 受付嬢がクロークスにそう問う。

 だが、クロークスは首を振り俺を指差した。


「いや、ダリアが」


 静寂が流れ、直後に笑いが巻き起こる。

 嵐のようにひびき、身体にビリビリの響くほどの大声が骨まで伝わる。


「クロークス! 流石のお前が言うことでもそれは信じれないぜ! だって、そいつ銅級じゃないか!」


 ゲラゲラとギルド内に笑い声が広がる。


 クロークスは少し嫌そうな顔をするが、奴らは気づいていない。


 瞬間、ギルドの扉が勢いよく開く。


「いいや、本当だ! これが証明・・・」


 そう言って、救助に来ていた男が現れ、スケルトンパラディンが持っていた魔剣を床に投げる。


 ゴトンッと大きな音を立て床に置かれた大きな魔剣は、スケルトンパラディンの物と呼ぶには十分すぎる材料だった。


「スケルトンパラディン・・・しかもウォリアー属性かよ。 あの男何者だよ」


 騒ついていた空気がさらにひどくざわつく。

 受付嬢がそれを確認し、慌てた様子で奥に姿を消した。


 数分後、すぐに別の人間を連れて現れる。


「これなんですけど・・・」


 受付嬢はボーイッシュな女性を連れてきた。

 その女性にコソコソと何かを耳打ちする。


「なるほど・・・」


 女性はそう言って床にしゃがみ込み、大剣に右手を当てる。

 目が光り始め、何かを見つめる。


 袖が長く見えなかったが、手を伸ばしたことで手首が見える。

 視界に映ったのは赤等級を示す腕輪だった。


「冒険者か?」


「あぁ、恩恵は『追憶鑑定』。戦闘に対してはクソの役にも立たないんだが・・・物体の記憶を映像化し、自身の記憶に刻み込む能力だ」


 直後、光っていた瞳がゆっくりと元の色に戻り、女性は立ち上がる。


「間違いない。スケルトンパラディンも、黒髪の少年が討伐したのも正しい情報だ。 最初の依頼はファントムだったか? ならクリア扱いで十分。それ以上か、金か赤まで飛び級しても異論はないレベルだ」


「わかりました!」


 女性の言葉に受付嬢が強く返事をした瞬間、フィーニスの身につける腕輪が金色に変化する。


「最初から金とは、フィーニスちゃんすごいな! ダリアは・・・」


 クロークスは笑いながら俺を見つめるが・・・

 俺の腕輪の色は銅のままだ。


 場にいる全員が首を傾げる。


「なんで変わらないんだ?」


「わからん・・・スケルトンパラディンを倒したのなら変わってもいいはずだが・・・」


 全員の視線が俺に集まり、静寂が流れる。

 どんな功績をあげようが、上がることはなかった。


 ・・・どうすればいいのか。


 俺は腕輪を見つめ、考えた。

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