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ShadowSraid  作者: 鬼子
炎砂の迷宮編
17/98

7

 赤茶の大地が視界に広がる。

 ここにきてから数十秒。

 すでに汗が垂れていた。


「ちょっと、ローブ持ってて。 あと、あっち向いてて」


 フィーニスに言われ、ローブを持つ。

 まだ暖かさが残る。 というか暑い。


「こっち見たら殺すから」


「へいへい」


 フィーニスから視線を逸らし、地平線を見つめる。


 ーーまったく・・・どこまで広いんだこの砂漠


 背後からパキパキと骨のなる音がする。

 変態・・・いや、獣化というべきだろうか。


「もういいよ」


 ほんの少し低くなった声が耳を指す。

 振り返ると、先程の可愛らしい少女の姿は無く、全長3メートルくらいはありそうな獣が佇んでいた。


「なんか・・・だいぶ変わったな」


「これが獣化よ」


 かなり大きな身体に驚き、話しかける。

 獣が人語を話してるのも不思議だ。


「大きいな・・・目だ立たないか?」


「まぁ、大きくしてるからね。小さくもできるけど、今はこっちの方が好都合よ。歩幅も大きいし」


 フィーニスは後ろ脚で砂を蹴りながらそう話した。


「早く乗りなさい・・・」


 そう言われ、フィーニスの背中に乗る。

 グッと力強く持ち上げられ、視線が高くなると、広大な砂漠が姿を現した。


「走るわよ! しっかり捕まって!」


 そう叫んでフィーニスは走り出す。

 凄まじい速度を記録し、炎天下なのに浴びる風は涼しい。


「そういえば! あなたの名前を聞いてなかった!」


「そうだっけ⁉︎ ダリアだ!」


 そう答えると、フィーニスはニヤリと笑った。


「ダリアね! オアシスグレイスには情報集めって言ってたけど、どうやって⁉︎」


 この状態の欠点は叫ばないと会話ができない事。

 風の音が会話を邪魔する。


「影の強襲で色んな街や村が破壊された! だが、帝都とオアシスグレイスは無事だ! その理由が知りたい!」


「あそこには猛者が集まるの! 腕試しか・・・理由はわからないけど! それは昔から一緒よ!」


 フィーニスはそう言った。

 確かに、情報屋の正体不明の男もそんなことを言っていた。


 それより・・・


「昔っていつだ⁉︎フィーニス、お前今何歳だ⁉︎」


「乙女にそれを聞くの⁉︎ え・・・とっ・・・多分・・・20ちょい!」


 マジかよ。大体同い年じゃないか。


「ダリア、あなたはどこ出身なの⁉︎ 黒い髪に赤い瞳の人間なんか見たことない!」


 そうか・・・そうだった。

 俺はかなり珍しい色をしているんだった。

 最近鏡を見てないからか、すっかり忘れていた。


「名前もない小さな村だ!場所は・・・もうかなり前のことだから覚えてない!」


 俺はそう答えた。

 実際にそうなのだ。

 何も・・・覚えていない。辛かった記憶はある。だが、なぜ辛かったのか、それがわからない


「訳ありってことね!」


 そう叫んだフィーニスの顔を見ると、横を向いたまま走っている。

 この状態でも転ばないのは獣人の能力だろうか。


「フィーニス、どうした!」


 俺は気になり、フィーニスが向く方に視線を向ける。

 何もない。

 正確には何も見えない。


「速度あげるわよ! しっかり捕まりなさいダリア!!」


 瞬間、さらにフィーニスの速度が上がる。

 風を切り、息をするのも難しい。


 ーー何があった?


 そう思った矢先、視界の向こうで何やらモコモコと砂が膨れ上がる。

 まるで道を作るようにその盛り上がった何かは移動を始めた。


 同速かそれ以上。

 俺たちを監視するかのように並走する。


「フィーニス! あれはなんだ!」


「話すな! 舌噛むわよ!」


 フィーニスがかなり焦っているように見えた。

 なるべく早く進むように駆けるが、いくら速度を上げようと、千切る事ができない。


 それに、砂の盛り上がりはよく見るとかなり大きく、長い。


 徐々にそれは接近してきて、俺たちの頭上を飛んだ。


「なんだ・・・コイツ!!」


 巨体は数十メートル。

 大蛇のようだが、頭は蛇みたいでは無く、ラフレシアの様な見た目だ。


 それに、焦茶色の鱗がびっしりと生えそろっている。


 虫とも、蛇とも違う。なんなんだ・・・コイツ?


 その魔物は俺たちの頭上を通り、また地中に姿を消す。


「フィーニス! あれなんだ!」


「あれはサンドワール! 限りなく金等級に近い銀等級の魔物よ!」


 銀等級・・・


「倒せるかもしれない! 止まってくれ!」


「倒す⁉︎ バカ言わないで、周りの状況見てから言いなさいよね!」


 そう言われ、周囲を見ると、砂の盛り上がりが増えている。

 多数。


「群れで動くのか」


 20・・・いやもっとだろうか。

 かなりの数が砂の中を蠢いているのがわかる。


 1時間生きてりゃ賞賛もの。理由がわかった気がする。


「それだけじゃない! 群れの奥! ど真ん中!」


 フィーニスにそう言われて目を凝らす。


 群れの中には何やら一際大きな砂の波が発生する。


 100・・・いや、もっとか?

 あまりに大きいせいか距離感を掴むのさえ難しい。


 瞬間、ソイツが頭を出した。

 頭は槍のように鋭く、砂の中を突き進むのに適した頭部だ。

 それがハッチのようになっていて、開けばラフレシアのようになり、獲物を捕食する口があるのだろう。


 そして・・・

 頭だけでもサンドワールが三体ほどが必要な大きさだ。


「おい!あれも魔物か⁉︎」


「魔物だけど、このエリア周辺の守護神のような者よ! まぁ平気で街を飲み込むけどね!」


 フィーニスが走りながらそう叫ぶ。

 あんなのが居るのに、今までどうやって生きてきたんだ⁉︎


 瞬間、砂の波が迫る。


「フィーニス! もっと速度上げられないのか⁉︎」


「無茶言わないで! これでも全力よ!」


 砂の波が俺たちの真下を通過し、バランスを崩した瞬間に打ち上げられる。


「冗談だろ⁉︎フィーニス!」


 インパクトの瞬間に集中が切れたのか、獣化が解け人の姿になったフィーニスを抱き寄せる。


 高く打ち上げられ、落下が始まる。

 地面が砂じゃないなら確実に死んでいそうな高さだ。


 だが、幸いにもクッションになる。


 俺はフィーニスを抱き抱えたまま下敷きになるように自身の身体を下にする。


 痛いのは覚悟の上!

 

「・・・・あぁぁぁぁぁぁクソったれ!」


 瞬間、地面に勢いよく落ちた。

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