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『太初の鯨』  作者: 大塚
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アイリは『太初の鯨』から次のような文字列を発見した


考えるということはたぷん

思い出すということの近くで

見つめるということはきっと

希望が見つからないことへの

ささやかな抵抗で


人は嘘をつくことが得意で

いつからか本当のことに飽きてしまった

もし私に勇気があれば

世界に意味がないと言い切れたのに

もし私に優しさがなければ

世界の外側に去ってしまえたのに


宇宙はどこまで

どこまでいっても現実

言葉はどこまで

どこまでいっても多分

言葉で


もう一度私の言葉で泣いてくれませんか

もう一度私の言葉で嘘ついてくれませんか

もう一度私の言葉で明日を照らす哲学を

もう一度私の言葉で寝る前に祈ってくれませんか

もう一度でいいから、言葉を信じるために必要な幼さを私に許してください


今朝、白い紙に私は血を吐いてしまった

今朝、白い紙に私は嘘をついてしまった

今朝、白い紙は私に何も言わなかった

今朝、白い紙だけが私に言った

今朝、言葉を並べて私は何がしたい

ねえ、こんな話があると君は私に教えてくれた

想像できることは現実なのだと

宇宙の果てに行こうとすると宇宙は広がってしまうのだと

飛行機雲を見ているだけの私は

地面に縛られているけれども

私たちは、現実というものに

真実というものに自覚もなく縛られている

ニュートンが発見できなかったほど

当たり前すぎてりんごすら落ちなかった法則

私たちは私たちである


いつか

いつか切り取れるだろうか

いつか

いつか綺麗に脱ぎされるだろうか

いつか

いつかと言わずにいますぐにでも

いつか

いつか私たちは愛から

いつか

いつか言葉が全てを振り切ってしまう

いつか

いつかと言わずにいますぐにでも


私たちは知りたいんだよ

いつか

いつか

いつかいつまでも問うていたいんだよ

いつか

いつかいつまでも知らないままでいいから


アイリは『太初の鯨』から次のような文字列を発見した

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