第6話 仲間と共にスローライフ
城塞ダンジョンを踏破した者はいない。
だが、今日ついに元勇者の俺が攻略を完了した。
その噂は瞬く間に広がり、帝国の耳にも入ったようだ。
そのせいか戻ってこいとうるさい。
だが俺は拒絶した。
勇者の時代が終わったと、皇帝は確かに言ったのだから。
ヘリオスとマリナを連れて無事に街へ戻ってきた。
「……城塞ダンジョンのボスは強かったですね、アトラス様」
「さすがの俺も死にかけた。でも、ヘリオス、お前のおかげで助かった」
城塞ダンジョン『ジェミニ』の奥地には、巨大なゴーレムが鎮座していた。大型で倒すのに苦労した。
そして、そのゴーレムこそ“秘薬”を落とすボスモンスターだったのだ。
ついに秘薬もゲット。
これでマリナの母親を治せる。
俺は彼女に秘薬を渡した。
「いいのですか、アトラス様」
「自分で持ち帰りたいと言っていたろ。ほら」
「あ……ありがとうございます。嬉しいです! これで母を治せます」
喜ぶマリナは、先に家へ帰った。
マリナもだいぶ活躍した。
まさか、ヒーラーの能力を持っているとは。
おかげで回復ポーションいらずで攻略できた。
それから俺とヘリオスは、今回のダンジョンで得た莫大な資産で辺境の地に家を建てた。そこでスローライフを決め込むことにした。
もう勇者ではない。
これから『自由』だ――!