表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

錬金術。

それはすっかりと失われた、古の秘術…そう聖都では言われていたのだが。

ゲラルト曰く、案外聖都以外では結構長いこと残ってたらしい。

この辺りでは魔術があまりメジャーな技術ではないので、その代わりだったのだ。

魔石の一大生産地ではあるのだが、ここには教会がない。

教会がなければ、魔石は加工できない。

おかげで魔石はただ教会に売るためだけの、人体に害がある素材でしかないそうな。


埃まみれのソファに座って、錬金術の本をペラペラとめくって読む。

初級だけあって、難しいことはさほど書いてない。

いくつかの薬草を混ぜて初級ポーションを作るとか、解毒薬を作るとか。

優先して作って欲しいらしい物のページには、付箋がついている。

たいていは回復薬で、ここでの暮らしの厳しさが窺える。


魔石は魔物から採れる石なんかはもちろん、魔物と戦わなければ手に入らない。

日々発生する怪我人のことを思えば、ポーションはいくらあっても足りないんだろう。


「ええと、緑の薬草と蒸留水を6:4の比率で調合…?」


なんだ、これなら簡単そうだ。

本から目を離して、部屋の中を見る。

……材料がある気配がないな。


「もしかして、もしかして、探し物?」


「うわびっくりした」


喋る犬、再び。

どこからやってきたのか、私が本に集中してる間に足元でくつろいでいたらしい。

私の考えを読んだかのような問いかけに、ややたじろいでしまう。


「……ここにある緑の薬草が欲しいんだけど、どこで手に入るかな」


「わかった」


喋る犬はひとつ頷いて、尻尾をふりふりしながら外に出ていってしまった。

この家、よくみたら人間用のドアにペット用のドアがついているな。


喋る犬が何をわかったのかは分からないが、もう夜だ。

この土地の勝手がわかってない私が出ていくには遅すぎるし、荒れ果てた新居を掃除することにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ