表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
22/98

12

 オアシスグレイスにもギルドはある。

 帝都や皇都と比べるとかなり小さいが、それでもしっかりとしたギルドだ。


 ギルドの扉を開け中に入ると、銀から金の腕輪をつけた冒険者が視界に入る。


 受付を見つけ、受付嬢に声をかける。


「すまない、冒険者登録をしたい」


「冒険者登録ですね! えっと、登録される方はどなたですか?」


 受付嬢にそう言われ、フィーニスを見る。

 その視線に釣られたのか彼女もフィーニスを見つめ、首をかしげる。


「・・・奴隷ですか?」


「問題ないはずだ」


 そう言うと、受付嬢は俺たちとフィーニスを交互に見つめ、何かを言おうとする。

 それは多分、俺も、クロークスも、フィーニスも聴きたくない言葉だ。


「仲間だ。 冒険者登録を頼む」


 俺の表情を少しみた後、受付嬢はため息を漏らし書類をいくつか出す。


「でしたら、この書類にサインをお願いします」


 そう言いながら紙とペンをフィーニスに渡す。

 だが、ペンを受け取ったフィーニスの手が止まった。


「・・・フィーニス?」


「ダリア、文字書けない」


 これは誤算だった。

 読めるし、会話ができるからてっきり読める物だと思っていた。


「すまん、俺が書いてもいいか?」


 そう受付嬢に問うと、彼女はにっこりと笑って許可を出してくれた。


 ササッと紙にサインをし、受付嬢に渡す。

 

 じっくりと目を通す。

 よし、と小さく呟いてこちらをみた。


「では、少しお待ちください。 腕輪を取ってきます」


 そう言って受付嬢は姿を消す。


「・・・長くなるかな?」


「わからないわね」


 そんな話をしていると、周囲からヒソヒソと話す声が耳につく。


「奴隷なら肉壁にするのが常識じゃないのか?」


「アイツら、奴隷を冒険者にしてるぞ」


 はぁ・・・奴隷関係の話は帝都だけじゃないのか。


 すると、背後から重厚感のある足音が響く。


「おいおい、奴隷を冒険者にすんのか? 冒険者にしなくても奴隷は迷宮(ダンジョン)に連れて行けるって知らないのかよ? それとも何か? 奴隷も仲間だとか言っちゃう? 奴隷がすることなんか、俺らの肉壁か、下についてる穴で気持ちよくすることだけだろう⁉︎」


 なぁ!と言いたげな表情で男の冒険者は他の冒険者に同調を求める。

 俺はゆっくりと振り返ると、俺より少し背が高く、やけに光る鎧に身を包んだポニーテールの男が立っていた。

 

 等級は金。ピアス、指輪、ネックレスなどアクセサリー類を多くつけ、よく遊んでいる印象を受けた。


「おい、聞いてるのかよ兄ちゃん!」


 そう言って、俺の頭に手を触れようとしたとこで、クロークスががっしりと相手の腕を掴む。


「やめてもらえないかな?」


「あぁ? ずいぶん若く見えるが・・・赤等級? 赤等級なんかが銅級と奴隷とつるんでるのかよ!」


 周囲の冒険者が笑う。


 俺はふつふつと怒りが腹の底から湧き上がる。

 体が熱くなり、ゆっくりと手を短剣にかける。


 よく見ると、クロークスの右手は強く握られ、プルプルと震えていた。

 怒りを抑えているのだろうか。


「ダリア、クロークス。私は大丈夫だ。 あまり怒るな」


「フィーニスちゃん・・・それは出来ない、互いに心配し、支え合うから仲間なんだ、今怒らないと仲間じゃないんだよ」


 フィーニスとクロークスが小さな声で話し合う。


 すると、視界の外から声が響く。


「おい! 黒髪の兄ちゃん! その穴使い終わったら俺らにも使わせてくれよ! やっぱり使ってやらねぇと可哀想だからよぉ〜!」


「かはっ! そりゃいい・・・」


 プチッと何かが切れ、俺は動き出す。

 ポニーテールの冒険者を組み伏せ、ナイフを首に当てる。


「な・・・み・・・見えな」


「話すな」


 首に当てたナイフが皮膚を切ったのか、少量の赤い雫が流れ出す。


「動いたら殺す。 話しても殺す。 口を開くな」


 その言葉に男がピタリと動きを止める。


「お前らも!!」


 俺は叫び、ギャラリーを睨む。


「俺たちがギルドにいる間は口を開くな。 わかるだろ」


 そう言うと、騒いでいた奴らは席についた。

 それを確認して俺はナイフを腰に仕舞う。


 組み伏せた男の肩を叩き、立ち上がる。


「ダリア、もう十分伝わった。フィーニスちゃんも怖がってる」


 クロークスにそう言われフィーニスを見ると、耳がペタンと倒れている。

 心なしかクロークスの顔も引き攣っている。


 その時、受付嬢が走って戻ってきた。

 やけに静かになったギルドの様子を見て、首をかしげる。


 だが、すぐに表情戻して説明に入る。


「では、フィーニスさん。利き手を教えてください」


「あ、はい。 左手です」


「では、右手首に腕輪をつけますね! すでに身体強化付与があります。 装着して数分後に恩恵が付与それます。 その恩恵は人によって違く、似ている恩恵があっても同じ効果の恩恵は存在しません。また、第三者に知られることはありません。 情報は武器になります。恩恵の効果を共有するのは自由ですが、人を選ぶように」


 そう言われて、フィーニスは自分の右手首につけられた腕輪を見る。


「では、試験の内容を説明しますね」


「わかった」


 フィーニスの顔が真剣なものに変化する。


「今回の試験はオアシスグレイスの地下迷宮(ダンジョン)で行います。 魔物の強さは最低でも銀からとなりますのでご注意を。 お二人もサポート、共闘していただいて構いません」


 それを聴き、俺とクロークスは頷く。


「今回倒してもらうのは、ファントムです。 ファントムには物理攻撃は不可能。 エンチャントをした武器でのアタックか、憑依中の場合のみ、憑依体の破壊などで討伐が完了です」


「憑依体の破壊?」


 俺の質問に、受付嬢はさらに話す。


「はい、地下は死亡率が高いため死者の遺体や武具がそのままです。 アンデット、スケルトン、リビングアーマーなど、個々でも存在しますが、ファントムが憑依した個体は強化されます。 その個体を討伐すると、なんとも言葉では言い表しにくい結晶をドロップします。 それを討伐証明として5つ、ギルドに納品してください。 以上です」


 これが終われば、フィーニスは冒険者になる。

 上手くいくといいが・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ