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俺たちはギルドを出る。
扉を開き、砂の上をザッザッと歩く。
数歩進んだところで、後ろからクロークスに呼ばれた。
「ダリア」
「なんだ」
俺はクロークスの方は向かずに返事をする。
「銅級のお前が砂漠地帯を越えられるわけがない。だから何か裏が、何かあるんじゃないかってのは分かってた。 さっきの動き?凄かったな、あれはなんだ?」
俺はゆっくりクロークスに視線を合わせる。
「教える理由がない」
「ダリア、お前・・・銅級って嘘なのか? 偽ってたりするのか?」
初対面の時の元気さはない。
今は真実に近づこうとする青年が目の前に立っている。
「いや、銅級は本当だ。 腕輪の色は俺たちの意思でどうこう出来ないのは知ってるだろ」
そういうと、クロークスは俺の目を睨む。
「あの時のダリアは、銅級じゃない。 赤・・・下手したら黒まで行くかもしれない・・・ そうだ、恩恵はなんだ? まさか、フィーニスちゃんにも教えてないんじゃ・・・」
「あぁ、教えてねぇよ。聞かれてないからな。『恩恵』は『威圧』。相手との力量差が大きければ大きいほど、相手の本能に恐怖を刻み込む。 そんな恩恵だ」
その説明を聞き、クロークスは苦笑する。
「それ、嘘だろ。 威圧だとして、あの動きはどう説明する? どう考えても銅級の動きじゃねぇ・・・となると、犯罪者かなんかか?」
クロークスが目を瞑り、考える。
「犯罪者がわざわざ奴隷を冒険者に上げるか? さっきの仲間って言葉に偽りの香りはしなかった」
クロークスの目がゆっくりと開き、俺を見つめる。
「教えられないのか?」
俺を睨み、そう口にした。
直後、深いため息を漏らす。
「まぁ、いいや・・・人には一つ二つ隠し事もあるだろ、いつか教えてくれ。 行こうぜ、迷宮。 早くしないと、街が喰われちまう」
そう言ってクロークスは俺の横を通り、先を歩いた。
ーークロークス・・・お前、どっちが本物なんだ。
それから少し歩き、迷宮近くまで来る。
「オアシスグレイスの地下迷宮は階層タイプじゃねんだ! 横ーになが〜く広がるタイプでな? ステージそのものにこう・・・線がある!」
クロークスがテンション高く何かを言うが、よくわからない。
通じないことに首を傾げている始末だ。
「・・・よくわからん」
「よくわからん了解! 行ってみよぉ〜!!!」
そう言ってクロークスは大股で先をいく。
長い階段を降りていく。
「この迷宮は人工なんだ、すげぇ昔のことだから誰もわからないんだけどな! 人工だから、内側の魔物が強いんだ!」
「人工の迷宮か・・・魔物も人工なのか?」
そう言うと、クロークスは首を傾げる。
「それは知らないな・・・聞いたことない・・・」
クロークスの顔が真剣なものになり、口調も少し変わる。
「まぁ、一旦気にしないで、やっていけばいいさ!」
もとのテンションに戻り、話し始める。
歩いていたクロークスが拳を上げ、静止の合図を流す。
俺たちは一度止まり、クロークスの前に広がる闇を見つめる。
「下見てみて、ここから先が迷宮だ」
クロークスに言われ下を見ると、線が地面に刻まれている。
この線を越えれば・・・迷宮




