謎だらけの告白
一一午後九時三十分、改札口をまだ駅周辺は大勢の人と明かりがあった。
大きなスクリーンにCMや映画紹介が流れそれを見る人、酔った社会人集団、長イスにに腰かけてイチャイチャするカップルがいる中キノウはスマホを手にカノンとSNSでやり取りをする。
駅の広場で待っててほしいと言われてスクリーンを見ながら待つことにした。
アイドルやら俳優女優やらミュージシャンが代わりがわりに出てくる。
(芸能界ってのは大変だな…)
と何を思ったのか画面の奥の世界の住人に心配と同情の念を抱く…知り合いが玄能人というわけでもないのに。
上を見上げるのも首が疲れて辛くなってきたので
スマホを手にゲームで時間を潰すことにした。
一一大体十分程経った頃だろうか。
『…ノウ君、…キノウ君』
突然横からキノウを呼ぶ声がした。
そこにはキノウと同じ立山高校の制服のまま夜の街を彷徨いているカノンが立っていた。
(昨日今日のことでなんて声を掛ければ良いのか…わかんねぇ。)
先に口を開いたのは、カノンの方だった。
大きく息をして、ひと呼吸おいてから話し出した。
『今からバスに乗ってある場所に来てもらいたいんですが…良いですか?』
深呼吸して言ったわりには終盤辺りで力のない声量だった。
だがキノウはそんなこと気にしていない、カノンが他の誰にも言っていない秘密をもしかしたら話してくれるかもしれないのだ、その秘密を自分自身が一番最初に知る…その覚悟があるのかをキノウは頭の中で考えていた。
『わかった、オオサキについていくよ。』
カノンはコクリと頷き、後ろを振り向いた。
『それじゃあ行きましょう。』
そうして二人はバス停へと歩き出した。
一一その場所はバスで二十分程のさほど時間のかからない場所にあった。
バス停の名は『西立山病院前』
目の前にはビルのような造りで白い病院が聳え立っていた。
バスの中でカノンは何も話さず何かを覚悟したような顔つきで黙り混んでいた。
きっとこれから起きることは相当重要なのだろう。
キノウは緊張してか額に汗をかいていた。
『裏口から入りましょう。』
バスの中で一切口を開かなかったカノンが話した。
裏から病院の敷地内に入り、関係者以外立ち入り禁止の文字の入った扉の前まで来た。
カノンはポケットから鍵を取り出しドアノブに差し込む。
ガチャッと鍵が開く音がなりカノンがドアノブを捻り扉を開ける。
『どうぞ』
そう言うとカノンはキノウを先に中に入れさせた。
入ると中は薄暗く、階段があるだけで緑色の非常口と書いてあるのだけが唯一の明かりだった。
カノンは中から鍵を閉めると案内するために再び
キノウの前に出る。
『今から五階まで上ります。』
と説明するとカノンは階段を上り始めた。
キノウは上手く状況が把握できないでいた、どうして病院に来たのか、なぜ裏口からなのか、そしてどうしてカノンが関係者しか持っていないはずの鍵を持っているのか…不思議で仕方なかった。
不安を抱きながら階段を上り続け、漸く五階にたどり着いた。
階段の次は廊下が待っていたが、何やら廊下から誰かが明かりのついた懐中電灯を持って歩いてくる。
『押原さんお迎えありがとうございます。』
『なぁに、カノンちゃんの頼みだ、喜んで引き受けるよ。』
そこには丸メガネに黒の短髪の白衣を着た若い人がいた、白衣ということは恐らく医師なんだろう。
カノンはキノウの方を振り向いた。
『こちらは押原先生、私の担当医をしていただいています。』
と説明すると短髪の医師、オシハラは来た道を向いて懐中電灯で足下を照らした。
『さぁこっちだ。』
そう言うとオシハラは病室の方へと歩き出した。
(一体何があるんだよ…)
キノウのカノンに対する疑問は未だ晴れない。
何も知らされていないキノウにとってこれまでに起こったこと全てが疑問だらけでもう二人についていくしかなかった。
(この医師が来たってことは事前に知ったってことだよな、なら俺にもちゃんと言っとけよ…ってアレ…ちょっと待て!?…さっき担当医って言わなかったか?)
ますますカノンの疑問が増えていく時、前を歩いていた二人が突然病室の前で止まった。
『ここだよ。』
病室の番号は『507』
オシハラはそう言うと、目の前の病室の扉を取っ手を掴み横に押して開いた。
『入って。』
それだけ言ってオシハラはキノウを先に中に入れさせる。
(ここ、オオサキの病室か?…)
入っても暗くて中の様子はわからない。
オシハラが懐中電灯を消し部屋の明かりをつけた。
中には個室のベッドが一つあり、女性が寝ていた。
『おいおい、ここ人がいるじゃねぇか、場所間違ったんじゃねぇのか?』
慌てて出るキノウ、そこにカノンが507の病室に入っていく。
『そっか、まだ電源切ってなかった。』
よくわからない事を言って入って行ったカノンはベッドで寝ている女性に近づき、ベッドの横にあるイスに腰掛ける。
『ちょっと待っててね、オシハラさん、お願いします。』
それだけ言うとカノンは目を瞑った。
オシハラが何やらベッドの近くにある大きな機械を使っている。
すると突然、機械音がなりカノンの体がダウンしたような音を発する。
そしてベッドで寝ていたはずの女性がいきなり起き上がってこちらに向かって
『初めまして、ヤバンガ キノウ君、私、オオサキ カノンと申します。』
とさっきまで寝ていた長い茶髪に薄ピンク色の瞳で色白の女性がキノウに微笑みかけてきた。




