ここはどこですかぁ?!
みてくれたら嬉しいぜよ
突然なのですが……ここはどこですかぁ?!
私の名前はヒカリ。高校二年生で17歳。勉強は嫌いだけど学校は大好き! 早く明日にならないかな〜と思いながら帰り道をスキップしていると……。
「あれ?」
なんと目の前に知らない道ができていたのです!
「こんな道、ありませんでしたよね?」
とても気になった私。 少しだけならと思って、その道に入ってしまいました。うーん、暗い。あまり面白くないなー。
「仕方ない。戻りましょうか」
そう思って振り返った瞬間……。
「……へ?」
急に明るくなったと思ったら、なんか変な人がいっぱいいる、あ、失礼ですね。ゲームの中の人みたいな服を着た人がいっぱい……。あれ? 翼が生えた馬が荷台を引いてる! あれがペガサス?!
「ほげー……」
ボーッと見ていると、誰かにぶつかってしまいました
。
「あっごめんなさい!」
ぶつかった方を見ると……うわーっ! ちっちゃい女の子が泣いてるぅ! え? そんなに痛かった?
「ごっごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「ううっ。ヒグッ。ママァ……」
ママ? あっ私分かりました! この子、迷子です!
「えっとー。あなたのお母さんはどんな人ですか?」
「ひっぐ。髪の長い人……」
「髪の長い人、ですか。もうちょっと詳しく……」
「ひっぐ。優しい人……」
「優しい人……。私には分かりませんねー。あっどんな服を着てられるのですか?」
「えっ。えっとー……」
「はい!」
「ううっ。うえーん! そんなのわかんないー!」
「あわわわわー。すみません。そーですよねー。ああ、もう泣かないでー。あっそうだ!」
「えっおねいちゃんどこいくの?」
私は女の子の手を引っ張って、近くのお店まで連れて行きました。
「あなた、お菓子は好きですか?」
「えっ?」
なんかお菓子屋さんっぽいところ連れてきたけど文字が読めない。どこの国の文字なのかなー?
「パンクケーキ……」
「パンクケーキ、ですか?」
「うん……」
「食べます?」
「えっ!」
女の子は大きな目で私を不思議そうに見上げてきました。
「……いいの?」
「いいですよー。こういう時は甘いものを食べればいいのです!」
ニコッとできるだけ優しく笑いかけると、女の子は少し落ち着いたみたいな顔をしました。よかったー。
「すみませーん。パンクケーキ1つくださーい」
「はいよー」
お店の人に声をかけると、すぐに持ってきてくれました。どんなお菓子なのかなーと思ってたけど、意外と普通のパンケーキみたいなお菓子です。美味しそう。
「わぁありがとうございます!」
「おっとお嬢ちゃん、その前にお金」
「……へ? ……あ」
「は〜おねいちゃんバカだなー」
「ううっすみません……」
「ふふふ」
結局お金がなくて、パンクケーキとやらを買えませんでした。面目ない……。
「おねいちゃん気にしなくていいよー。かわりに一緒にママ探して」
「……! はい! もちろん!」
この娘いい子!
そして手を繋いで歩いていると……
「リア!」
なんと! 前から女の人が走ってきました!
「ママァ!」
ママ? あっこの子のお母さんか。
「もうっどこに行ってたの」
「ううっごめんなさい」
女の人が女の子……リアちゃんか。リアちゃんを抱きしめます。よかったー。
「あら」
あっ。女の人、私に気付いたみたい。
「あなたが娘を助けてくれたのですか?」
「いえ、私は何もしてないですよ」
本当に何にもしてないです。
「良かったですねーリアちゃん」
「うん! ありがとうドジなおねいちゃん!」
ううっドジって……。
「あの、何かお礼を……」
「いいですよ! 本当に何もしてません!」
本当に全く何もしてません!
「私なんかより、リアちゃんにパンクケーキ食べさせてあげてください」
「うん! ママ私パンクケーキ食べたい!」
「パンクケーキですか? あっそうだわ!」
女の人が私の手をつかんだ。
「何かお礼をしたいのです。もしよろしければ今から家に来ませんか?」
「「いっただーきまーす!」」
カプリ! う〜んおいし〜い! 見た目はパンケーキそっくりだけどそれよりもっと甘くて、フワフワで……
「おいしいね、おねいちゃん!」
「うん! すっごくおいしい!」
「喜んでもらって良かったわ」
「あっすみません。ご馳走になって……」
「いいのいいの! これだけじゃ足りないくらい。 あ、おかわりいる?」
「頂戴します!」
えーなぜ私はパンクケーキを食べてるのかというとー。あの後必死に断ったのですが、どうしてもということなのでご馳走になりました。なんと!リアちゃんの家はケーキ専門店の小さいけれど立派な喫茶店だったのです!
「本当に良かった。あそこらへん誘拐犯が多いらしくて……」
「本当ですか?!」
「ええ」
じゃあ私たちはそんな所で迷子になってたのかぁ!
「ところで、あなたはどこから来たの?」
「え?私ですか?」
どうやって説明しよう。てゆうかここはどこ?!
「……間違ってたらごめんなさい。あなた、召喚された人?」
「しょっしょうかん?!」
えーっあのアニメとかで出てくるあの異世界召喚?!
「えっえーと、すみません、あまり分からないんです……。あのーここはどこでしょうか?」
「ここは『名前のない国』よ。」
「『名前のない国』、ですか?」
「ええそうよ。西隣の国が『悪魔の国』、そして東隣の国が『空気の国』よ。この二つの国と争ってるの」
「へー。つまりここは……?」
「そう、あなたが求める所じゃないわ。実は私、日本からここ異世界に迷い込んじゃって……。多分あなたと同じね」
「! 私もいつのまにかここにいたんです!」
「やっぱり……」
「あの、帰れないのでしょうか?」
「……わからないわ。」
「……そうですか。」
「でも、意外と楽しいものよ。異世界も。」
「アハハ。はー」
お金もない、家もない、この先どうすればいいのでしょう……。
「ねぇ、良かったらうちで暮らさない?」
「ええっ! いいんですか?! でもお金が……」
「いいのよお金なんて」
「いいえ! そういうわけにはいきません」
「そう? じゃーうちでバイトしてみる?」
「?! 本当にいいんですか?」
「もちろんよ。リアの恩人だもの。ねー」
「おねいちゃんここでくらすの?! わーい!」
可愛い。
「……ありがとうございます。私、しっかり働きます。」
「うふふ。気を使わないでね。」
「はい」
そして、私の異世界生活が始まってしまいました!
「ううっ」
なんと! 私の仕事着はフリッフリのメイド服!
これじゃ恥ずか死ぬ! はぁ前途多難……ん?
「いつのまにこんなビラが……どれどれ?」
『狙撃手募集中』
……スナイパー?
みてくださったか。ありがとね