ミックス犬しか売れなくなるとヤバいかも
近年、ミックス犬の人気が高まっています。
ミックス犬とは特定の2犬種を親に持ち、それぞれの特徴を併せ持った犬となります。
チワワとダックスフンドを掛け合わせたチワックス、トイプードルとマルチーズのマルプーなどです。
昔で言うところの雑種とは違い、純血種同士を掛け合わせた子供となります。
両親の良いとこどり、たとえばチワックスであればダックスフンドの愛すべき胴長短足と、チワワを特徴付けるあの大きな目を持ち、人懐っこい性格で多くの人を魅了しているようです。
しかし、もしもミックス犬しか売れない状況になると不味いのではと危惧します。
あくまでミックス“しか”売れない事態を想定しておりますので、ミックス犬がヤバいと言いたい訳ではありませんので、そこのところはお間違えなく。
さて、どうしてミックス犬しか売れなくなるとヤバいのでしょうか?
一つには純血種を維持出来なくなる可能性があるからです。
今現在チワワやプードルなどの犬種は、日本全国にいるブリーダーさんが中心になって保持されています。
純血種を維持するにはチワワならチワワ間だけ、プードルならばプードル間だけで繁殖を続けていく必要があります。
なろうの悪役貴族風に言えば、高貴なチワワ族に賎しい他犬種の血を入れる事などまかりならん訳です。
これは思い込みでも頑なに伝統を守っている訳でもありません。
チワワがチワワらしく、プードルがプードルらしくある為、その血統を厳密に管理しなければならないのです。
そんなの別にいいじゃんという考え方もあるでしょう。
実際、血統とか純血種なんてたかだか数十年、数百年間維持されてきただけの浅い浅い歴史であり、その前には数十万、数百万年にも及ぶ長い長い雑種時間が横たわっているのですから。
上記悪役貴族に反論するなら、お前のご先祖、数代前は俺と同じ農民じゃん、でしょうか。
とはいえ純血種もまた愛犬家が守ってきた歴史の一つであり、多様性の維持確保という観点からも大事です。
ミックス犬はその歴史を破壊しかねません。
多様性の確保という観点からミックス犬を見てみましょう。
それぞれの犬種がそれぞれ素晴らしい性質、特徴を持っていますが、ミックス犬が人気だからといって安易に交雑させてしまうと、それぞれの持つせっかくの特徴が消えてしまう可能性もあります。
チワワとダックスフンドを掛け合わせ、胴長短足にならない個体もあるでしょう。
それでは商売的に意味がありませんし、遺伝的には多様性の消失(実際には消失していないが)です。
流行りのSDG’s的にも宜しくないのではないでしょうか。
しかし、純血種を維持する上で生じやすいデメリットも大きな問題となっています。
近親交配がそれです。
儲けを最優先すれば飼育頭数は少ない方が良いのですが、それだと血が濃くなり過ぎ、遺伝性の疾患が生じやすくなります。
ミックス犬しか売れない状況はこの近親交配を進めかねません。
たとえばチワワとダックスフンドとのミックス犬を作出しようとする場合、ブリーダーはチワワとダックスフンドの両方を飼う必要があります。
それに加えて血統も維持せねばならない為、チワワはチワワ間で、ダックスフンドはダックスフンド間だけで繁殖させなければなりません。
そうでなければ消費者が望むミックス犬の性質は得られないからです。
混ざり過ぎると外見がバラバラになってきますから。
ブリーダーはチワワとダックスフンドの両方を飼い、それぞれの純血種を維持しなければなりませんが、消費者に売れるのは両方を掛け合わせたミックスだけです。
経費節減を目指せば当然、それぞれの血統を維持する為だけの親の数は最低限となってくるでしょう。
必然、近親交配が進みます。
二つのブリーダーがそれぞれの純血種を飼い、繁殖の時だけ融通しあうという方法もあるかもしれませんが、それとても純血種は売れないのですから必要最低限の頭数になってゆく、つまり血が濃くなると考えられます。
ですから、もしもミックス犬“しか”売れない状況になってくるとヤバいかも、というお話でした。
因みに私はボーダーコリーかシェットランドシープドックを飼いたいです。