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彼女の瞳の奥の景色  作者: 倉根 敬
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決意の行動を



一一何てこった。




これはとんだ過ちを犯してしまった。

学校に来る前に気づくべきだった、いやその前に昨晩持っていくべきだった一一それは無理だったか。

何で忘れるかな、教材を収納する道具一一鞄を。





『あれれれ~。キノウ君、お勉強する気ゼロですねぇ~。』




『うっわ、一番言われたくない奴に言われるとはな、屈辱だ。』





カノンはその言葉が尺に触ったのか、恥ずかしかったのか赤面して言い返す。




『失敬な、私だって頑張ってます、教材を立てて寝るのに必死です。』




『目的反れてるから。』




相変わらず、考え方の分からないカノンにキノウは困っていた。




『忘れ物した人に言われたくないですぅ~。』




カノンは少し舌先を唇から出しキノウを小馬鹿にした。



一一かわいい。



一瞬ではあったがキノウの頭の中でこの言葉が支配する。

そして、自分が何を考えていたかを思い出すと物凄く愚かな事だと感じ、羞恥な思いが込み上げる。



一一俺は何て事を~。



それでも、心の片隅にはその考えを悪く思わない自分もいたことは確かだった。




一一恋ってこんな感じだったか?

なんか久しぶりのような、初めてのような変な感覚だな。でも、俺も立派に青春してるな。あれ?なんかそう考えると、なんかニヤニヤしちまいそうだ。まずいな。



キノウはその今にも緩みそうな頬を懸命に手で押さえつけ、ホ一ムル一ムが始まるまで堪え忍ぶ。



『みんな~席ついて。』



担任の一言でさっきまでガヤガヤしていたはずのクラスメイトたちは返事をして自分の机へと戻っていく。




一一良かった、助かった。

一時はどうなるかと、これでカノンにでも見られてたらヤバかったな。




キノウは深くため息をつき、安堵の声を漏らすが残念ながら隣席の女の子はじっとこちらの方を見つめていた。




『キノウさんよ、キノウさんよぉ。』



『何だよ、そんな呼び方して。』



『今さっき一人でにやけてましたよね?』



『……なんの話だ?俺は、なにもしてないぞ。』



『絶対嘘ですよぉ~。だって思いっきり手で隠してたじゃないですかぁ~。』



『お、おれは何も……してない。』



『その間はなんですか。』




キノウの額から思わず冷や汗が流れる一一。



一一しまったぁ~、コイツにだけは知られたくなかった。


どうしよう、この微妙な空気。

何か、話を逸らさなきゃ。そういえば、昨日カノンを体育館裏まで連れていった四人一一。

あいつらの事もどうにかしないとな、いつまでもカノンに付きまとわられたら困る。


『なぁ、カノン。』



『何ですか?』



『昨日の事なんだけど。』



『話逸らそうとはいい度胸ですね。』



『真面目な話だ。聞いてくれ。』




キノウから漏れる不穏な空気を察したカノンは取り乱しながらも黙って聞くことに決めた。




『はい。』




『昨日、体育館裏までカノンを連れていった四人組がいたよな。』




キノウは、この学校に導入されたアンドロイドだと推測する四人組の話を出してみた。




『はい、キノウ君もその場に居合わせていたのでご存じの通り。』




『あいつらはお前の秘密を聞こうとしてるんだよな、そこでだ、カノンの正体を、人間であることをあいつらに教えてやってくれないか?』




『そ、それは……。』




『駄目か?……。』




『駄目というか、学校には私が人間であることを他言しないようにと言われていますので。』




『俺には言ったじゃん。』




『キノウ君は別です。昨晩も言いましたが、キノウ君には知っておいてほしかったから、いずればれることでしたので。』




『そんな勘の鋭い奴に俺が見えるのかよ……。』




『いいえ、全くキノウ君って頭良さげにしてますけど頭あんまり使ってないですよね。』




『人が真面目な話持ち掛けたのに、まさか皮肉言われるとはな。』




一一あぁ~、やる気なくなってきたかも。




『でも、頭あんまり使ってない筈のキノウ君が振り絞って考えて提案して下さった事なので私はキノウ君の言う通りにします。』




一一おっと、いきなりの急展開だな。




一一俺に任せるか。思い付きで言ったのにな、責任まで降りかかるとは。




『分かった、ありがとう。恐らく、あいつらは昨日のようにカノンにまた話し掛けてくるだろうからそのときに伝えるか。』




一一秘密を知りたがっている奴等に教えてやり、もれなく学校生活の安定も手にはいる、願ったり叶ったりだ。





『そうとなれば、後は待つだけ。案外楽だな。』




キノウはいつの間にか自分自身が笑みを浮かべていることに気づいていなかった。




『キノウくん……不気味です。』





『分かってる、俺もそうだろうと思ってところだ。それはそうとして、お前、他のクラスメイトといつものように喋りに行かないのか?』




『別にいいですよ。今はキノウ君といたいですし(ぼそっ)』




『ふ~ん、なんか分からんが良いってことだな、じゃあ結構だ。勉強でもして時間潰しておこう一一一一、……教材ないんだった。』




キノウは自らの羞恥を晒したことに恥ずかしさを覚えた。




『何してるんですか。そうだ、キノウ君、ひとつ質問なんですが、どうして昨日の放課後あの場にいたんですか?……もしかして私を探しに?

キャ一一、そうだとしたらキノウ君、私に気があることになりますね。』




『一一!?』




一一嘘……もしかしてバレた。いや、このアホの事だから、勘が冴えてただけか。




『一人で妄想発展させんな、あの時先生に頼まれ事されてそこにいただけだよ。』




『そういえば、いつもあの四人が来るのか知ってるんですか?』




『新たに質問すんな。その前の返答、完全無視かよ。……だけど、その質問はすぐに答えられるぜ。まさか朝っぱらから来るとはな、アンドロイドさんたち。』




『ちょっと、オオサキさん、昨日の件で話があるんだけど。』




『あ、貴女は……。』



カノンは酷く彼女に対して動揺していた。





キノウとカノンの視線の先にはピンクの髪をした女の子が教室のドアに立っていた。











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