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シャルム  作者: エイエンノ・チュウニビョウ
第一章 
6/13

消えたジェシカ

ジョンと約束したヘラクレスはジェシカを探しに森へ入った。村の中はもう一回り探したがどこにもジェシカの姿はなかった。そのためヘラクレスは村の大人達にジェシカの姿を見なかったのかと聞くと門番をしている村の衛兵がジェシカらしき少女が森へ走っていく姿を見たという。


ヘラクレスはそれをジョンに伝えるとジョンは独りでに探しに行くのは危ないからと言いヘラクレスに同行した。


そしてジョンとヘラクレスは村の外にある森に立ち入った。


「ジェシカ姉ちゃーー?」


「ジェシーー?」


ジョンとヘラクレスがジェシカの捜索を始めてかなり時間が経つが未だにジェシカの姿はどこにも見当たらない。ここまで見つからないと流石にジョンとヘラクレスは焦り始めた。それに明るかった空が段々と暗くなっていき、これ以上子供たちだけで森の中でジェシカを探すのは危険と思ったジョンはひとまず村へ戻ろうと決断した。


「ヘラクレス、これ以上僕たちだけでジェシカを探すのは危険だ、一旦村へ戻ろう」


その提案にヘラクレスは同意を示さなかった。


「いやだ!ジェシカ姉ちゃんにまだ謝っていたいんだ!ジェシカ姉ちゃんを見つけるまで帰らないっ」



それに対してジョンはヘラクレスの説得を続けて試みた。


「考えてみてよヘラクレス、もしかしたらジェシカは既に村へ帰ってるかもしれない。もしかしたら僕らはどこかですれ違っている可能性だってあるんだ。だからやっぱり一度むらn……」


ジョンはそれ以上言葉を続けることが出来なかった。なぜなら突風が彼ら二人を襲い、それと同時にある感覚が二人を襲った。

「ジョン兄ちゃん……僕、なんか怖いッ」


ヘラクレスは突如、言い表せないような恐怖を感じた。それはジョンも同じように感じた。自分も恐ろしくて堪らないはずのジョンだが、そこにはヘラクレスがいたためジョンは無理して自分の感情を誤魔化した。


ジョンはヘラクレスを自分の胸に抱き寄せて安心させようとした。


「だ、大丈夫っ。大丈夫だからヘラクレスッ。僕が一緒にいるから安心して!」


それは空元気だった。ジョンの顔色は明らかに悪く、そして声もおどおどとしていたがヘラクレスはそれに気付かなかった。


「そうだね……ありがとうジョン兄ちゃんッ」


ヘラクレスはそんなジョンの言葉に励まされて顔色は大分よくなった。こうしてジョンはヘラクレスを安心させるという目的は果たせたわけだが、ジョンは既に恐怖に心を支配されて足をこれ以上動かすことは出来なかった。


その時、不思議な現象が起きた。どこからかやってきたのか、突如二人の前に二つの球体が現れた。一つは眩しいほどに輝きを放ち、もう一つはその逆の存在のようなものだった。


そしてその球体は二人の周りを回り始めた。そして何回か回ったあとに、それらは勢い良くジョンとヘラクレスの体内へ侵入した。光っていた方はヘラクレスへ、そしてどす黒い方はジョンへ。


二人は状況が吞み込めなかった、しかし直ぐに二人は異変を感じた。


「なに……この感じ?ぼく、なんかもう怖くない……?」


ヘラクレスは先程まで感じていた恐怖は忽然として消え去った。


「くっ……」


一方でジョンは突如として膝から崩れ落ちた。そして右手で自分の頭にあててなにか苦見始めだした。


「ジョン兄ちゃんっ、ジョン兄ちゃんどうしたの?!大丈夫?」


ヘラクレスはジョンの様子がおかしかったため心配した。しかしヘラクレスには何もできず、ただひたすら声をかけるしかできなかった。そして暫くするとジョンはやっと落ち着きを取り戻した。


そしてヘラクレスの心配そうな顔を見るとその頭に手をのせて笑って見せた。ジョンの顔色は大分よくなった。


「だい、じょうぶだよ……ありがとうねヘラクレス、心配してくれて。」


いつも通りの顔になったジョンを見てヘラクレスは少しホッとした。そして先程の不思議な現象について質問した。


「よかった……それにしても、さっきのあれは何だったんだろう?」


ヘラクレスの質問に対してジョンは答えを持ち合わせていなかった。


「さぁ、ねッ!?」


先程と比べると大分顔色がよくなっていたジョンだが、やはりどこか体調がよくなさそうだった。そんなジョンの姿を見てヘラクレスは再び心配した。


「本当に大丈夫なの?やっぱりどこか悪そうだよ」


「大丈……夫だからっ……だけど、少しだけ休もっか。ちょっとなんか、疲れちゃった。」


「うん、そうだね」


二人の脳内からは既にジェシカを探さなくてはいけないという考えは消えていた。

少し休むと、二人は村へ帰ることにした。


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