表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
18/98

8

 ゆっくりと目を覚ます。


 ーー知らない天井だ。


「お、目覚ましたかい」


 声がした方に視線を向けると、筋肉質な女性が立っている。赤茶の髪が揺れていた。

 右手に持っているのは医療箱か?


「あなたは?」


「あぁ、アタイかい? この街の医者さ。小さいし設備も無いけどね・・・。 アンタたち、砂漠でサンドワールの群れと衝突したのかい?」


 女性は医療箱を開きながらそう話す。

 

「まぁ・・・そんな感じだ。ところでここは・・・」


「あぁ、ここかい?ここは『オアシスグレイス』。領内の隅にある小さな病院さ」


 女性は確かにそう言った。

 俺は体を起こし、周りを見る。


 砂を固めたようなテーブルや、家、何もかもが砂でできているようにも見える。


「そうだ、女の子のほう・・・奴隷だろう? 大事にしたいなら服くらいまともなの着させてやんなっ! あんなんじゃ病気になっちまうよ」


「そうだ、フィーニスは?」


 俺の問いに女性は溜息を漏らしながら話す。


「隣の部屋だ。 まだ服は着てないし、何より目を覚ましてない。 彼女は冒険者じゃ無いんだろ? 傷がひどい」


 女性は悔しそうな顔をしてそう言った。

 しくじった。


 そうだ、冒険者じゃないなら、全ての攻撃が致命傷になりかねない。

 もし意識を戻すなら、今後は注意してやるべきだ。


「で、銅級のアンタがこんなクソッタレな場所に何の用だい?」


「そうだ・・・それを調べにきたんだ」


 俺は本来の目的を思い出し、女性と目を合わせる。

 女性は眉を歪め、不思議そうな顔をしていた。


「影に襲われた街で無事だったのは帝都とオアシスグレイスだけだ、それの理由が知りたい。 とてもじゃないが、人が暮らせる環境ではない。 サンドワールの件もだが、都が無傷で済むのはおかしい」


 俺はそう言った。

 女性は目を丸くし、キョトンとした表情をした後、笑い出した。


「なるほどね・・・確かに気になる案件だ。上も下も魔物だらけ、常に挟撃されているようなもんさ。確かに、なぜ生き残れてるのか気になるねぇ」


 腹から笑い、目に浮かべた涙を指で拭いながら女性は話す。


「簡単な話さ、魔物より、影より強い冒険者がいるだけ。それ以上でも以下でもない。 強いから生き残る。簡単だろう?」


 なるほど・・・

 だが、赤等級を一瞬で倒した影だって居る。

 それが事実か・・・確かめないとな。


「アンタたちを拾ってきたのもソイツさ、会ったら礼を言っておくんだよ」


 女性はそう言った。


「いつ帰ってくるんだ?」


「もうそろそろじゃないかい?パトロールはあまり長くないから」


 瞬間地響きが起き、地面が細かく振動する。


「なんだ⁉︎」


「外に出てみな」


 そう言われ、ベッドから飛び出して外に出る。


 家屋は砂で形成された変わった街が視界に映る。


 〜砂漠の都 オアシスグレイス〜


 乾燥した風が吹き、肌を撫でる。

 瞬間、視界の真ん中に驚くほどに大きい雷が落ちた。


 雨雲どころか雲ひとつない。

 それに、砂漠に雷って落ちるのか?


 バリバリと電気が走る。

 雷が落ちたのは建物の向こう。


「行ってみな。ちゃんと礼を言うんだよ!」


 女性が玄関から顔を覗かせてそう言う。

 俺は頷き、走り出した。


 細い通路を抜け、少し広い場所に出る。

 その場所には、白を基調に青のラインが入った服で身を包んだ白髪の青年がいた。

 

 ズボンはダボっとしていて、服は左肩から胸にかけてまでは露出している。

 中には包帯・・・サラシと言うのだろうか。

 格闘家のような見た目だ。

 髪は白のショートヘアだ。


 初見の印象はクールで寡黙。格闘家の冒険者と言ったところだ。


 そして左手首についている腕輪の色は赤・・・

 赤等級を表していた。


 ピリピリと電気を体に纏い、歩く。

 大気すらも、少し震え、電気にやられているような気がした。


 青年はゆっくりと顔をあげ、透き通るような青い瞳を俺に向ける。

 鋭い目つきで俺を捉え、見据えた後少しの間が空き、目を見開いた。


「お? おすおすおすぅ!」


 ん?かなり印象と違う話し方だな。

 聞き間違いか?


「いやぁ、目ぇ覚めたのか! まじあそこで何してたんだよ! 俺が見つけなかったら光の速さで冥府にご案なぁーい! なんてな!」


 見た目とは裏腹にかなり騒が・・・元気な子らしい。


「いやぁ、今パトロールから帰ってきて・・・まぁそんなことはいいか! 何してんの?」


「いや、病院の人に言われてな、お前に会いにきた」


 そう言うと青年は頭をかく。


「たまたま見つけただけ!」


 青年は笑ってそう言った。


「いや、だとしても助けてもらったんだ。感謝はしたい。 ありがとう」


「まぁそう言うことなら受け取っとくわぁ」


 青年は照れくさそうにそう言った。


「影を追い払ったのはアンタか?」


「影?・・・あぁ、あの黒い連中か。 そうだ、俺が追い払った。 この自慢の拳とっ!足とっ! 雷でな」


 キリッとカッコをつけるように牙を見せる青年。

 どこか可愛くも見えた。


「すごいな。 強かったろ?」


 その問いには首を振る。

 おかしい、赤等級を倒す奴もいるんだ。


「いや、正直弱かったよ。 地下の迷宮(ダンジョン)の魔物の方が遥かに強い。 銅級から銀級・・・一番強くて金級あたりじゃないかな〜」


 青年は確かにそう言った。

 

 ありえない。

 俺が戦った時は皇都がグチャグチャになったんだぞ。

 戦い方?コイツが強すぎるのか?


「アンタ、属性は?」


「あぁ?あぁ・・・俺はちょっと特殊な属性でな。闘術士(とうじゅつし)ってんだ。 武術を中心に、魔法。主に身体強化や体に直接エンチャントする魔法を多用して戦闘する属性だ」


 青年はそう言うと拳を握る。

 握られた拳には瞬時に電気が発生し、ビリビリと音を奏でる。


「雷が魔法か?」


「いや、違う。雷は『恩恵』だ。 体内に溜めた電気を外に放出し体に纏う。それが俺の恩恵『雷纏(らいとう)』それを上手く利用するため、変換するための魔法だ。魔法を使うと言ったが、正確には応用の方が正しいかね。 すまんすまん」


 青年は苦笑しながら頭を掻く。


「良かったら、影との話を聞かせてほしい」


「おういいぜ! 任せてくれやぁ! 俺の名前はクロークス・・・雷纏(らいとう)のクロークス。よろしくなぁ!」


 クロークスはそう言って右手を出してくる。


「触っても大丈夫なのか?」


「問題ない! 今は抑えてるからな、まぁ何か問題があっても死にはしないさ、多分!」


 安心できないな。


 俺はクロークスの右手を取り、固く握手する。


「俺はダリア、よろしく」


 オアシスグレイスの影襲撃を退いたのは、この青年。クロークスらしい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ