翌日
『一一あなた達二人は昨日から付き合いだしたのね、あっそう?』
『まぁ~、何というか……そうですね。』
ハルサメの冷やかな目に正面から見れないキノウ一一一一。
隣には下を向いて顔を真っ赤にしたカノン一一
ハルサメを含めたアンドロイド四人は、キノウとカノンを囲むように渡り廊下でたむろしていた。
他の三人は二人の交際に快く祝福してくれたが、ただ一人一一ハルサメだけは腕を組み険しい顔をしてキノウを睨み付けていた。
『『おい、ヤバンガ!貴様は本物の馬鹿だな』』
廊下中に響くハルサメの怒号一一
回りの人は当然だが近くを通った生徒、教師すらも彼女の怒鳴り声に驚いた。
『『カノンの気持ちを分かって付き合おうというのか?この子は生い先長くないことを知ってて……』』
『私から先に告白したんです‼』
ハルサメの言葉に割って入ったのはキノウの隣にいた茶髪の女の子一一カノンだった。
『え……』
『私が 一一 キノウ君に好きって、付き合ってって言いました。もちろん、余命が短いことは承知の上です。キノウ君を置いて先に死んでしまうのは確実…… でも、このままお互いの気持ちにも気づかず逝ってしまう方がよっぽど辛いです。あの時こうしていれば……なんて思いたくありません。』
『カノン……』
彼女の本音が、思いを間近で聞きこれまで以上に美しく見えてしまう一一。
一一コホンッ……
静まり返ってしまったこの間を紛らわすように咳ばらいをするハルサメ。
『分かった、カノンがそう言うなら仕方ないわね。それで、そこの彼氏さんは?』
『⁉一一』
突然、こちらを向かれて驚くキノウ一一。
『なに、驚いた顔してんのよ‼』
ハルサメから一喝受けてしまった。
『こんなに、あんたのことを好きだって言ってくれてるのよ、あんたはどうなのよ?』
一瞬、行き詰まってしまうキノウ。
それでも、思いの丈を一心に伝えようとして口を開く一一。
『俺だって、カノンを寂しい思いさせないし、こうなった以上後悔させない。だって……』
話の途中、キノウは隣の子を見る。
それに答えるように女の子は目を合わせた。
『……こいつの事、一番好きなのは絶対に俺だから。是が非でも傍にいて、守り続ける‼』
キノウの渾身の気持ちはカノンの心にしっかりと届いた。
その証拠に彼女の瞳から一滴の涙のが落ちるのが見えた。
『ありがとう一一。』
目が潤み、頬笑むカノン。
傍に居たい……それは二人とも同じ思いだった。
『もう、分かったからここでもイチャつく必要ないじゃない~』
二人の空気に焦ってしまうピンク色のポニ一テール一一ハルサメ。
残りの三人はこのやり取りを見て笑っていた。
『ヤバンガ君、オオサキさん、これから大変かもしれないけどお幸せにね。』
満面の笑みで、二人を祝福する水色のセミロング一一ミナミ ミユキ。
ミユキはカノンのを手を握り、真剣な眼差しで話す。
『何か、困ったら絶対に言ってね。』
『ミナミさん……助かります。』
同じく笑顔でカノンが返す。
男、二人の内の一人で焦げ茶色の髪をもつアンドロイド一一カンテンはキノウと肩を組もうと隣へ行く。
『兄弟、格好いいこと言うじゃないか。』
『イテテ、なんだよ、その兄弟って……』
『人間は仲間の事を兄弟って言うんだろ?器の広い生き物だ。』
『合ってはいると思うけど……お前がいうと否定したくなる。』
『ハハハハ、楽しく行こうぜ。』
『こんなんで楽しいのか……』
キノウがカンテンに呆れ顔を見せ、困ったようにしていた。
正面から一人、紫の髪の少年一一トウフがキノウの前に立つ。
『俺もミユキと同様、お前達二人を応援するし、出来ることなら手伝う、何でも言ってくれ。』
『ああ、ありがとな。』
一人じゃない一一こんな人生を最悪だと思うわけない、俺は今一一一一 幸せだ。




