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シャルム  作者: エイエンノ・チュウニビョウ
第一章 
5/13

少年ヘラクレス

そこはどこにでもあるありふれた小さな農村の一つだった。石と木材で構築された家々が並び、その屋根は草で覆われている。白壁には木の梁が交差しており、その古風な様子は訪れる者に歴史の息吹を感じさせる。


村の周辺には広大な畑が広がっており、農夫たちは太陽の下でせっせと作業に励んでいた。彼らの横を、羊や牛がのんびりと牧草地を歩いている。木製の道具や手押し車がそこかしこに見られ、生活の中でこれらが如何に重要であったかを物語っている。


小さな石畳の道は、村の中心にある噴水広場へと続いていた。その噴水も石を円形になるように削られて作られており、子供たちが水遊びをしていた。広場の中心では、村人たちが集まり、日々の暮らしや収穫の話に花を咲かせていた。ここは、彼らのコミュニティの中心であり、一日の出来事を共有する場所だ。


木の陰で、少年は静かにお昼寝をしていた。彼の周りには、春と夏の間の自然が広がり、風は季節の移ろいを感じさせていた。村の日常から少し離れたこの場所は、少年にとって平和な隠れ家となっていた。彼は、周囲の自然の音に溶け込みながら、安らかに眠り続けていた。


「ねぇ、ねぇってば!」


少女は木の陰に寝ころんでいた少年に声をかけたが一向に起きる気がしない。しびれを切らした少女は気持ちよさそうに眠る少年の頬をつねってみることにした。


すると当然激痛が少年を襲い、あまりの痛みに少年は飛び上がった。


「痛ぁぁぁ!?!?」


快適に眠り気持ちよく夢を見ていたところを痛みに邪魔された少年は大声で叫びながら痛みをもたらしたものの正体を知るために周りをみた。そして諸悪の根源となる人物を見つけると不機嫌に睨み付けて怒鳴った。


「何するんだジェシカ姉ちゃん!」


ジェシカという名はその少女の名前であり、少年より二歳ほど年上なため少年は彼女を姉と慕っていた。しかしそれとこれは話が違う。そんな不機嫌な表情で睨みつけられたジェシカは怒っている少年に問いかける。


「みんなで遊んでいるのに急にいなくなるヘラクレスが悪いんだよ!もうっ、みんな心配して探したんだから。」


ジェシカは少年ことヘラクレスが反省していない様をみると呆れたような表情をした。


「だって、つまらなくなったんだもん。」


頬を膨らませて反論するヘラクレスをよそにジェシカはヘラクレスの手を取り歩き出した。しかし思春期真っ最中のヘラクレスにとっては恥ずかしく感じたのだろう、ヘラクレスはジェシカの手を振りほどいて一人で歩き出した。


「手つなぐなよブス!俺はもう子供じゃないんだぞ!もうすぐで七歳になるんだ!ったく。」


面と向かってブスと言われたジェシカは少し落ち込んだ。


「そう、だね。ヘラクレスはもうすぐ七歳になるんだったね……ごめんね子供扱いしちゃって。」


そういうとジェシカはヘラクレスから走り去っていった。その表情は少し悲しそうで、そして傷ついたようなものだった。その証拠にジェシカの目元には少し涙が滲んだように見えた。


「あっ、違うんだジェシカ姉ちゃ……ん。」


ヘラクレスはすぐに自分のおかした過ちに気付き謝ろうとしたがジェシカが走り去っていったためそれはかなわなかった。普通なら追いかけるべき場面だったがヘラクレスの内にあるプライドがそれを許さず結果としてヘラクレスはジェシカが走り去っていくのをただ見ているだけになった。


「おいヘラクレス、さっきジェシカがなんか泣きながら走り去っていったんだけど、何かあったのか?」


ジョンは静かに尋ねた。ヘラクレスは少し動揺していた。


「ジョン兄ちゃん……その、えっと……」


ジョンはヘラクレスの表情を見て、何か問題があったことを察した。彼は慎重に言葉を選びながら話を続けた。


「ヘラクレス、もし何か心配事があるなら、僕に話してみる?」


ヘラクレスは少し躊躇った後、口を開いた。


「うん、実は……ジェシカとちょっと……」


ジョンは穏やかに微笑んで、ヘラクレスを励ました。


「大丈夫だよ、ジェシカとケンカしたんだね?」


ヘラクレスの目が床に向けられた。


「うん、でもね、彼女が先に僕の頬をつねって……でも、僕もちょっと……」


ジョンはヘラクレスの言葉を静かに聞き、彼の話が途切れるのを待った。


「ヘラクレス、君も何か言ったんだろう?」


ヘラクレスは頷いた。


「うん、ちょっとひどいこと言っちゃって……」


ジョンは深く息を吸ってから、ヘラクレスに優しく言った。


「大切なのは、自分の行動に責任を持つことだよ。ジェシカを傷つけたなら、謝るべきだね。」


ヘラクレスはうなずき、少し成長したように見えた。


「わかった。謝る……」


ヘラクレスがそういうとジョンは満足げに頷いた。


「うんうん、そうだよね。でもその言葉は僕じゃなくてジェシカにいうべきだよ?」


ジョンは少し成長したヘラクレスの頭を優しくなでた。


「わかった。」


ジョンはしゃがんでヘラクレスと目線を合わせた。そして人差し指を立てて腰に手を当てながら教えるように言った。


「いい?女の子はね、傷付きやすいんだよ?どんなに些細なことでも、たとえそれが君の本心じゃない言葉だとしても、ね?」


「はい。」


真剣に聞いてるヘラクレスを見てジョンはヘラクレスを胸に抱き寄せた。そして暫くすると自分の小指を突き出してヘラクレスに言う。


「もう二度としないって、お兄ちゃんと約束できる?」


突き出れたジョンの小指にヘラクレスは自分の小指を絡めた。


「「ゆ~びき~りげんまい、噓ついたら針千本の~ます。」」


二人が約束の指切りをすると互いに笑いあった。


おはようございます、こんにちはそしてこんばんは!わたしの創作を読んでいただいてありがとうございます!読んでいただけるだけで踊りだすほど嬉しいです。そこでお願いがあります。もしこの作品を読んで面白いと思ったらブックマークをお願い致します!逆に面白くないと思われた方、どうか感想でどこが面白くないや指摘などといったことをお手数をおかけしますが、どうかお願い致します! 

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